丁寧に陳列された人々の隙間を歩けば
子供売り場には小学生が男女別に並んでいる
わんぱくそうな男の子を手に取ると
お腹をペロッとめくって
臓器の色合いをチェックしている御婦人
その隣りでは
....
断崖絶壁を途坂している二人の若者は
時にはボロボロの吊り橋で命を落としかけ
時には鉄砲水に溢れる激流に呑まれかけ
数多くの絶体絶命を積み重ねながら
それでも尚、前進を止めない
愛する家族 ....
十脚目、オウギガニ科
饅頭は饅頭でも毒饅頭じゃないのか
外観も毒々しい上、
体内にはサキシトキシンという猛毒が含まれていて
そりゃあ、危険なこと確かなのですが
丁度、手頃なサイズです
ひょ ....
強がって 悲しんでる姿が
とても怖かった
自分の首に
紐を結わえ着けて
先っちょ
勝手に握らせてさ、
僕のこと、本当に大切に思っているんなら、絶対離しちゃだめだよ、
笑顔で突き飛ばそうと ....
お誕生日、おめでとう、
お誕生日、おめでとう、
蝋燭の灯を、吹き消した、
笑顔いっぱいに、吹き消した、
いざ、食べようとしても、
蝋燭を抜いたなら、残さず引き抜いたなら、
とっても無惨 ....
ねえ、ほら こうやって
指と指の隙間で
絡み合い、てのひら合わせて
肘の先まで密着させたら
何だか、抱き合っているみたいでしょ
ねえ、ほら そのまま
てのひら 少しだけ解いて
折り曲 ....
この頃は心境の変化からか、つげ義春ばかり読んでいる
萩原朔太郎に耽るのは止めた、鬱が止め処なく成るに足るから
(痰が絡んで仕方が無い)
止め処なく、
酒に浸って惰眠など貪れば、虞美人草に深 ....
季節のざわめきは
ふきのとうの頭から軽く跳ねて
たんぽぽの綿帽子よりも、緩やかに
歌声に、散った
空
飛んで行く
、飛んで行け
遠く日本海側からの寒風に彩りを添えて
....
ひとり、空を仰いで佇んでいると
菜の花畑が、ざわざわと這いずるように分かれて
モンシロチョウを追い散らしながら、跳び込んで来る
これでもか、っていうくらいの
満面の笑みを担いで
息を切ら ....
ぼんやりと
視界の縁に揺らいでいる
僕は多分 君を見ているから
やわらかな陽射しに包まれて
ここは海に見えるのかもしれないよね
でも
いつしか君は居なくなっ ....
なぁ、注さん。ちょっと、話をしようか。
高木と志村は、浮世のしがらみというか・・・仕事で、ちょっと来れないんだよな。
加藤は、あいつ、渋滞に巻き込まれているんだ。
(中略)
注 ....
掃除がてら、倉庫の中を漁っていると
どかした箱が崩れて 戸棚に当たり
中から石鹸液の瓶が転がり落ちて
割れて
辺り一面に
昔の病院、独特の
何とも言えない、嫌な雰囲気が立ち込めた
....
軒先で繰り返される 喧騒は疎らな囀りで
それは押し寄せる細波や そよぐ木枯らしよりも小さい
時は氷河の流れよりも緩やかに 木漏れ日を浴びている
人々は これでもかというくらいの反芻を
享受しつ ....
久し振りの雨音で目が覚めた
六畳一間がしとしと濡れる音
しずくのざわめきが障子から
淡暗い午後の光に溶けている
繰り返し寝直しても浅い眠り
一人だけだから広過ぎるのか
持て余す ....
ぬくもりは、いつも
土の匂い 木の匂いで出来ている
どれほど年老いても、銭湯の湯気の中
その存在感には
富士山も
霞んで消えて、行くばかり
角材を担ぎ上げる姿 のこぎりをひく横顔
....
まだ明け切らない静けさが、寝苦しかった空気を風に乗せる
この町の朝は早い、大きな篭を天秤状に担いだ女性が傍らを通り過ぎる
現地語の上手く話せない僕は、取繕った笑顔で「おはよう」と呟いた
彼女たち ....
いじめられっこの兄妹が居ました
二人は青い目をしていました
とても奇麗な、青い目
とても目立って仕方の無い、青い目
いじめられ続けた六年生のある日
兄は同級生に刃向かいました
....
サマワ サマワ サマワ 見渡す限りの 砂漠は
サマワ サマワ サマワ 風が通り 過ぎるだけ
今日も 地平の果てから 祈りの声が 聞こえる
熱い ひざしの中で
....
とことことこと、ひかることあるくひるさがり
ぼくはひかるこのかげ、ぺったりくっついてあるく、とことこと
ひかるこはひかることがだいきらい、あんまりひかるとぼくがきえるから
ち ....
おいしそうなピザの表面には、とろけるチーズがアメーバのように触手を伸ばし、その際限無く広がり続ける指先は僅かに残っているトマトソースの海にまで注がれ、いびつに輪切られたピーマンの輪郭が、かろうじてそ ....
せんえんさつ
ちょきん
ちょきん
はさみのおと
ためても
ちょきん
....
2つの景色が広がる部屋で
慣れた方に 疲れて眠り
新しく思える側に 足を向けた。
流れっぱなしのFMに
11:30が 静かに響く。
....
「ああん、破水しちゃう!!」
「ちょっとまって、この姿勢で。」
「いいけど、5分で済ませて頂戴。」
「その唇で、やさしく吸い尽くしちゃって」
「ベルマークより、キスマー ....
友人の結婚式には、彼此もう6回も顔を出している
親族の方に職業を聞かれる度、自由業と答えては訝しがられる
今時、その歳で時給750円で良いのかよ
こないだの同窓会では、そんな当たり前の事で突付か ....
カコカコカコカコ、カコを見ている人ばかり
互いの顔なんて誰も見ちゃいない
只ひたすらに
カコカコカコカコ、カコに没頭
カコを見ている人ばかり
その画面の向こうに、未来はあるのかい?
軽 ....
ダイエットしなきゃ、が口癖の姉
断食して水だけ飲む生活をやってみたり
耐え切れなくなって、
林檎や人参ジュースに切り替えてみたり
その結果、
ほんの数?落ちてたりすると
それだけで、すぐに ....
行きつけのラーメン屋兼居酒屋、久留米の親父さんは
酒が回ってくると
いかつい顔を、ほころばせながら
五木の子守唄を歌う癖がある
いつもの寂れた店内の
やたらと綺麗な朱色のカウンターの上に
....
おとついのおかあさんは にんげんだった
たまにようじを すこしわすれた
きのうのおかあさんは にわとりだった
さんぽあるいて ことばをわすれた
きょうのおかあさんは はとぽ ....
声を出してはいけない、喉が貼り付きそうになるから
何本もの針が、くまなく全身を突き刺しているかのようだ
指先が麻痺してきた、足を棒にするという諺は
この国にこそ、ピッタリなのかもしれない
ソリ ....
皆さんは当然ご存知でしょう、こぶとり爺さん
誰もが一度は耳にしたことのある、とても有名な昔話
登場するのは2人の爺さん、共に頬っぺたに、こぶがついていました。
善良爺さんが、雨宿り中に眠りこけて ....
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