想像してみよう
例えばここが銃弾飛び交う戦場であることを
想像してみよう
君のすぐ隣に不治の伝染病患者がいることを
想像してみよう
これが最後の食事であることを
想像してみよう
明日にも ....
生きるほどに、いくあてのない憂いが押し寄せる
生きていく希望を、生まれた孤独が上回り
私を生みし母を一人恨み、そして生まれしことを一人悔やむ

ああ、そこを通る美しい人よ
その路に転がっ ....
目の前には、闇が広がっていた

そばにした女
手を伸ばしながら
もう片方の手で電気を消すと
闇の中に君の顔が一瞬浮かび上がった

目の前には、闇が広がっていた

浮かび上がる白い肌
 ....
ビッグバンの揺らぎがもたらした、宇宙の隅の小さな星で
アミノ酸の複合体である僕等が愛を語る

いやこんな話はもう止めようか

窒素と酸素に水素に炭素
君の体を構成する元素たち

その一 ....
電線の五線譜に音を入れ
夜三時に水平線を目指すオオムラサキ

世界を支えるピアノ線がゆっくりと緩む

深海にさく桜
魚達は星を夢見ている

海が静かにひいて
地軸がわずかにきしむ
 ....
いつもより少し日が暮れるのが早い気がして
つたの絡まった郵便受けをのぞくと
少し錆びた箱の中には、もう秋が来ていた

慌てた僕は、街を見下ろす公園に行き
ペットボトルのロケットにラブレターを ....
ゆっくりと走り始めた君は、交差点で急に後ろを振り返り
やっぱり私、生きようと思うの、と
その周りを、背中の汚い魚が眩しそうに君を見ていた

この世界は、君が住むには過酷過ぎた
君の手首から流 ....
隣りの君は、今日何度目かのオルガスムに達して
そのまま眠ってしまったのか、気を失ってしまったのか
僕は今日まだ一度も射精をしていない半立ちのペニスからコンドームを取ると
女性の深い連続的なオルガ ....
朝のラッシュにもまれていると
ふと Ck-One のかおりがした
スイングする冷房にのって届いた
ひやりとするあの柑橘は
間違いなく君のものだった

今時つける人も少ないだろうと思って ....
地球の上をキスが回る

西サモアで、島の祭りに酔う恋人達が、夕闇にまぎれて初めてのキスをする頃
ブエノスアイレスの酒場では、疲れ果てた中年の男に、ウェイトレスがやさしいキスをし
セーヌ川の ....
伊藤洋(10)
タイトル カテゴリ Point 日付
想像してみよう(自戒をこめて)自由詩1*08/7/8 23:37
生きるほどにいくあてのない憂いが押し寄せる自由詩006/5/8 22:25
空虚なる充実自由詩105/12/12 0:53
理屈っぽい僕が愛について思うこと自由詩3+*05/9/4 23:25
生まれいずるすべてへ自由詩4*05/8/29 7:58
空っぽの郵便受けとラブレターをのせたロケット自由詩5*05/8/25 8:02
交差点の魚達自由詩5*05/8/20 10:31
廻りゆく生命の環自由詩1*05/8/18 6:54
遠ざかっていく背中自由詩1*05/8/12 7:08
地球の上をキスが回る自由詩6*05/8/10 23:13

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