逃避することなく
忍ぶ雑草の
落とした欠片が堆積し
抜け目なく堆積し
雑草はその上に生え
束の間の自由の後
青い風が再び吹き荒れる
そのたび
堆積され
いつか
至上の高 ....
人気の無い夜の歩道を
急ぐ足音の先で
秋との別れを惜しみ
接吻を交わす銀杏の葉が
スナックの外面を飾るライトによって妖艶に照らされている
細やかな風が吹き
一枚の命が
....
歴史の産んだ傘の下
横殴りの霧雨に
豊かな陽光に
赤子は無様に踊り出し
自分の椅子を蹴り飛ばし
飛んでいったそのイスが他人の椅子を倒したりする
遠くのほうでは
吹き荒 ....
テーブルの上に置かれた
鋭利なナイフを手にとって
女の子は微笑んで
近くにいた男の子は
それを横目に見て
気付かれないように
徐々に彼女と距離をとって
地球は丸く
彼は ....
青空が美し過ぎて
心がそこに映し出される
予想以上に汚れていることを知る
僕はそれを凝視できない
美は写真のように真実を映す
曇り空は何も語らない
美し過ぎて
....
知識が知恵を身に纏い
一万年の時を経て
「戦争」はインテリ同士の合コンとなった
進化が生んだ波紋は進化によって収束した
そんな時代の中で
古い理想の凧を掲げることは
独善的過ぎるだろう ....
汗臭い蟻が 判然としない表情を浮かべ西に向かう
疲れているんだ
それは無意識
歩いているようで 実は新幹線に乗っているようなスピードで
毎日を駆けている
降車出来ない新幹線の小窓 ....
猫がぴたりと足を止め
こちらを睨み付ける
近付こうと歩み寄れば
どこかへ走り去る
強風に攫われた葉は
コンクリートの上で何を思う
拾い上げ土に還そうと歩み寄れば
自らの意志で歩き ....
美術館を彩る 著名な画家たちの絵が
一つの瞬きの後
全て白く塗り潰され
説明書の無い人の欠片が
跳ねるように外へ散った
空の色はまるで制限速度のようで
ここから再び
平坦 ....
とっくり形の標的が 隙を狙い歩いてくる
全てを飲み込もうとしている
十ポンド以下のボールでは 最早足を止められない
急造の柵でレーンを封じ
握力の回復を待ち
十一ポンドのボー ....
何処から来たのか知らないけれど
擦れ違ったから
おはようと声を掛けた
でもその人はチラッと僕に目を遣って
道に戻っていった
求めるな、とか言うけれど
求めるのはいけないことかな
....
整形をして 性格も変わったアイツがそこにいて
新幹線並みの速さで明るさを増していく
放っておけば アイツは海に殺されるけれど
その前に 天は優しい雨を地に降らし
アイツは文句と
再会 ....
すーっと長く伸びる道を
ぼーっとしながら歩いていたら
見たことの無いおばあさんが
垂れた目尻で微笑んで
知らないうちに 僕の手を取っていた
とても可愛い笑顔だった
手を繋い ....
今夜は月が無い
そらには
星がいくつかある
でも
本当は今夜も月はある
そらには
星がたくさんある
どちらをいきればいいんだろう
おぼろげな
十日 ....
長旅を控え
憂鬱そうな面持ちで空から降り注ぐ雨は
通り過ぎるたびに僕を睨む
僕は引き出された罪の意識に連れられて
目を瞑りタイムスリップ
産まれし宮処に似た感覚
周りに ....
尻のポケットに入れていた
くしゃくしゃの写真の隅っこに
小さく映る花を見つけたら
青空の下 差す雨傘は
重みを増してしまうから
写真は元の場所に仕舞い
車のサイドミ ....
深く誘われ
今夜も私は心を見失った
ふと 傍を見ると
鏡に向かって犬が吠えている
鏡に映るソレに、烈しく吠えている
ワンワン、などという
生温い吠え方ではない
....
青の濃淡の美しい空
左斜め上には太陽が輝く
その餌が一人の男を鳥にした
非日常の世界に我を忘れてそいつは三日間飛び続けた
四日目の夕方になりやっと地面に降り立ったそいつの足は 見事 ....
犬よ
お前は言葉を話せない
それでも私はお前が好きだ
だからこそ
好きでいられるのかもしれない
犬よ
お前はどういう気持ちで私に近づいてくるのだ
私は相思相愛だと ....
故郷の町を
その匂いを味わいながら歩いていると
偶々爪先に小石がぶつかった
僕はそれを拾い上げた
すると何故か
夕陽を見ているときのような
対象の解らないノスタルジアが僕を包んだ
....
一枚の葉が風に吹かれて
僕の唇に当たった
紅色のそれは
二年前の秋を想起させた
あれは 越冬の為に
神様がくれたいたずらなプレゼントだったのか
自動的に進んでいく機械に乗った僕を
....
ゆらゆらと
幸せが蝋燭に灯る
仄かな温もりが カーテン越しの夕陽のよう
もっと もっと
そんなんじゃあ腹が減る
四ヶ月後
耐えきれなくなり
新聞紙にその蝋燭を近付ける ....
哀しみを連れ
鳥が空を行く
鳥の涙は
地を燃やす
罪無き葦の 時間も奪う
遺された悲しみの上
生まれ来る葦が笑えるように
鳥籠の主よ 美しくあれ
もし君が僕に銃を突き付けるなら
僕にも銃をくれ
そして七秒くれ
互いに銃を突き付け合うんだ
僕は引き金に指を掛けないけれど
突き付け合う必要があるんだ
突き付け合って五 ....
石から人の想いを感じ取る
櫛に平和を思い浮べる
僕はそこに僕を見る
はっきりとした輪郭の
名の知れた詩人の詩に
美を感じる
店で流れる知らない曲に
耳を傾けている
....
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