とうとうあいつがやってくる
力いっぱいペダルをこいで
小高い丘を登ってく
真夏の日差しが容赦なく照らすけど
そんなことはどうでもいい
とうとうあいつがやってくる
自転車を飛び降り呼吸を ....
鞄を引きずり無人駅の改札を抜ける
そびえる山々には紅葉が色づき始め
頬を流れる風もひんやりと冷たい
反対を押し切って飛び出した二年前
都会の荒波で挫折した娘に
一体何を思っているだろう
....
村外れの長老の家に
一人の少年が現れた
ひどく汚れた服を着た彼は
扉を開けるなりこう叫んだ
遠く遠く離れた町から
父を探してやってきました
村中を歩き回ったけれど
どこにも父の姿はあ ....
東京という大都会を目指して
悲しみに彩られる列車に乗り込んだ
車窓の外は漆黒の闇
隣の空いた席が反射して見えた
夢に向かって走った僕は
代償に君から引き離された
それは試練
神様が与 ....
流行りの歌しか聴かない君が
着メロにしてるのは名曲カノン
君らしくないねとからかう僕に
だって好きなんだもんとはにかんだ
すれ違いが目立ち始めた昨年の夏
焦りとは逆に僕らの溝は深まるばか ....
どうしようもなかった
どうしていいのか分からなかった
途方もないいばらの道に思えて
何もかも投げ出したくなった
うっすらと埃の積もったラジオをつけると
聞き覚えのある軽快なポップス
今 ....
一面に広がるラベンダー
どうしてもそれが見たいと
突然君は言い出した
桜の花びらが散り始めた頃
僕らが乗り込んだグリーンの列車は
寝台特急トワイライトエクスプレス
子どものようにはしゃ ....
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