君の操る必殺技を
よく知らなかったので
不用意に踏み込んで
吹き飛ばされてしまった
それと同じような時代、なのかもしれない

人は満水になると、河へ


誰の肩にも当たらないように夢 ....
ささやかな私たちは
長い夜、ごとに膨らんでいく
収まりきれない部屋の、隙間に涙を込めて

名前を、呼ばないで
私たちを訪ねる人たちの
声がはぐれていくから


 月夜に
 ゆっくり ....
夜に、時々の夜に
震えるほどに凍えてしまう私なので
留まるために何度か
君を殺したことがある
深い深い、寝息
子守唄はいつもどこから来て
どこへ行くのだろう

私たちは何が怖くて
寄 ....
さあ、消えていこう


ほんの少しの朝食を
僕と君とで分け合ってから
いつもの通りに鍵を閉めて、出かける
いなくなるという夢を見た
そう伝えると
青色の封筒を渡されて
そこだけは、確 ....
知っている、いくつかのこと
夏の庭の緑色のほんの抜け道とか
結局隠し切れない足跡だらけの秘密とか

忙しい時間の合間を縫って
何度目かの夏について語り合う
語る言葉の分だけ夏は増えていき
 ....
事故でしょうか
街は騒ぎ始めて
右手と左手を合わせるカーブは
さよならを言う前に出会ってしまったのでしょうか

空はまだ海になる前で
息継ぎも満足に出来ないまま
底で跳ねるうろこの心音を ....
終わっていることなんて何一つ無いのかもしれないけれど


過ぎていったものを数えていくことが
明日までの時間を辿っていくことよりも
難しくなったことに気付いた頃
過呼吸する部屋に出入りの激 ....
青い目をした窓の向こうの
君かと思うので
遠い朝の海を見せたくなる
手を引いていきながら
引かれている僕の胸の穴からは
いつも空気が漏れていく
見ないでいてくれる君のために
朝の海へ、連 ....
あなたは閉じていきますが
私は閉じませんから
どうぞ
緩やかな言葉だけを

まもなく
向日葵の咲く頃です
その向こうで夏草は
焦らすように香りを時には隠すので
好きですから


 ....
空はポケットには入らない
それに気付いたのはいつだっただろう
今日もよく見ずに空は綺麗だと、決め付けている
届くことを諦めるように、未だに雲にも触れていない


久しぶりに早い電車で、帰っ ....
全ての言葉が、その海辺へと集まっていく
見送るためでなく
出迎えのためでなく
肩からの荷を下ろし
波打ちへと捨てていく
やりきれない空の起伏を
ひとしきり戦わせた後で
すこやかに
ただ ....
雨の後には、薄い煙のような街で
君はすっかりと拡散してしまっている
夏は暑すぎて
僕らは重すぎて
渡るつり橋はどこにも見当たらない

この粒の一つひとつが
誰かのため、になっていく
昨 ....
君の欠片がまたひとつ、足りない
玄関を出たところで気付いたけれど
君はそのまま飛んでいこうとするので
あわてて、腕を掴むと
そこからいろんなものが、外れてしまう

繋ぎ合わせようと、もがい ....
閉じられた、そして
知ることもない雨が過去になって
それでも夕暮れと朝には
部屋は明るくなるので


花暦
今の頃は
冷たい雨を探す前に
どこに行けばいいのですか
すべてを抱いたま ....
あなたが海に沈んだ日
僕らはなんでもない一日を
なんでもない日常に組み込もうとしていたところで

ざわめく
白地図を埋めていきたかった
その上にも空はあって
雲は浮かんでいたはずなのに
 ....
知らない雨が通り過ぎて
心音だけが聞こえる部屋に
やっぱり私は取り残されている、のかもしれない

何かが去って
その声が聞こえて
足音が混ざり合って
雨の
ぱたんぱたんと
庭に置き去 ....
遠くを見ています
遠くを見る、街はやがて浮上します
見つめるものはいつだって純粋なものを零していくので
俯けば私の、足跡だけが追い越していく

浮上する声の下で、見送る人がいます
誓いに誓 ....
そこから音が消えてしまうと
彼は言葉で演奏を始めた
語るべき言葉を失う日のことを
ただ、朗々と奏で続ける

少しずつ無理な景色が増えていくと
喪失の夕暮れに出会ってしまう
燃える朝が安く ....
いつも、片側想いだ
7つ角を潜り抜けて
それでも、
空の側面にはなりきれない
いつも垂直に切り立つあなたの、
夕暮れ
薄い化粧も、追いつくことをしない
少女、の

目を凝らして、見え ....
そして滑り落ちていくだけ
ガラス張りの部屋の中
なぞる縁を越えてしまえば
曇り顔の一日は

それでも白線はまだ若いので
すべてのものに区切り過ぎてしまう
おはよう、の合図ですべてが落ちて ....
ついに、越えていかれるのですね。


拝啓、海沿い、立ち並ぶ風車に。ごろんごろんと音をかき混ぜる大きな手に、何でもないことを、挨拶のように振舞うあなたに。ここを、越えていかれるのですね。知ってい ....
誰かがその両手に言葉を沈めた
すべての夜が時間通りになっていく
長い石段のその先で祈り続けてみた
世界はそんなふうに縁取られて

三十回目の離陸の後で
飛び立つ行方のさらに遠くをご覧なさい ....
時間が、かたちになるとしたら
思うよりも綺麗に見えるかもしれない
夕日を右側に受けながら
止まった部屋が揺れた気がする

ほんの少しのリズムを
みんなが取り戻していく
いつかよりも欠けた ....
東京は深くなっていく
今こうしている間にも
底なしに流れ込んでいく風に乗せて
僕らは深呼吸が出来るようになっている
そんなふうに、少しずつ思い出しながら
東京は深く、なっていく
君は回答を ....
雨の部屋に静かに崩れる砂の声に
それでも傘を差せずにいる
いつも狭い夕暮れだった
零れていくものといえば、僕らの影ばかり

当たり前なほどに
当たり前はなくて
二十年後の空の色よりは
 ....
いつも眠ることばかりを考えていました
枕の硬さが場所についてを語っているので
少しばかり、指先を開くようにして
眠る場所のことばかりを想っていました

安息は帰りましたか
こちらでは同じこ ....
君の声を聞きながら
僕は背中で昨日の夕陽を夢見ている
後ろ向きに眠りたい夜もある
紙飛行機だけが日付を越えていく

いつも聞こえるユーモレスク
君はどこまでも繰り返しで
世界はいつでも思 ....
鍵を掛けたかどうかを忘れて
それでもここまで来てしまった
世界の青は静かに落下して
戻れない道の重なりにいる

昔の話をしようか
言葉でしか帰れない、場所がある
こんなにも遠い西の果てで ....
思い出だけで終わらないために
日々は刻まれて
小さく、はらりと落ちていきそうなものが
私の中で対流している

一番最後の麦藁帽子が
夏の見える丘の、少し西の辺りを
沈んでいった日のことを ....
望んで、息を止めている
駆け抜けていったのは誰だったのか
その先に生まれない景色を夢見て
地図の見方を覚えていたはずだったのに

信号の変わる瞬間を逃さずに、狙撃する
駅前の海は潮騒を響か ....
霜天(468)
タイトル カテゴリ Point 日付
優しい時代自由詩906/7/18 0:25
鬼灯自由詩506/7/17 0:28
君の河が海に混ざる、その前に自由詩606/7/16 0:24
雨通る、風溜りを越えて自由詩606/7/15 2:17
返還時代自由詩206/7/9 1:15
うろこ自由詩406/7/8 2:42
過呼吸の部屋自由詩106/7/7 1:13
遊歩道自由詩806/7/6 1:24
closed,closed自由詩806/7/4 1:51
余日自由詩306/7/3 1:46
水際へ自由詩1106/7/2 0:09
融和自由詩506/6/30 0:39
練習自由詩806/6/28 0:01
closed,and自由詩606/6/26 0:23
closed自由詩406/6/25 0:54
閉じゆく景色へのプロローグ自由詩606/6/25 0:28
遠望自由詩406/6/24 1:05
奏失自由詩806/6/23 1:15
片側想い自由詩306/6/22 0:15
水時計自由詩406/6/21 0:44
good-bye circle自由詩806/6/19 1:02
遠近法自由詩406/6/18 1:58
メトロノーム自由詩906/6/17 2:09
アンダーグラウンド自由詩306/6/16 1:06
蒸留水自由詩706/6/15 1:14
祖国自由詩1206/6/14 0:20
ユーモレスク自由詩506/6/12 0:06
碧落自由詩706/6/12 0:05
曳航自由詩1306/6/11 0:51
ハロン自由詩906/6/9 0:55

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