{引用=
まだ、
うまれたばかりの、夜の、
瑞々しい暗色の、
ぬれた線で描かれた物語、
について、ぼくはできるだけちいさな声で、
語りたい、たとえば亡くなったひとの、
骨を拾うように、
 ....
{引用=
すけるほどにうすい、

絹のような繊維の束が、

みずうみのそこでゆれている、

身体の発育と、

精神の成熟のことなる、

理念で圧縮されたじかんの、

それらが ....
{引用=得意ではない、
飛びかたをためしていた鳥の、
シルエットを真似て、
あるいはそういうタイトルの、
詩をかいて、
昨夜の微熱は冷えて、
花びらのような咳をした、
踏切がおりたままで ....
{引用=

毛細血管のめぐるあおい突端の、

これよりさきはもう冬の海しかひろがっていない、

さみしい風景のなかで、年増の女が、

少女のように手にもったポリエチレンの袋を、

 ....
{引用=

鳴らなかった、管楽器の空洞に、落葉や、

発語されなかった言葉をつめている最中に、

妻はかえってきた、わたしはなんだか、

気まずい気持ちになって、ベランダへ煙草を吸いに ....
{引用=


とてもおなかがすいたので、

おおきく口をあけてみた、

すると小魚たちが、

つぎからつぎへと、

のみこまれていった、

ぼくはくじらだったから、

か ....
{引用=


いくつかの言語がすでに死滅した
午後だった、そして花が散ってい
た、なんの動物のものかわからな
い(おそらく数種類の動物の)い
ろんな部位の骨をあつめて、鑢で
みがいてい ....
{引用=
どこにもいかない、はなれない、といった、皿のうえで
ソーダのゼリーがゆれていて、わたしはなんだかかなし
くなって、すこしだけ涙をながした、冷たくて堅そうに
光っているスプ ....
{引用=

少女はあしあとをのこさなかった、水はけのわるい雨にゆるんだ
校庭をあるくときも、また、うすく雪のつもった歩道のうえをあ
るくときにも、わたしは彼女に聞いてみたことがある、それって
 ....
{引用=
ひとつの魂でゆける距離には、限りがあり、人が泣きたくなるときには、
そこにたどりつけないことを既に知らされている、夏の舌を通過する中
央線、転がる発泡酒の空き缶、そのなかには、いくつも ....
{引用=

みなも、
おおきなうねり、
くしゃみを、
すると、
さかなは、
はねる、
おとは、
よろこび、
きみは、
おとなになる、
ずっととおい、
ひるさがり、
から、
 ....
{引用=

おともなく
とりがおちている
水色の
ふちの欠けたバケツに
吸殻を捨てる
おわった花火が
ひたされている

夏は、ここで
行き止まりだった






 ....
{引用=
ふと、
ながいあいだわすれていた
記憶をすっかりと
おもいだしてしまうと
てのひらに
しっとりと汗を
かいていた

かみさま、
午後にはわたし詩をかきました


 ....
{引用=

老いたつま先に、かなでられる季節もあるのなら渇い
たくちびるもかけた肋骨もみなとおりすぎた景色とお
もえばこそ、おろした瞼のうらにも砂ははりつき、水
晶体を舐めるように蜥蜴が這う ....
{引用=

はじらうようにふる雨粒をうすむらさきの傘がやわら
かにうけとめているこの余白は、とおいおもいでの川
をくだるかなしい船、あるいはきりそろえられたまえ
がみ、陽のくれるほうがくをむ ....
しろい紙のうえで、
こごえている、
星や、銀河はここからはみえず、
きのう脱捨てた靴下のように、
夜がくたびれている、
日向にむかって、
老いている、午後には、
じゃれあって、
折りたたみの傘をもつように、
別れることにそなえている、
口のまわりをよごして、
愛なのだという、
いくつものことを同時には、
 ....
{引用=ていねいに、することは、
祈り、をささげることに、
にている、
すばらしいものが、
みな故郷にかえってしまうひに、
売れのこったパンのように、
かわいているのは、
だれのおもいで ....
午後、
いきものの焼けるにおい、
かなしい出来事のように、
くつ紐がほどけ、
まちがいをただすように、
は、結ばれなかった、
海鳥なのか、
サイレンはあおく、
句点を打つように、
銃 ....
架線がきれて、
多くの花びらが散った、
林のなかを、象が、
ゆるやかに、
そのような足取りで、
椅子のない語彙が、
夏至のよるに、
たゆたう、
鐘がなるたびに
とりがおちました
午後になると
西瓜をたべましたが
だれもが無言で
こんなにあおい夏が
ありました
{引用=携帯がなり、
あめがふって、いた、

もったいぶって、
丁寧につつまれている、
断ることもしっていて、
ただ、
のぼったものが、
おりてくるのを、まって、
ときどき、手が、
 ....
積み木、

ほとんど役にたたなかった王国、
風のつよい日に、旗がゆれている、
夏のおわりのひ、
中央広場の噴水で自害したもの、
おおよそ、比喩的に、
再生したもの、


水耕栽培の ....
{引用=それを、聞きのがして、
提燈アンコウのように、ひかり、
ただ、
春を、まっている、
鋏をいれて、ほつれをひろげる、
物語がはさまれる、
この浴槽で、犯行におよんだのだ、
強い、断 ....
mugi(24)
タイトル カテゴリ Point 日付
つぎの本をえらぶこと、自由詩515/1/12 0:02
とあるポートレートの印象、自由詩414/12/21 15:58
ふゆのひかりについて、自由詩6*14/12/13 1:21
指先の冷たさについて、自由詩7*14/12/3 17:24
喉の痛みについて、自由詩6*14/12/3 0:46
テレビしかみなかったひに、自由詩5*14/8/9 21:24
残暑自由詩312/8/19 12:47
海のゼリー自由詩7*12/7/26 22:29
わるいこと自由詩6+*12/7/23 22:33
塩水自由詩7*12/6/23 23:57
ミナモ自由詩3*12/6/8 11:01
うたたね自由詩20*11/5/20 12:52
口内炎自由詩2*11/5/20 12:49
渇きについて自由詩5*11/5/8 0:39
とある雨のひの印象自由詩6*11/5/7 0:19
自由詩5*11/4/27 23:01
ナポリタンのおもいで自由詩2*11/3/30 23:23
帰省自由詩4*11/3/22 23:05
自由詩6*11/3/18 0:31
5日目自由詩3*11/3/17 0:21
頭痛自由詩3*11/3/4 16:02
リハビリ自由詩3*11/2/25 10:35
積み木、水耕栽培の日自由詩4*11/2/24 15:06
蝶番について自由詩6*11/2/19 0:00

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