綺麗な花 綺麗な空
何の絵の具を使えばいい
汚れた壁 汚れた水
何の絵の具を使えばいい
所詮誰かの額の中を
彩る小さな存在で
歪な影 ....
春、物陰に隠れた君が指す
碧を手離した空
忘れた誠実と平静を解く
閑散な街に響く駆動音
銜えた脛骨を道端に捨て
逃げ出した犬は消えた
猫の砕けた悲鳴
....
白線の内側で
猫と戯れる間に
白線の外側で
飛沫は舞い散る
白線の内側で
傘を差している間に
白線の外側で
光は唸る
白線の内側で
煙を吸い ....
枯れた花と風の色が
変わりそうでずっと見ていた
流れて行く雲の顔は笑っていた
そんな気がした
このまま世界の中に
紛れてしまえたら良いのに
壁の空 ....
血の色は紫
ここには受け入れられず
また次へ向かう
血の色は紫
昨日を終えないままで
また朝日を見る
撃ち落とされた鳥の羽は
紫に染まり始めていた
....
片側にばかり
痛みを打ち付けて
逆側はいつも
浮いてしまおうとする
結局は
浮ききらずに沈みきらずに
漂ったままで
飲み込んだ水は
呆れる程綺麗で
汚れ ....
澄み切った青は不気味だ
今にも飲み込まれそうだ
鏡越しでは
やけに小さく感じた
寡黙なヒロインを演じた
全て作り物の心だ
濁っているのか
端の方は鈍い色で
....
白く
何があるでも無く
そこに居たのは
確かだ
淡く
ただ差すだけの光などは
無力だ
今
オレンジと黒が絡まって
二つに分かれた
表と裏か ....
今何もかもが見えなくなった
その光が眩し過ぎて
焦がれた境界線
砕けて混ざり合って
今世界が黒くて白くなった
見えるようで見えないようで
....
白い壁を伝って
流れ落ちる静かな響き
桜まで飛んで
ためらい無く散った
今日も街は曇って
ひらり浮かぶ壊れた羽
桜まで飛んで
溶け込めずに落ちた
涙 ....
それだけで
たったそれだけで
僕らは繋がる事ができる
それだけで
たったそれだけで
僕らは笑い合う事ができる
それだけで
たったそれだけで
僕らは傷付ける ....
腕時計
壁に掛けても腕時計
変な話だ
腕時計
棚に置いても腕時計
変な話だ
いずれ何処でも時は動く
いずれ何処でも時を刻む
淡く闇に溶けそうな
静かなる夜に
人知れず月を見ていた
主張した金色に比べれば
あまりにもちっぽけで
風が下手くそな歌を
届けてくれるから
儚くとも愛して居 ....
揺れているんだ
青い葉の木に吊されて
揺れているんだ
僕は味気無い無地のブランコ
揺れているんだ
夕方の風にさらされて
揺れているんだ
僕はオレ ....
何かを見ている
何かを聞いている
何かを感じている
そんなことを繰り返す
定規で区切った四角の中で
ひたすら歩いている
ひたすら喋っている
ひたすら寝ている ....
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