男:今宵は流れ星がこんなに流れて素敵な夜だね。
女:(ああ、暑い暑い。流れ星なんて興味ないわ。帰ろうかしら。)
男:耳を澄ませば、小さな音楽隊がリサイタルを開いているようだよ。
....
今朝黄色いのが見えていたから
きっと今晩だろうね
猫は鋭い爪で小鳥の腹を割き
取り出した小さな心臓を庭に埋めた
食べるのも遊ぶのも同じことだよ
さっきまで一緒に遊 ....
シャンプーの後に
お湯で泡流さないで
そのままお風呂出たよ
いい匂いだし
髪型だって自由に変形できるもんね
あんまり気に入ったもんだから
会社にもそのままで行ったよ
「課長そ ....
笑うな
負けてるくせに
余裕ぶったり
開き直ったり
居直ったりして
悔しい思い隠すな
負けてたらその歯を食いしばって
崖っぷちに立たされた鬼気迫る感じで
向かっていけよ ....
朝日が昇る頃
キリンに乗って恵比寿から札幌へ
途中でトラに出会ったので
千鳥に乗って深夜に帰宅
乾いたよ喉
可愛いその涙
流すよ
ビールビール
ルビー
びーだま
キラキ ....
もう今日終わるのか
今日が終わって6時間後くらいに明日が来るのか
今日と明日の間のその時間に名前はあるのか
その時間を太郎と名づけるのか
名づけた太郎を呼ぶ声があるとして
太郎は ....
晴れ
時々
晴れ
時々
晴れ
ドキドキ
する
もうすぐ
春
ドキドキ
春
時々
晴れ
ドキドキ
春
横になって夢を待っている
夢が来るのを待っている
待っている間少し眠る
たくさんの夢が来る
たくさんの夢が来るのだが
良い夢と悪い夢がある
悪い夢には入らず ....
僕が2年間弱住んでいたのはアメリカの田舎町で、娯楽と言えばバーへ行って酒を飲むことくらいしかなく、車を少し走らせれば見渡す限りの麦畑、そんな場所だった。町には線路が一本走ってはいるものの、貨物電車が通 ....
猫来るな
猫来るな
猫こっち来るな
ああ嫌だ
こいつはこうやって
私の側にさえ来れば
その美しい漆黒の毛並みを
私が撫でないわけにはいかない事を
知っているんだ
どんなに ....
私はこの人のことを何もしらない
何も知らないこの人のことを愛す
言葉がうまく伝わらないから
会話がとてもスローだから
やさしく
丁寧に
お互いのことをゆっくり知って ....
ここさ、庭広いでしょ。
全部芝生だしさ、小川まであるしね。
水が綺麗かどうか知らないけどね。
夏はお前、入るんだろうね。
目の前の大学にはもっと広い芝生の庭があるよ。
お前、 ....
ここの夕日はきれいだなってよく思う。
けれども東京の夕日だってきっときれいだったんだろうなとも思う。
高いビルやたくさんの電線のせいにして空をあまり見なかったのかなと思う。
人里離れて人 ....
耳の奥には乾くことのない水が溜まっていて
魚だった頃の記憶をいつまでも忘れさせてくれない
たしか魚だった頃に流した涙は今でも耳の奥で
さざ波を立てて遠い日の思い出を囁き続 ....
この類の話に猫がよく似合うのは
僕らには秘密が多いからさ
だって考えてみて
君は大体ずっとあの人達と一緒にいるだろ
言われたことは何でも従うでしょ
どこにいたって呼ばれたら飛 ....
寂しい木立に小さな家一つ
煙突のある小さな家から男が出てきた。
外はゼラーゼラーと冷たい風が吹きすさんでいた。
濃いグレーのスーツに同じ色の帽子、そしてそれよりももう少し濃いグレーの ....
猫はどうしているだろうか。
ある晩
ぼうっと星から眺めていると
パラシュートで降っていく猫を見た。
大気の摩擦熱で真っ赤に燃え上がり
シッポをブアっとふくらませて
期待 ....
ブランチに行く途中にリスの死骸
両腕を体にピタとくっつけ
両手をグッとグッと握りしめ
眉は八の字
眉間にしわを寄せ
唇もグイッと結んで
天を仰いで通り過ぎた
多分 今日は
死骸の側 ....
透明な
透明な
透明な
透明で
透明で美しい
光る時には姿が現れ
普通の時には
透明な
透明で
美しい
少し良い匂いの
香りが良いのは
たぶん
となりのから
少しだ ....
長く生きるつもりはないけれども
今すぐに逝くという事になれば
少し未練が残ると思う
それは母や兄や妹や恋人のこと
友達や犬や猫のこと
自分の夢や亡くなった父のこと
となりの子供のはしゃぎ声が
いつも通り聞こえてきて
おもては晴れだから
外出しなきゃなんて
脅迫されてるような気持ちになって
結局出掛ける頃には日も沈みかけてて
駅まで行くんだけど ....
彼女は黒ばかり着ているから
人間や動物たちの死があたりまえになってしまって
だから そんな事にはもう何も思わなくなったんじゃないかな。
きっと世界中の冷たく湿った重たい空気や
薄暗くて不幸 ....
わたしもあなたの足下のずっと下の天高く あの星から見ている
望遠鏡で眺めると すーっと消えて いなくなる
たまに いらなくなった誰かの溜息が
こつっとこめかみにぶつかって 痛みはすーっと ....
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