今年のピークは過ぎ去りました、祖父は同じようなことを言っている。天気予報士の、ながいサラダはよく噛んで食べるのじゃよ、だったっけ首がキリンのように傾いて耳たぶの辺りからやさいは、遥かな山の麓町 ....
僕の舌はあかくなり目の上のたんこぶで買い物ができる世界一有名な夜が明けると僕たちはそうだそうだと挨拶を交わし君はながくなった舌をふたつ折りにして嫁いでしまう産まれてくるのは人間みたいですとご祝 ....
鼻毛がでてる。あと2ブロック行けば僕たちの街だけど、オールサンデー。だれかがそう定義して、世界中の日曜日を集めた。中央公園でたむろしている休みのない人たちを避け。南々西に花のようにそよいでいて ....
祖父がお風呂にはいってからずいぶん経つが、水をいつまでも持ってこない母を怒鳴りちらすのがわたしたちの父であり、入れ歯のおちた印度カレーを前に、斜交いに正座している祖母の息子、つまりその父はまだ ....
パイプ椅子に
かけた内臓ちゃんに
電気信号を送ると
おならした。
その臭いは一万
光年で四隅に届く。
もち、わたしの鼻の
穴がきみのよりも
ちょっとでかい
か ....
町にゆくときにてきとうな履物をつっかけるのは、すてき。
缶蹴りをして、雨蛙が、デルモンテのあき缶から、目をまわし、それからくるると、とびでてきて、ふりかえると、かんちゃん、紫陽花の石 ....
収穫期になれば
麻袋のような手で
水桶に蟻を放り込んだ、
わたしたち家族は
麻袋だったし、
穀物は内臓だったから
内臓を食べる麻袋と
蟻がこぼれる夏だった。
祖父と父は
得体 ....
きみのオデコはとがっている、おやすみと言うたびに、やだやだされて、それはちょうど夏の虫だったから、掛け違えたボタンが蝉のように、ポックリ病だ、ぼくはきみを目覚まし時計と間違えていた。
縞模様 ....
タマラ
おんなたちに
混じって
暮らしていたから
夜は
誓いの言葉を
忘れてしまった
見上げれば
黄色い星を
記した
10センチ四方の布に
耳鳴りがあたる
三日間
心 ....
よくわからないとこでよくわからないことが階段を降りてくる。よくわからないとこは時間でよくわからないことはないがよくわからないことはしなやかだ。焼き魚のにおいがする。母ちゃんが砂場にいる私を呼びにくる。 ....
バナナをたべるやつがいる。仕事中だってのにひどく蒸し暑い。暖房をきった社内ではでたらめに剥かれた皮が、黄色い運河のようです。本流から逸れた給湯室でお茶係の女の子たちがバナナをたべている。2階か ....
海上、
都市をつくろう
なにもかも波になれば
こわれるのに
疲れました
飛沫のように暮らす
花にも、
貴方にも
四月半ば
笑ったまま
夕飯の仕度をして
叔父が息をひきとり、ちょっとだけかける。
バスケットコートにうみがたまり、1999年の、夏のあいだじゅう、ひどく早口の母とぼくは、スコアラーとして過ごしていた。あの黒人選手はスラムダンクをき ....
いろがかわる。
いろがかわる、
何のいろが?
はだのいろが。
おとといからだわ
と、きいろい女が
椅子をたおし、
Tボーンステーキが
ばちゃばちゃの、あぶらのなかで溺れながら ....
けさは水平線が凍っている
長い足を折って待つ子
ひたむきに駆けまわる子
ただ下手くそに眠る子らが凍っている
おとつい死んだ叔父さんへあなたの骨はまずかった
おとつい死んだ叔父 ....
なにもきかなくていい日がきて、かげのない広場に咲いた花をゆらし、白地のデッキシューズに蝿がとびうつってくる。ぼくはかかとをへらしてあるく癖がぬけないまま、くるぶしの辺りで染みになった蝿がしずか ....
四拍子をきざむ
うしろのチャイニーズに
聞いてみると
ほがらかな林くんは
鼻腔のおくで裸になった
君の汗、額から、
とがった顎まで垂れた、
あんていするために
球体になった、
た ....
本当は時間がないなんて嘘なんです。ごめんなさい。謝っても謝りきれない君に告げなきゃならない、潮時ってやつが鉄筋コンクリートで積み木した私たちの街にも訪れたのです。ほんとかな?君は今、洋モクを消し潰 ....
わたしのママはミートパイのふり、あるゆき降るむらの朝食よ、そうそうなりきれるものじゃないわ、二人目のパパもうなずいてるわよ、足のわるいウパおじさんが座り、ママを囲う首の長いわたしたちの食卓、今 ....
水を喉につまらせる、かくにんする、つまっていると、合図される、おとこがきこえる、そのおとは号音のよう、ぷっしゅおんぷっしゅおんと、けされるあかりのスイッチのきこえる、君は水をつまらせて、かくにんす ....
その日記のタイトルは
タイトルなし。
彼はふざけていたし、
彼の日記は辿られる
ことを待っていたように
少しめくれている
空の東を飛んでいる
鳩の、羽ばたきが
止まって見える窓 ....
ぼくの街は牧場にあって、家畜と牧草が丘陵の途切れた柵のとなりで圧縮されて濃密な蒸留水となった朝露を落としている窪みに高層ビルが並んでいた。毎朝、ぼくは上着や革靴に花粉をつけたサラリーマンが灰色 ....
あなたは、オートサリンジャーに近寄っていくお姉ちゃんが言ったんだとおもってくださいよ。それから彼女はあらゆることに意味があります、なんて言ったんだけど、ぼくはお父さんのつま先からくさいをくさいして ....
突然、係員はやってくる。季語の整理をはじめますと手招きをして、観覧車をもたつかせない。あー、ちみね。ちみ、季語でいうところの、間抜けなオリオンだわな。だって、空のはなしばかりしてくるもんね。空 ....
胸のなかで朝がつめたく、一番に鳴く鶏は、庭でブイのように漂っている、モリで、ブイをつけ狙うこどもは沖に流されていく、家の子が漂流している間は、鶏肉を食べながら過ごした縁側に寝床を移し、鶏とこど ....
指の味がしそうな塩水というはなしを書きはじめると、たばこ屋のシマさんが居酒屋おかるの前で足をとめる。月面にでもロシアにでも辿り着けそうな路地を、がに股で歩いているような男が、でてきて、着ている ....
森になれ、
森になれと
実を落とす
森にわけ入る。
馬舎のなかで
干し草を
はむように
からだを脱ぎ
うまれたばかりの
子馬と
父の帰りを
待っていたような
待って ....
海月に刺された女の子が、ひらひらと漂着する砂浜で、ささやき合っていた熟年カップルは、あらわれてはきえていく波の前で石像になっている。
白い波と青い波を残したまま、海は水平線で折り返し、遥か頭上をずっ ....
海に帰る男の子がふえている。海に帰る途中で冬になった東京に寄り、からだを売り飛ばす男の子がふえている。海猫がコロニーをつくるビルを、非常口を確認するように稼いだ金を数えながら、のぼる。うにゃん ....
蜘蛛の子のように飛び散った字で書いてあった
あなたという人のために書いてあった
ぼくの水色のバンのワイパーにはさまっていた、かみきれに、
ぴらろーん、んぴらろーんと、揺れていた、その ....
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