風やみて
月のうさぎの 眠るとき、
路上に染み込む
小菊の 影を
かたどるように 雪つもる。
組み立てられた
空の下
落ち葉が土に
帰る頃、
分別できない
悲しみが
私の前を
歩きます。
( 祇園精舎の鐘の声 )
曜日を知らない
野良猫も
冬の寒さは
知っていて、
....
炭酸の如き 享楽に
歩幅を合わせる 雨の音。
炭酸の如き 生活に
歩幅を合わせる 雨の音。
炭酸の如き 一日は
妖精たちの ママゴトです。
炭酸の如く 人生が
....
夕陽は車窓に 吸い込まれ
影絵となって 帰還します。
今日という日に 幾千の
足跡残して 帰還します。
今朝の思考が整う前に
夜が招くは 次の朝。
要 ....
きょうは蛇口を ひねらない。
時間にとまってほしいから。
きょうはふとんを たたまない。
帰れる場所が ほしいから。
けれども窓は あけてみる。
ほんの少しだけ あけ ....
川底で
歌う 水草
舞う くらげ。
青や緑の
小さな波が、
彼らを邪魔せず
漂う時、
橋から注ぐ
私の影は、
何度も何度も
揺らぎます。
戦争クレヨン 黒と白。
蒼い地球に 塗られます。
遠い異国に 行かされた
兵隊さんの 黒い靴。
兵隊さんの 帰り待つ、
お母さんの 白い髪。
....
オレンジ色の 悲しみは
小学校の 鐘の中。
オレンジ色の 悲しみは
家路を急ぐ 自転車の
ライトに吸われ、風の中。
オレンジ色の 悲しみと
今宵の月が 重なると ....
トンボの影が 歩道を泳ぎ、
陽射しはそれを 追いかけた。
今朝に生まれた 南の風は、
池にもぐって 青くなる。
街全体の 木々たちに
飛行機雲が 挨拶し ....
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