嵐の夜、だったらしい
水底を叩くように
爪先立ちで歩く恋だったらしい
苦しくない呼吸で、まだ淡い空を見ていた

今、街は静かに水没して
新しい水面を探している
六月の底辺は、眼鏡なしで目 ....
いつだって夏は長かった
測量を終えたばかりのヘルメット姿が
今年もだ、とかそんなことを言っていた
確認したがるのは何故だろう
何日と、何時間何分何秒
それを知ったところで
今日も君は
左 ....
君の心を何に例えよう
少し寂しい夕立の後の
立ち上っていく夏の小路
揺らげば揺らぐほど迷いたくなるから
雨の匂いを吸い込む真似をしている

あの、雨の匂い
全てを知っている、わけではない ....
窓を越えていくと
広い草原があった
今も昔も、通過できない人の声を
ざわめきながら残すために


忘れていった風の小言
誰のために、それすらもどこか忘れて
いつか、潮騒の混じった空に
 ....
夜半
街灯の柔らかいスポットライトに冷たい風は吹いて
それでも少女は拒絶する
(何を、かは分からない)
優しい夜、ごとに
彷徨う足はなくせずに
寄り掛かりたい気持ちの始まりも
どこに根差 ....
今朝についてを知りたかった
例えば諦めるというまじない
人が、幕を引いていく
そこに眠る、その前に


知らない道を歩いた日のこと
自分の名前さえただの文字に見える
覚えて欲しいことは ....
imagine
想う通りに彼女は
地図を描き大勢の人を生み乱立する街を生やし
たくさんの声に紛れて海に
消えた


ゆらる、君の
なんだろう、ね。覚えたての匂いの尊さ
滑る丘に咲いた ....
否定するフラット
完璧な夜など無い
証明するための嘘もない
孤独と吼える路地裏にしても
足跡は君から四方へと走り続け
その手の指輪は誰との証明を残すだろう
完璧な夜など無い
一縷の隙も無 ....
それ、心に決めた日よりも言葉に似て
擦れ違う日々の基準が誰かの
足音に少しずつ詰め寄られて
僕らは合わせた手の、窓ガラスに触れた
薄い汚れ
それでも風は透明になれる
それでも風はどこか透明 ....
想いはどこへ連れて行こう
涙はどこで手放そう
忘れられないことばかりを持って
僕らは何度もここに生まれた

円く繋がった道を歩こう
いつまでも終われない街を抜けよう
ガードレールの上で両 ....
退屈なものは誰かに任せて
白い帽子をいつも被った
揺らいだ道は長く、長く
熱のこもった視線は透き通る
揺らぐ陽炎、ここでもきっと
長い呼吸は約束されない

ここに来ない人がいた
待ちぼ ....
人がまた、遠くからやってきて
自由な姿勢で挨拶を続けている
寒いと言っていたのは、遠い昨日のことで
引き寄せた椅子に浅く座って
遠く、海ばかりを見ている

すすけた額縁から絵を取り外すと
 ....
もちろん、そこにはいくらでもあった


今を今として見てみれば、行き詰っていたのだろう
記憶にあるものを少し、震わせてみれば
確かにその街はどこに行っても
なにかしら行き止まっていて
そ ....
言葉を逆立ち、させてみても
結局、詩にはならなかった
考えてみれば当たり前のことでも
泣いている自分は誰、なのだろう
逆立ちした言葉は、はらはらと零れて
何でもないもの、になってしまう

 ....
小さい、部屋。手を伸ばせば窓になれるし、空を少し撫でることだって、出来る。秋がくる、それまでにまだ、これほどの空気の壁が出来ていて。目を閉じても、耳を塞いでも、短い呼吸で手を伸ばせば、僕らは寄り掛かる .... いつか、と
少し頭を抱えるくらいで旅立てる昔話
私たちは傘でした、と言えば今でも信じないでしょう
折りたたまれた言葉の上で
降りかかる、(時々には)人や人から零れた
何か
を、払いのけなが ....
長い髪を引かれた後に、残していった重さ
開いては閉じて、を繰り返す手のひらに
理由を隠す隙間なんて、どこにもないことに気付く


もうここにはないもの

空をかき混ぜた手
海から斜めに ....
いつもほんの少しを数えたくて
それは真っ直ぐに見えない夜のために
道に帰れないその日のために
僕が、ほんの少しを数えたくて
出来るなら、そんな僕のことを
少しでも待っていてほしい、とか

 ....
足跡は
続いていく交差点の
その先に落ちている
踏締めるには少しだけ、遠い景色

よくありそうな一日を
(転がるように)


 *


無駄なことだと、言葉にしたものと
無駄 ....
光はゆっくりと、枯れたいと願う
誰かの言葉を
爪先まで飲み込んだ、午後
仰向けに動かない
私の側で

ねえ、と
呼びかける言葉の温もり
そんな響きが懐かしいと
思う私があんなにも、遠 ....
何もない景色があった
見たこともないものを、憶えているのは
緩やかに消えていく光のせいでしょうか

眠れない、夜ならば
明日の仕業にしてしまおう
結局、かたちばかりが残った
匂いが泡立つ ....
折り返してみれば
まったく同じ毎日だよねと
誰もが皆、困った顔になる
根拠のない言葉の向こうで
街外れは、もう外れじゃなかったし
川にいたはずのメダカは、いつの間にか消えてしまった

私 ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
東京が、間違えている
霞む家並みと赤い夜の下
眠れない腕の中に同じような灯りを抱いて

夢を、覚めない
点から散らばる線に乗せて
人と人とが離れていったころ
夕暮れを繰り返すビルの窓から ....
そうして
幼い僕の侵攻は
今、どれくらいの位置にあるだろう
左手をここに
全てが巻き戻る下り車線に添えて


旅のような言葉があった
細い腕で、深い夜に何かを抱えて
昇りそうな気持ち ....
朝が来るごとに
あなたが私を忘れていく
遠い誰かの名前を呼びながら
階段を上っていくその背中は
その先へ、飛び出していくように見えて
私はそっと指先を噛む

目の奥を覗き込みながら
通 ....
青を返してほしい
そんなふうに君の冬が終わる
言葉や言葉で、足りないものを補おうとすると
真ん中のあたりで呼吸が足りなくなって
いつも空っぽになる風に
くるくると回転してしまう


帰 ....
─ほどに。



それほどに、それほどに
行方は逃げていきますか
黒縁の窓枠と
フクロウ
僕の机にあるものは
一日のからくりと
枯れ草と
青いビー玉の金魚鉢
いつでもとても綺麗 ....
森には染み渡る声が

扉を開ければ触れない写真の自転車が

東京に、はじかれれば零れていく生活が

薄い川の堤防に腰掛ける人の背中に染み付いた匂いが


襲い掛かる全てを
まな板の ....
新しく始まるための時計の
その呼吸を練習している
一つのことが、大きすぎても
それでも朝は生まれてしまうので
一新される心音を、他人事のように聞いてしまう

どこで区切っても
省略できな ....
霜天(468)
タイトル カテゴリ Point 日付
誕生日自由詩1506/6/7 1:48
長期休夏[group]自由詩506/6/6 13:08
指結び自由詩306/6/6 1:42
風切り自由詩406/6/5 1:57
三重らせん自由詩606/6/4 17:43
縷々として自由詩806/6/3 1:50
想う、描く世界の自由詩406/6/1 2:03
存在するフラット自由詩406/5/31 2:08
遠心自由詩806/5/28 1:49
蒼送自由詩1606/5/25 1:12
永日自由詩306/5/21 15:36
遠洋自由詩806/5/21 1:55
十字路の見取図自由詩806/5/20 3:14
逆立ちの位置自由詩306/5/13 20:21
明日、いつも通りに自由詩606/5/6 0:16
通過駅自由詩606/5/4 1:48
自由詩506/4/30 1:24
10までを数えて自由詩7+06/4/22 1:59
13自由詩1106/4/16 2:30
午睡、散るように自由詩806/4/9 1:55
喪失の後先に自由詩906/4/2 2:04
翌朝自由詩406/4/1 1:46
少年予定[group]自由詩4506/3/29 1:41
首都高自由詩706/3/23 0:33
下り車線自由詩406/3/22 0:59
薄いインクに自由詩506/3/20 0:52
かざぐるま自由詩206/3/19 2:07
仮住い自由詩306/3/18 1:57
Life自由詩406/3/17 1:37
空景自由詩506/3/16 1:20

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