誰からの便りも途絶えた
朝に、娘が
私の靴をはいて
玄関に座る、

指の間で、
引き伸ばされた
私の髪が
娘の、背中で、
今、息を引き取ろうとして
流れていくのを、
私はとめよう ....
娘の血に混じる
夫の生活が
食卓に上らない
皿の上には
いつものように
サラダがあって
土を落とさずに
拾っている

娘の握る
スプーンが
汗一つかかない

皆しっているだろ ....
娘に生えた生活が
頬を釣り上げた
まま、彼女の顔を崩さない、

町を歩く足に
何も引き止められない
排水溝で鳴る音ばかりが、
私の耳を濡らす

事件は居座ったまま
出来事となって
 ....
畑を荒らす娘の、
頬が熱い、
雪が、熱を、奪っていく、
その体温で、
走り抜ける、
足は、まだあたたかいか、
娘のように
夫が背を丸める
冷蔵庫は
水を集めて
静かにしている

床の上で
私の娘が
寝ている
のが怖い

横顔が淫らに濡れている
側を通り過ぎる足
に絡まる夫の口
が甘 ....
娘の時間になると
町が焼ける
夫は静かに
壁際で畑に手を入れる
土の中に娘の
背中を見つけて
私は夫の腰を
押す

水をまく
娘の寝所に
知らない男が
混ざった香りの
後で
 ....
やまからなだらかに
流れてくる人
の背中に花
生活は彼岸に
咲く花火の様
指先に止まる
夜の羽虫の
夫、

娘は
三度目の
深呼吸の内に、
静かに眠る
習い事を始めた手が、
背中に伸びる、
植物の中で、
娘が笑う、
のを、夫は、
息をひきとるために、
走る、

まるで、大火事だった、
と、その口が話す、
笑う、

娘には、
 ....
窓辺に鳥達の巣があり、
それを、手に取る、
娘の顔が、
ひどく歪んだのを、
夫は椅子に座って悲しんだ、

料理を運ぶ手に、
手が添えられ、
皿の上で、
娘が、脱がされていく、

 ....
水の音に、
さらわれてしまった、
まるで、体は、
どこにもないかのように、
流されて、
くだけた、

服にまとわりついた
みずの、おとだけが、
私をぬらして、
ずっとずぶ濡れだった ....
じごくをたべる、とあなたがてのなかであめをひろいながらわたしのみみのおくでかたるときにわたしたちのあいだにできたあのてんきのことをなんどもことばにだしてからはなしはじめよう。まずあなたはさばくとくちに ....  失われた八日目の記憶の中に雪原があった。雪の上に立てられた僕らの家の中には、静かに多くの人が住んでいる。静かな人たちは、物音を立てずに部屋の中を動き回っているが誰もお互いを認識できない。そして誰もし .... 仮題 群島収容所

このしまでうまれるはずだった
ものがたりがふねにのって
とびたつこともなく
おいだされていくひに
わたしの母はまたあたらしいこどもをうんだ
このしまでうたわれたうたの ....
せかいのばらーど
わたしがまだかたちをもたないみずだったころのきおく
のなかにふくまれてしまったかわいそうなちいさないきものたち
わたしがうまれるためにうしなわれてしまったおおくのよろこび
そ ....
白いものに名前を与えようとして、黒くなる。その瞬間に何もかもが台無しになるかのように、燃え始めて、私は水に混ざる。流れていく中で、多くの人が私を掬おうとして零れ落ちていった私を見つめた。彼らの手に掬わ .... 沈下するための水に溢れる花の中で、咲かなかった。ここは高山病の薄い香りがする高い山の頂で体を広げる。手に掛かるものはすべて冷たいまま通り過ぎ去ってくれる。温かくならないからこの場所にいられる。足先が水 .... 私は受胎したままの病
この、病を温めてやれるだけの優しさが私にはない
私にあるのは、病を怖がらせる言葉ばかり
私が病となってこの都市を覆う光景が
もう間近まで迫っている
私は一つの病の比喩と ....
影の中の優しい私の中に住む野に咲く花の香りをかぐために一匹のハチドリがその体を停止させて私はそれを見るために何度も私の中に潜り込まないといけない。ここは、私の庭園。正午には陽が指し、夜には月が輝く温室 ....  雪が吹き荒れている日には、暖炉に物語をくべる。私たちの家には魔女がたくさん住んでいる。寒さの凍えた手に、温かい息を吹きかけるたびに、手のひらから舞い上がる白い魔女達。それが部屋の中に消えていく。
 ....
私は、水没した一つの古代都市、
そしてその記憶を、子宮に、抱いて
産み落とすための機関全体の名前
私は副産物、男が生み出された後に
破棄された一つの悲しみ
悲しみは退屈
椅子に座ったままの ....
 世界中のバラードが歌われなくなったら大変だわ。そう、きっと、誰もがアルファベットをちゃんと正確に発音できなくなって、苦笑いしながら恋を歌わなくちゃいけなくなるかもしれないから。くだらない男達は相変ら ....  私がまだ貯水槽の底に沈んだ都市の中で眠っていた頃に、母が私の頭に血をたらして、私は裂けた。泣く前に、裂ける事を覚えた私の体は、ゆっくりと沈んで起き上がることが無かった。20歳でケータイを傘につるした ....
ballad(22)
タイトル カテゴリ Point 日付
習作自由詩311/11/17 21:30
自由詩011/11/17 21:27
自由詩011/11/17 21:25
自由詩211/11/12 21:44
自由詩011/11/11 18:35
自由詩211/11/11 18:31
自由詩1+11/11/11 18:26
自由詩211/11/10 16:25
自由詩211/11/10 16:20
水音自由詩711/11/9 23:46
無題 未完成品自由詩111/11/4 1:19
Snowwriter, 未完成品自由詩111/11/2 20:48
未完成品の断片羅列01自由詩1*11/11/1 17:41
せかい、ばらーど、自由詩211/10/29 23:29
白い、バラード自由詩011/10/29 23:18
花、バラード、自由詩0+11/10/29 23:04
治療所群島自由詩411/10/28 11:25
嵐が丘のバラード自由詩211/10/28 11:16
雪が丘自由詩111/10/28 10:56
痛み自由詩411/10/26 23:23
世界中のバラードについて自由詩111/10/26 22:56
手を握り秘めていたものを自由詩211/10/26 22:41

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