ひとのあいだを釣り合いながら
吊り合いながら避けながら
携帯を閉じ閉まって 時間を忘れて
遅れた言い訳の足しにするんだ
きみはきっと 僕を攻めることなんてできない
僕が ....
新しい街で会う
いまだ知らないきみへ
新しいひとじゃなく
旧式電池のような
大きなアナログな
誠実さでこい
ハミング
分かり合えばわかる
実は同んなじ歌が好きだったこと
....
ひまわりの種を食べた
20粒食べればいいのに
袋にはもうない
蒔けばよかった
庭へ
そう思いかえしても
淡白な胸のむかつきは
誰が ....
....
夜
煙突にのぼって
覗きこんで呼吸したら。
まるで壜笛みたいに
ほうほう と響くさ
街中に僕らの、底抜けに深い
ふかいかなしみが伝って
犬がこたえる
靴が家出 ....
楽しいことが総てで だけど何もかも目につく
思い出し笑いすらまともにできないんじゃ
どうにかなっちまうよ
排気ガスばかり吸い込んだ朝に
さよなら告げたいんだった
捜して
楽しい ....
優し過ぎて
ひとをとても愛していて
だから全然駄目で
そんなきみを捜して
(Calling…)
呼んでも来ないなら 歩き出すしかないさ
呼んでも答えないなら 歩き出すしかな ....
みんな出はらっているから
空気は今朝自由だ
今夜まで思い通りだったらいいねって
僕が家のなかうろつき周るから無理だろう
きみが自由なとき
僕は眠っている
僕が自由なとき
きみは死んでしま ....
きみなんか大っ嫌いだ
詩にして卑怯でしょう だけどあまい夢ばっか見るから
机の苦い味に耐えられない だから
あんたなんか大っ嫌いだ
嫌いだよ
きみなんか あの橋と
今落ち ....
冬の花火が出発告げるよ
今夜
コンクリートじゃなくて 深い海だよ 路上はね
ちぎれ舟抱いていけば冬だねまだ
掌に乗るくらいの自奏琴 宝石に似せたガラス球まぶした
そんな都会ばか ....
ギター
潮風に錆びていても
ギターから夜明け前の余韻が鳴る
サウンド ホールの
その夜のなかから
ぽうぽうと吹き抜けていくならば
一体 どこにいくのか たどりつくの
知りたくて 歩 ....
青いさくら
寡黙なモーター
ポスト
白く剥げたポスト
閉じたコンビニ
午前四時
リクエスト受けつけないラジオ局
届かない速報
流されない涙、血流
脈うたない心臓
....
たくさんのものを枕にしてきた
卒業写真の キヒ 笑い
ウェット・ドリーム
鬱屈
首を痛めただけ
忘れたい忘れたいと思うほど
どうして甦ってくるんだ
朝から晩まで
終わり知らずの拭き掃除 ....
村にはじめてコンビニができたような
月がはじめて携帯持ったような
柳の川は桜四分と混じりあい
街燈も綺麗だけど
そんな気持ちにはなれない
山羊が獏にならい
はじめて夢を食べたような
....
小児科医院の
前の路上の
匂いのなか
空に浮かぶ水たまりのなか
きみの顔が映りこんだ
消えた
蛙啼くから帰る
そんな言葉の冷たさ
電柱の
手を繋ぐことで得る柔らかい安心のなか ....
僕がまだ僕じゃなかったとき
家の周りは原っぱだった
イトを縫うみたいに
とんぼが
焦げたバッタが飛び
無心になって追っていた
気づけば
自分の影なんかほったらかして
....
いちいち考えるのも嫌な程
空の色は日々まちまちだから
季節という単位はいい
そして新しい春がやってくる
まだ外は寒いのに
窓は全開のまま
ビー玉のような海
煙突は禁煙しない
....
街は冬でも清潔で
指はすべすべしている
ウィンドウに息を吹きかけて
さようなら
またあいましょう と描いている
寒さは気分をはきはきさせる
上品で気品高く
洗われたシーツのような冬 ....
雲の隙間 渡り鳥の影
兄弟は膝で立って見つめる
煤けた駅に着く度
ひとつひとつ歳をとっていく
遠く青空を
帆船が抜けるような春
冬のような春
ガラス窓が区切り
今もう車内では何 ....
遠く死んでいく星は ここからだと見えない
大き過ぎる悲しみは
その大きさで見えない
大き過ぎる悲しみ
きみの悲しみは小さなものだと その死で慰安している
違うよ
嘘だよ
ほ ....
左手で捕え右手で 半分の{ルビ翅=はね}を{ルビ毟=むし}る
風に棄てる
尾に紐をくくる
これでもうきみは 速く飛ぶことなんかできない
これでもう 高く飛べないよ
いつもそうだ ....
たくあんで涙を食べた
ひいじいさんは欠かさず買い物についてくる
子供の裾を握りながら
足がないから、疲れないよと
祖母に笑って冗談を話す
デパートは同級生で一杯
ハバナで戦死した敏 ....
はにかみながらダンスするんだ
拙いステップを踏むんだ
たん たんたんとやって
やっぱり無理だと言って善人面した
河川を軽蔑し 岩をぼとぼと投棄するんだ
はたとみて
こんな浅い川でもスキュ ....
(次の詩は人工河川から拾いました)
柳が揺れている川辺があるでしょう
昔よくあの川に
なんでもかんでも投げ込むひとがいて
お父さん
仕事終わったらすぐ 番をしていた
おば ....
玄関先ひっそりと
だけど凛々しく飾られている家族写真に
律儀に重なりあった肩と肩に
冬の、つめたい風がすきまをつくる
喧騒の朝という心地良い矛盾が今もう
耳の穴から{ルビ零=こぼ}れ ....
ハピネスという薬が売られている
誰もが 誰もこんなもの買わないだろうな と想っていた
そう口にしていた
だけどあなたの袖についてるものはなんだ
あなたのポケットから 零れているものはなんだ ....
人工河川
出身の知れない街燈 ゆりの花
覗く海の波が
そのまま風になってきている
崖の上の家々は
吹きかえし
灯りを点す
海の あの銀色の悲しみは
戦争で沈んだ船が反射 ....
利己主義の果て 僕の砂丘
雨は降らない
唇が乾く
ただ黒いピアノが鳴っている
月はなく、だけど暗くはない
足場は抜けていくけど、つらいというほどでない
何もないことのほうが ....
青いアメリカ
きみはいま風邪を曳いていると
信じたい
少し前はきみを讃えるのに
僕は ではなくて 僕らは と言っていたよ
少ないお金を出しあい
きみのもとへ出したボートが
沈み
....
雨を避けていく
ほこり立つ道を
避けていく
怖がりで
自分から触れていけない
夜を
夜の向こう側を
ダンスしている
仮面をつけた孤独たち
歩道橋の
こちら側で
向こう側で ....
1 2
0.22sec.