ハルオは女の眼球をぐぬりとえぐり出した。ぶちゅり、ぐちゅり、じゅぽ。その音と指先の温かさに快感が重なった。鳴き喚き逃げ惑う女を高揚感と羞恥心の中、ただただ見つめていた。 ハルオは自分の瞳がえぐられそこ ....
とんとちゃぷんが同時に聞こえる。赤い長靴をはいた嬉しそうな女の子。コンクリートを叩く音。それと水を叩く音。傘なり溶ける。遊びながら彼女は舞う。雨を演奏しながら無邪気に躍る。花も舞い。塵。花となる。空気 ....
「よくあることだ。平凡で幸せだとさえ思っていた。大きな幸せを経験したとも。」
ぶつぶつ言い歩くペンギンが、何回目かの卒業式終わりの送迎バスで手足の置き引きにあった。助けて欲しいペンギンは、派出所か ....
―右向けー、右ー、左向けー、左
点けっ放したまま寝てしまっていたテレビの音で俺は起きた。清々しくない朝に髪を撫でつけながら、リモコンでテレビの電源をオフにした。
ベッドに腰を据えたあと、猫 ....
PETボトルが爆発し、粉砕
ホログラムよって分譲型マンション階下にひねもす
頭が高い
双子座の球児、よもすがら蟹座の次女を思い詰めミルク
順番も理解らないまま嫁が施す手料理―その白昼夢 ....
隣町で行われた口喧嘩大会の優勝者が不毛な砂漠のこの町で哲学者だと誉め称えられていた。
僕は昨日設置されたばかりの障害者専用ポストに手紙を投げ入れたところだ。
普通郵便と同じ切手を貼るのと引き替 ....
ブリッシュノンブリッシュノンブリッシュノンブリッシュノン・・・
いくらなのでも買えるようになったと白痴の呆気が私の部屋に来てからずっと呟き続けていて、とうとううざったくなった私は「お前に対して生理 ....
私に何も聞いてこないのに井上くん私のこと一人で好きになったり諦めてきたりまた見つめてきたりするの。
そういうところが子供っぽいから、井上くんとはもう話したくない。
ねえ由香先生、私最初は井上くん ....
こめかみを指で引くまではインターネットをして、アイドルが犯されている動画を見ていた。薬漬けで捕まっていないこの悦はまだIT社長の顔も持つ。用意していた善い仲間は何人いるか廻らしたら今朝の朝のあの手錠は ....
真っ青なネコが動物園から逃げ出した。
翌日、ゴシップ紙は我先にと騒ぎ出した。
右の人差し指と左の薬指を擦り合わせると、奈良の山奥にいるその青いネコが「みゃあ」と鳴くのが聞こえた。
その声だ ....
布団の中でいつもこれと思っている巻き貝以前の中毒患者が不変に見惚れるのは何か違うと指を鳴らす黒執事。
ぱちんと音が鳴りムニエル。
一方が立ち止まり、つられて顔部分を黒く塗りたくられた壁のはり紙を見はじめ、所感を述べあう二人がいた。一人は融けかけたアイスを食べていた。わずかに背の高い方はその内容に人生を絡めて例えた。少し背の低いも ....
昨日、彼女が逝った
家族に看取られ、布団の中で
彼女は少しうねるクセ毛の似合う女の子だった
名前は今じゃもうイニシャルしか思い出せない
K・Y
彼女はいつも名前を省略して、そう、物 ....
ここは第六世界太陽系惑星地球・日本国東京都四丁目のバーの中。
私はバーテンに言った。
「二、三個前のさっき、私が飲んでいたカクテルは料理だね」
バーテンはシェイカーを振るのを止 ....
揺れてほつれた柔らかい糸
歩みは途絶えた
息絶えた骨は何処かへ
口角だけが笑ってる
螺旋
水溜まりの中心はもう見れない
温い体温と垂れたこうべ
矢は折れてもなお突き刺さる ....
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