青白む空に星が燃やされていく
ささやかな虫の声と
なめらかな雲の影が葬列を成して
焚きつける東の空は間違いなく翠の色をしているのに
遥かの路上を引き裂くタイヤが全てを置き去っていく

心で ....
ふたつの目をひらいて走る
風がつよい 景色がめまぐるしく 変わる

うつりかわりを
楽しく思う人もいるだろう
目があけていられないほど
怖いと感じる人もいるだろう

だからこそ

 ....
気づいてはいた 役立たずであることを
取り繕うように卑下しても
傘の内側にへそくりを握りしめて

たとえばそれがぼろぼろのギザ十
ましてやビニール傘だったとして
みんな みんな
自分の足 ....
正常に動く心拍が苦しい
穴だらけは星々の睥睨だ
脂汗も冷や汗も平等だと
穴だらけの地面は高貴だ
蒼天と真空のあいだから
繋がりのない銀架を踏む
どうしてこうなったのか
口内は苦みを増して ....
ただシンプルに ひいてはもどす
うららかな茫洋の昼下がり
たわんだシワを たたいてのばす
雑音がせめぎあう白昼夢

自分にもきこえない鼻歌
薄くあいた瞳の先を攻め込む
自分に同居するノイ ....
一寸という距離を、一寸という距離に任せれば。
一寸という定められた袋小路を徘徊するだろう。
いびつに整えた瞳たちは等しく観止められるだろう。

一寸という距離を、頭陀袋に放り込んでゆけば。
 ....
草原のような爆薬

震えだすポケットは抗躁剤
いつだって宇宙から引き戻してくれるゴムの一筋

小気味良い内包を諦める音
意味なんて理解しようもない言語

束ねるや 地上の罵声
崇める ....
あちらで鳴ったシンバル
そちらで立てる足音 観衆 沸き立つフィナーレ

視線の無い家庭を錯覚

あるのは一つの フィルムが回る音
ブレ気味の映像 埃立つ客席 無彩色 

枯渇の一角にひ ....
檻の中で発狂する
狂おしさを枕に刮目 淫らな色

逢魔が時を外へ逃がしておやり
母なる声 放たれる毒達


さらば安寧 {ルビ出=い}ずれや安寧
違いは砂の傾きか否か

檻の中で発 ....
鈴鳴り狂走するアスファルト {ルビ静寂=しじま}に今日労する明日あると
車に翻弄さる夜駆ると     カルト口頭説き伏せるフィルター

観戦者 戦車繰り出す交差点 請う茶店の隅吐き捨てる残飯
 ....
銅線は平等だった

例えば言葉 痛み 作り上げられた仮想の何か

選定せよ
あなたとあなたと あなたとあなたと世界の繋がりに

世界が作り上げた 悲歪な回路には
彼処も 崩壊の電極に繋 ....
弦の揺れる 音のかすか
例えば照明を かき乱す水面

沈む夜と 風の漂い
血脈が欲す 無慈悲な温度

{ルビ合切=がっさい} 失われる 寂意

弦の揺れた 音を拓く
風の澱み合いを  ....
伸ばした腕がもぎ取られ
叫んだ声が千切れ飛び
駆け出す脚を組み伏され
開いた眼を切り取られ
澄ました耳を封じられ
抱えた想いも朽ち果てて


残った胴体が暴れる音は
せめて届ける事が ....
申し申し 御機嫌好う御座います

今宵の空は酷く暗く 壁に成って
今宵の貴兄の言葉も 風に成って

申し申し 声が届いて居りますか

今宵の心は酷く黒く 音が鳴って
今宵の貴兄の言葉も ....
今はもう古いんだよ
新しいものは迎えた時に古くなる

あんたが気に入っているなんたらとか言うバンドの新曲だって


或いは


新しいものが 新しいままなのは
あんたが手を触れない ....
{ルビコ=こ}ース上の 太陽を踏みつける いつもの時間

{ルビち=ち}ょうど 感じていない を 感じているはずだ

{ルビ螺=ら}旋する 輝きの変動に 惑わされる頃に

{ルビ二=に}千 ....
心は {ルビ密森=ジャングル}
青葉の茂る
差し込む光の僅かに  蒸気

心は 密森
水滴の積もる
踏み込む足の僅かに  泥塊

不可思議な拍子の
甲高い嘲笑 空を飛べば
影も 光 ....
Marbling
隣の奥さんが昨夜旦那に殴られた
屋上では小学生がエアガンを振り回していた
朝靄の中のゴミ捨て場 くぐもった声の玄関先
一人暮らしの大学生が 四五日前から帰ってない
三軒隣の ....
幾何学模様の凶器が行き交う色彩おぼろなこの街で
指先全てに賄賂が続けば煙は鼻へと登ってく
格子を掴んだ夜露の一部がこの世に姿を現して
娼婦の素肌は煉瓦に消えても血液凝固は止まらない

逮捕逮 ....
電車でようやく見つけた座席は婆さんになんか譲らない


 ジャスティス!


婆さんしょげてる俺は寝たフリ隣のアイツが立ち上がる


 ジャスティス!



俺にとってジャス ....
通りすがる垣根の向こうで  弾かれる弦


高い日差しの 白骨


互いが太陽である為の音階を口ずさむ 一拍に静寂を求める


互いが太陽である為の{ルビ詞=ことば}を一輪 波風に安寧がたゆたう ....
おうちにかえるために にくやのやねにのぼりましょう
おうちにかえるために やねのうえをはしりましょう

怒声は耳を通過し 悲鳴は目を瞬かせる

おうちにかえるために しんごうをわたりましょう ....
従属の笛の音が知らせる足の一歩一歩を確かに踏み分ける赤レンガの硬い音
それはまだ無い 皆の首と腕の間でわずかになりだしているだけ

見上げる空の全てが虹になる
きたるべき神秘的な夜が飽和して光 ....
捨てた言葉が
もどる頃
小さい母を しょいながら
ひとり戦う 田舎道

焦った心が
ならぶ頃
小さい父と 飲みながら
ひとり戦う 屋根の下

未来に宛てた自問自答
叱咤の痛みは  ....
屍をたゆたわせて 何を祈っているのさ
産まれるものは 得てして魚が啄ばんでしまうと言うのに

屍を火にくべて 何を望んでいるのさ
産まれるものは つまる所私を殺してしまうと言うのに


 ....
爪の隙間に出来た汚物はあなたのものだ
吐き捨てた唾の アスファルトに同化した微生物はあなたのものだ

あなたが今まで偶然にも触れられなかったものはあなたのものだ

あなたが今まで好み 捨て去 ....
黒い汚れを擦り付ける音があまり聞こえなくなった

払っても払っても残る言葉の端くれに
吹きかけた息と共に飛び出す唾の水気


気まぐれに付け足した一言を褒められたり
深く深く悩んだ一言が ....
一度きりの虚像には 大したものは要りません
ただ

ブレのない言葉と
明確なレンズと
シャッターに力強く触れられる一瞬が

現像機を唸らせるのです
開いた手の平はどこまで近づけても絡み合うことは無かった


遠ざかる程に
近付いた時を
悔やみ

縁取りを風で見失って幻影に惑わされるだろう
触れ合っていたはずの頬さえ今は冷たい

 ....
この小さな世界を戦場にしてはいけない


古い言葉 温かく 訓戒として生きた


この小さな世界を戦場にしてはいけない

屈強な者は戦い 守り
武器の無い者は 壁を作り続け


 ....
久野本 暁(45)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
重色文書グループ06/5/4
投稿作品
あさやけ自由詩318/10/20 5:30
草原自由詩215/4/6 2:22
傘を買う自由詩014/11/11 2:43
銀架を駆る自由詩214/7/23 18:55
かじ自由詩008/5/22 0:49
一寸という距離を。自由詩108/3/7 1:41
いろ自由詩107/10/7 1:03
幻覚パレード/無声映画館の後で自由詩006/6/28 5:00
誘蛾灯自由詩106/6/28 4:49
猫 カルト自由詩006/6/26 12:51
サーキット・アクト自由詩106/5/4 5:36
一走節自由詩006/5/4 5:34
コールミー自由詩1*06/5/4 5:33
伝話自由詩006/5/3 2:06
スピードパーセカンド自由詩006/5/3 2:05
怪物(けもの)夜景自由詩1*06/5/3 2:02
「密森」自由詩006/3/30 18:54
層 -saw-自由詩106/3/23 1:57
イングランドナイト自由詩0*06/3/14 3:58
ジャスティス!〜俺の場合〜自由詩1*06/3/10 20:41
ハイコントラスト自由詩106/3/7 0:50
アルゴリズム ただいま[group]自由詩1*06/3/5 21:46
パレード〜ビフォア カラリズム〜[group]自由詩106/3/5 21:31
有休自由詩106/3/2 19:09
葬祭自由詩106/3/1 20:01
あなた自由詩106/2/27 1:47
しりょ自由詩006/2/27 1:41
展覧会(お題:写真より)自由詩106/2/25 17:26
鏡/雪原の下自由詩106/2/24 2:35
ホワイトチルドレン自由詩0+*06/2/24 2:28

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