突然の雨に
掌で傘を作ってみたけれど
隙間が多くて
無抵抗に濡れていく私です
傾きかけた夕暮れに
落ちてくる雨は暖かい
いつのまにか
大切なことを忘れてしまったようで
メモ ....
昨日までの花びらが
はらはらと零れていきます
それは通り過ぎていく当たり前ですが
惹き付けられてしまうのです
せめて止まってくれたなら
ふわふわと漂ってくれたなら
どんなに優しくなれる ....
今にも
空へ溢れていきそうな桜の花弁や
空へ昇っていくような雪柳の白さに
そろそろと背伸びをしながら
私も溢れていきそうな
春 です
南向きの坂道を
とんとんとん と降りていけば ....
空はだいぶ春色ですが
この足元は冬色です
がりがりと音を立てる
そんな冬色です
前も後ろもまっしろです
雪とは少し違います
地面にしがみついている
構成成分は一緒ですが
前も後 ....
傘の隙間から覗き込んでみると
まだまだ空は真っ白で
そこだけは変わらないでいてくれるから
いつまでも届くような気分になる
辺り一面に響いた雨音を
傘の裏側で受け止めながら
跳ねる地面の ....
遠く 遠く 遠く
それは恋に似た
恋で
スタートラインの踏切り方も
ペースの配分も
わからなかった頃の
記憶の欠片で
遠く 遠く 遠く
それは辿れない
距離で
....
音も無い
そんな雨に出会って
そんな中に
佇んで
包まれて
張り付いた前髪から跳ねる雫も
もう遠くの出来事のようで
霞んでいく風景に
この道はどこへ行くのかと
この私 ....
貝殻の内側に仕舞われたような日々
僕らがいるのはそんな場所で
耳にあてるとざーざーと音がする
うっすらと開いた隙間からは
青い空と白い雲
明日っていうのはきっとあの白い塊で
かたちがあ ....
振り向いた先が
届かない思い出だったなら
胸に少しの痛みを
感じることでしょう
昔のノートを整理していると
ページに挟まってあなたがいました
ピントの合っていないぼやけた横顔でも
....
ここは
風が強い
遮るものは何も無いから
私もざわざわと揺らいでしまうのです
花に昔の恋を重ねるのは
いつまでたっても抜けそうになく
風に揺らぐ花びらに
褪せた写真の中の誰かさん ....
風だって
そんなふうに流れていくので
今日はバランスがいい
青いだけの空よりも
白が適度にちりばめられて
そんなふうな一日だから
通い慣れたこの道に
懐かしさを辿ってしまうほ ....
街灯がちかちかと合図を送ったので
家へ帰ることにした
これといって何もない一日の
夕暮れの空はやっぱり綺麗で
一昨日 昨日 今日 明日 明後日
一直線に繋がっていく
ただ それだけ ....
ある日
届けられた花束は
染められる白だった
昨日見た夢のように
塗ってみようと
絵筆を手にとるけど
色が出てこない
思い出すこともできないまま
走っていたんじゃ
いつか ....
もう
行過ぎてしまったのでしょうか
継ぎ接ぎを当てながら乗り継いで
ここまで歩いてきたけれど
風の叩く音に急かされて
窓を開けて覗き込めば
色と色とが混ざり合った空が
時間の流れ ....
あの頃
画用紙にクレヨンで描いた僕の未来は
今どれだけ かたちになって
今どれだけ ここにあるだろう
一つ足を進めるごとに
景色が姿を変えていくような
約束されたこともない
いつ ....
黄色
ただ一面の
春混じりの風に揺れ
さらさらと
ぱっと明るくなったようなその中に
ぽつんと一人立ってみると
どこが始まりでどこが終わりで
なにが理由でなにが結果で
それば ....
細かい雨が明るい空から降っていた
私はそれを両手ですくい取ってみた
今この掌の上の雨粒も
毎日私から湧き出す想いも
どこか遠いところに染み込んで
いつかはまた私の前に辿り着くのだろう ....
僕はなんでもないという顔をしながら
ぼやけた空を見上げていた
そうしたかったわけじゃなく
僕の掌じゃそれしかつかめなかったから
空に強がりをしてみせる
空に強がりをしてみせる
心にも空 ....
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