臙脂と茜 間の袂が ひらりひらり
本当の気持ちは金が走る襟の下
黒い帯締めや大きな花が散る白い帯で
殺している

恩師が朗らかに告げる
あなたはいつまでも鶯ね
そうおっしゃってくださるの ....
いなくなったあの子
背中を向ける細い体
人工的な色をのせた唇は動かない

2012年10月30日 満月
かぼちゃ色の光が浮かぶ
ハローウィンにはフライング

あの子と私は同い年
闇色 ....
鏡の中で紅潮した私がこちらを窺っている

小柄な体から伸びる肢体は
年に見合わずに隆々と天地に抗う

風を切る快さ
山の心地よさと厳しさ
教えてくれたのは父だった

いつかの黄ばんで ....
ぽとり、と蝋梅
黄色い窓を覗く
すると向こう世界の隅で春が騒いでいた

「梅、桃、桜の順で咲いていくのよ」
「そうして、春になるの」

白い酒器の表面に落とされた桜
注がれた梅ソーダが ....
それはとてつもない絶望であり
そして希望となった

手が白い

夜中二時前のピアニスト
ショパンの英雄ポロネーズが無音を切り裂く

何かを彷彿させてから飛び出す高音
低音も楽しみ ....
うだる夏

蔓をのばし 背をのばす
巻きつく ぐるぐる
行き先はどちらですか 
天ですか それとも天国ですか はたまた地獄
 
我が家は関東と東北の血筋が強いもので
ゴーヤなんてそんな ....
脱皮する
ブレザーは自由を解放し
スカートと花開く
赤い蝶が花に止まり蜜を吸う

さよなら、高校生

僕は明日に羽ばたくのだ
トンネルが唸る
待って
私はまだそこへは行けないから

書けない
音が湧き出てこない
聞きとれない音を譜面に走らせることは
夢を食べるのと同じこと

ねえ それはおいしいのかしら
 ....
客電(#60、70、80代)、カットアウト

あなた 言ったわね
もう二度とお礼は言わんって
だから信じていたの
こっちから一方的に言いまくってやるって

舞台(#0)、フェードイン
 ....
快晴とは程遠い 灰色の空
本日 あなたはついに最愛の人の隣で永遠の眠りにつく

見守りにいけなくてごめんなさい
あなたの娘とその夫が
私の分も あなたが永遠に眠りにつく姿を見ています

 ....
ぽ、と、り、ぽ、こ、り、と、あ、わ、に、な、る、

もう忘れていいのです
苦しまなくていいのです

もう昔のことなのですから
これからはほかの誰かのためにないてください
わたしにはも ....
墨色
窓が悲鳴をあげる

どうせ また雨さ

会いたくても会えないよ
きっとこれも誰かの策略

悲しくなって泣いたら
一層 窓が声をあげた

悔しいから
マリーアントワネットに ....
言葉が喉につまる
いずれ酸素濃度が薄くなり、窒息

夜に溺れる魚
月明かりに照らされて踊る舞いは
小さいながら最大のS.O.S.

その口から漏れるのは
儚く消えていく泡沫
破裂する ....
はろー はろー
わたしはここにいるよ
きみがしってるわたしはここにいる
だからさがさないでね
おやすみ ぐっない
いいゆめを
体が酸素を欲している
消化器官がせわしなく働いている
その上 申し訳なさそうに今日までの出来事を語る彼は
私を夢の世界へ誘おうとしている

この時間の枕は
歴代のあらゆる出来事を行った偉人 ....
歌うこと
歩くこと
泣くこと

オレンジになって消えた
現実世界なのに現実から浮いている
ふわりと白いくせにぴりりとした空気が漂っている
座っている青いシートの椅子さえも虚空に感じる
この世界でもっとも異世界に近い場所に来てしまった

しずかなの ....
今宵、君に逢はまほし


天の川に流れる小さな願い達
魚のように頭の上で流れている

今夜は星が見えるかな
君は私の彦星様


我君の織姫にあらましかば、君来まし


君の求 ....
/
/かなしい/おしらせ/です/
/あなた/を/この/あたま/から/しょうきょ/し/ます/
/さようなら/おげんき/で/

青いにおいが鼻につく
遠くに見える海が白い光を生みだしている
 ....
はじめまして
初めてこの枝で花を咲かせました
これからもこの気持ちを忘れずに
毎年、花を咲かせたいと思います
まだ知らない君は
向こうにいるんだね
いつか君と出会いたいな

その時まで僕の声を忘れないで
幸せになりなさい
私の分まで幸せになりなさい
こんなところに君はいてはいけない
こんな暗闇の中に君はいてはいけない
私は放っておいてはやく行って
光射す眩しい世界へ

私はここから出れな ....
今からずっと昔
何十代も前の祖先の頃
存在しないという存在を
ゼロという存在に仕立てあげた

見えないものを見ようとして
崖っぷちから恐る恐る覗き込んだ
そこから見えたものは
自分に住 ....
ベットの上で外の様子をうかがった
街は未だにクリスマスムードが漂っている

サンタさん
今年はこんな高価なものは入りませんでした
私が欲しいかったものは
街のイルミネーションより温かく輝く ....
音もなく夕日は眠りにつく
車のライトに照らし出されるのは寝不足の私
赤いイヤホンから頂き物の曲が飛び出してくる

私の帰宅時間と国道の車の多い時間は重なる
あえて国道沿いを歩いて帰ってくる
 ....
問題です
この赤い糸はどこへ繋がっているのでしょうか
わかった方は緋月衣瑠香まで、どうぞ
この世界に産み落とされてから
ずっと見てきた光

あの光を手にしたくて
必死に手を伸ばした
でも
この手が掴んだものは空気のみ
光はもっと上にいた

日々 背伸びをして悔しんだり
年々 背が伸びるごと ....
気がつけば
柔らかな布団が体を包みこんでいる朝
遠くから聞こえる踏み切りの音
肌寒い朝の目覚めは私を憂鬱にさせる

嫌なことを思い出させる季節、冬
雪の如く心に降り積もり熱を奪っていく思い ....
ふと見上げた空に
鳥が一匹
町を見下ろしていた
霜降の午後4時
自分が嫌いだ
身近な人を傷付けまわして
誰もいなくなってから後悔する
そんな自分が嫌いだ

くろ

人間が好きだ
身近な人を傷付けまわして
誰もいなくなってから後悔する
そんな人間 ....
緋月 衣瑠香(82)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
新・枕草子文書グループ07/7/25
投稿作品
振袖の秘密自由詩3+*13/4/1 1:07
境界B自由詩4*12/11/2 16:04
境界A自由詩4*12/11/2 15:52
十九歳の雛祭り自由詩14*12/3/5 0:31
夜中のピアニスト自由詩10*11/12/29 17:10
黄色い庭自由詩8*11/8/17 0:02
卒業自由詩4*11/3/31 23:49
トンネルより自由詩5*11/2/26 23:16
さよなら、後藤さん。自由詩7*11/1/6 19:28
49自由詩9*10/10/17 14:25
人魚の涙 自由詩12*10/8/7 21:59
七夕なんていらない自由詩3*10/7/10 13:46
酸欠な魚自由詩2*10/4/25 23:53
想撮空間「ハローグッバイ」[group]携帯写真+ ...4*10/3/31 18:04
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忘却携帯写真+ ...2*09/10/26 20:22
病院にて自由詩3*09/8/12 18:01
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冬のお告げ携帯写真+ ...3*08/11/3 9:14
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