平坦な道をとぼとぼ歩いていくことが
いつしか当たり前になっていて
地図にない道を通ろうとすることを
鼻で笑うことが多くなった

冗談を言うつもりはさらさらない
仮にそうであったとしても
 ....
かつて心を置き去りにした土地で
足元を掬われないように前へ、前へ

敷き詰められた岩の隙間で浮かんでいるのは
汚れた発泡スチロールの欠片ばかり
忘れられたオモチャの残骸は
ひきつった笑顔を崩さないよう ....
好きなものを嫌いになろうとしながら
他に脱出法がないのかと考えてみる
しかしあくまでそれに固執することで
鎖が外れるのではという可能性も信じている
損得勘定に身を委ねてみたいのに
犯人が残し ....
待ち人でありたいと廊下に立ち
ほとぼりが冷めるまでの言葉遊び
未だに解けない誤解があるなら
不本意な配慮も無駄にはならない


街灯が照らし出すと同時に
忘れていたものを思い出す
何気 ....
誰かを好きになることで
その人を幸せにできると思っていた
そんな過ちを振りかざし
頬を赤く汚してきた

殺さなければいけないものは
純粋紛いの青春か


人のせいにしておけば
きっ ....
傾いた日常の上
遠くへ消えてゆく遊園地
小さな観覧車が今日だけは大きく見えた
カタン、と揺れて 世間に揺られて

ただ西へ吸い込まれる


静まりかえったホームを歩く
冷たくなった1 ....
   踏切


仮に待たされたと考えて
横切っていく貨物列車の裏側には
「さよなら」さえも存在しない
元々は一方的に出来合いとして扱われていたのだから
どこにも間違いはないと言えるのだが ....
いちばん近くて遠い存在として
見境のない誘惑をちゃんと咀嚼する
娯楽にカテゴライズされた挨拶たちと
唆すような評価に付きまとわれて
充実がもたらす疲労、あるいはその逆

座るべき椅子はいつ ....
眠れない夜はどうしようもなく
つまらないことばかり考えている
暗闇の微かな声を聞きながら
雑念の海を泳いでいれば
やがて疲れ果てては沈んでゆく

その頃、星たちはすれ違っている


 ....
手離したはずの選択肢
見渡すことの優越感と
逆戻りする緊張に枝分かれして
毛細血管に絡み付きながら
そっと微笑みに呼び掛けている


遠くなった残り香は
脱け殻を捨てることを拒んだ
 ....
移り変わりの雑踏が庭を塗り替える

浮わついた駆け引きなんかじゃなく
思わせぶりな後ろ髪にやはり騙された
自己防衛の意思がむしろ
赤い眼鏡をかけていることを想像させる


発信源は未だ ....
期待に答えるふりをして

いち、にの、さん で ストップ

サイドステップとあっかんべ
まんざらでもないようだけど
足下、気をつけてね


知ってか知らずかどうでもいい
偽物だって ....
余韻に浸ることもせず
整理整頓に勤しんだ
空になったスチール缶はまるで
私に代わって愚痴を溢してくれそうな気がして

現在、机の隅で待機中


誰も尋ねやしないだろうから
ここぞとば ....
乳白色の制服がやぶれ去り
ひとつだけ取り残された違和感
ありふれた毎日を引き延ばしてやれば
いとも容易く包み込まれてしまう
そこまで小さく押し固めることが出来たのは
紛れもなく私自身だった
 ....
夜更け前、救急車のサイレンは
すれ違いざまに記憶の淵を削っていった
虚無感に包まれてしまって
悲しくないのがなんだか悔しい
まずは壊すところからやり直そう


終わった話を詮索するのは
 ....
在り合わせにかえって思いやりを感じる
わざわざ捻り出さなくても
無ければそれで誰も責めやしないのに
お節介なのは今に始まったことではないので
いつもの舌打ちに心を込めた


昼間の月を見 ....
疲れ果てた顔つき
何の躊躇いもない秒針が羨ましく
刻み込みのリズムを子守唄にしたら
左手の力が抜けてゆく
ほんのわずかに視界が歪んで
部屋を真っ暗にしたくなった


家の裏にいた黒猫を ....
きっかけなんてないままに
特別な理由には目もくれず
ただ夢中で積み上げていく
行けるところまで行ってみよう、と


そんな毎日が楽しみでした


円柱形の白いもの
どこで拾ってきた ....
幸せの疑似体験をした翌朝
依然として闘病生活の真っ只中で
生理的欲求をめいいっぱいに吐き出した
軽い貧血に対して冷静な自分を
少しばかり嫌になる


嫌いなものを嫌いと言えて
好きなも ....
お互いに危険と快感を欲しがっていたから
何かとよく話すようになったけれど
近頃は足の踏み場を探すようになった
笑えないジョークに相槌を打ちながら
暇潰し程度に逃げ道を作ってみる

本当はこ ....
いずれ修復されるだろうと
私はただ見つめていた
やがてそれすらも忘れてしまい
背景の一つとして色を変えた

置き去りにされたもの
斜陽がそっと撫でてゆく


価値がないから捨てられるのか
捨てられて価 ....
用途のない部品を大量生産
食い止める為にはまず
近所のシャッターが閉まる音を聞かなければならない
行き過ぎた妄想がまるでアルコールのようで
ガチャン、と目が覚めたのが少し笑えた


擦り ....
テレパシーが使えるなら誰も苦労しない、だなんて
痛烈な意見にお腹が痛くなっても
やり場のなさはだいぶ楽になった
初めは鑑賞で良かったのになと
泡がどんどん膨れ上がっていく様を自嘲する


 ....
風は強く吹きすぎて退屈
窓を閉じて知った静止状態
想い過ぎてしまわぬように
隣部屋のテレビを許す


クールビューティー
壊してやりたい好奇心
いけないことだよ、と
呟いたその唇を道 ....
流線形を手がかりに
ピースを一つはめてみた
ぴったり落ち着くことが楽しくて
暇潰しではなくなっていた


ピースが足りないから毎日のように探し歩いた
埃の積もるベッドの下
ジレンマの隙 ....
例えば園児の初恋のように
互いに思いやることが幸せなら
目を合わせて顔を赤らめることが
どれほど可愛いことだろうか

ドキドキを無邪気に笑って誤魔化した


持ち合わせていない感覚
 ....
近所のドラッグストアが潰れてしまっていた
もう一ヶ月以上前のことらしい
その間、ただモラトリアムを淡々と過ごしていた
今日あるものが明日あるとは限らないとは言うが
私には今日も明日もない

 ....
退屈そうな視線と頬杖
残暑は緩やかな日々に降り注ぐ
片時も放さないでいたい願望
眠気を忘れて胸が痛くなる
もっと夢中になるために
知らない声を集めよう


迷いの森の中
ずっと深く入 ....
球があった
それは今まで全く転がらなかったが
最近やっと少しだけ動いた
続きを期待したがそれ以上はなかった


しばらくはいつもと変わりなかったが
私が意思表明を始めたあたりから
球は ....
健気に鳴き続ける蟋蟀に嫉妬した夜は
何も思い浮かべることが出来なくて
言い訳の代わりに意地っ張りな顔をしてみる
涙を落とす理由がどこにも見つからない


時々、弱くありたいと考えてしまう
 ....
中原 那由多(120)
タイトル カテゴリ Point 日付
あまのじゃく[group]自由詩17+*09/12/3 21:45
防波堤の風携帯写真+ ...12*09/12/1 0:16
価値観と舞台自由詩8*09/11/25 20:50
カンセツキッス[group]自由詩8*09/11/20 17:29
償い[group]自由詩6*09/11/15 12:48
railway携帯写真+ ...8*09/11/7 18:51
滲みゆく月自由詩11*09/11/1 8:35
偶像崇拝自由詩509/10/29 18:12
テナントの空き箱自由詩3*09/10/26 20:45
50:50[group]自由詩809/10/21 12:35
低温火傷自由詩6*09/10/18 11:32
センチメンタルリサイクル自由詩6*09/10/17 11:16
今宵の待合室自由詩3*09/10/15 22:48
都合いいアレ自由詩509/10/14 16:51
息切れと深呼吸[group]自由詩509/10/11 16:00
ホームグラウンド自由詩709/10/10 18:24
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積木崩し[group]自由詩9*09/10/2 20:52
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底無し沼でワルツを自由詩309/9/29 17:19
忘却の青い時間携帯写真+ ...8*09/9/21 23:26
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ジグソーパズル[group]自由詩6*09/9/9 19:13
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道普請スカーレット自由詩309/9/5 21:07
慟哭自由詩4*09/9/3 20:45
零細と歩く自由詩2*09/9/2 16:05
不器用風に吹かれて[group]自由詩3*09/8/30 11:54

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