夕闇のなかでふるえながら
どれほどの
自分の亡骸をみおくったろう

優しいばかりでは生きてゆけないこと
たくさんの人たちに教えられて
それでも
世界をいとおしむやりかたを
変えられ ....
野口さんが今夜も
庭石をぎりぎりと鳴らす

昨日の鰹節はお気に召さなかった?
ああ、もう香りが飛んでいるのね
でも庭を散らかした次の日は
わたしが掃除をする代わり
おまえはお隣でごは ....
言葉が出てこない
胸がいたい
わたしにはなんにもできない
わたしには、なんにもできない

どうやって生きていこう?
どうやって誰かを愛そう?
わたしにはなんにもできないのに
どうや ....
傾いだからだに弾みをつけて
くるくると舞い上がる、塀のうえまで
そうやって見つけた世界はどうだ
透明な灰色というものが
こんなにも美しいものだと知った

浜辺にころがった薄汚い小石を
 ....
どんなに顔がくずれても
涙がかわいたらお化粧をなおして笑顔をつくる
顔を洗ったらまた泣けばいい
悲しみや寂しさは敵じゃない

どんなに足が痛くても
夜がくればねむり、朝がくれば目をあけ ....
若い青葉に滴が冴えて
ぬるい空気のなかで雀たちの声が朝露に濡れる
そうやって世間はあたらしい季節にそわそわしているのに
留まろうとしてるひともいる

分かるはずもないんだ
誰によってあ ....
夏の夜に雪をふらせて
ねこの言葉を聞き分けて
なにものからもわたしを守るバリアをはる


よごれた世界は電気みたいに
わたしのまわりを取り囲むけれど
わたしを闇に隠してくれた夜が ....
お酒は重めのモルトがすきで
お菓子ならビターチョコレイト
煙草は赤いマルボロ
食後はコーヒーにお砂糖を入れて

ボトムはいつもジーンズ
バイクはマグザム
サングラスはポリス
ネックレス ....
木々、たいよう、風、ねこ、ひとみの色と涙のあと
クローバー、すずめ、子供たちの無防備なからだ

誠実、不誠実、夕もやに消えたため息の影
妊婦のおなかと、マニキュアのはがれた爪

海 ....
今年もまたさくらが咲く
涙を吸い上げて
また地におとす
季節はただ往くだけ
巡ると見せかけて

春は残酷なくらいやさしくて
このうえないしあわせを見せ付けながら
かなしみを呼び起こす
 ....
夜はどこまでも深まり
朝はいつまでも逃げ続ける
そうして明けないよるを嘆くかのように
星が地に落ちてなみだに暮れる

どうしてなくの
通りがかった少年が聞くと

もう自由にはなれないか ....
みどりいろのなかで迎える早朝は
あんなにもわたしを浄化してくれるのに
錆びたビルやコンクリートに囲まれていると
自分がとても汚れているのだと思い知らされる
だけど全て全てひとが作り出したものだ ....
きみにメールをしようとしたけど
なにを書けばいいのかわからなくて
白紙のままの作成画面をみつめた

液晶がにじむ

ほんとうはずっと
信じていたかったんだ
ばかみたいに
おとぎばなし ....
知らない音がとびらをたたく
ベッドで薄目をあけたわたしは
なにも聞こえないふりをする

知らないひかりが窓からのぞく
つくえでまつげを伏せたわたしは
全部知ってるふりをする

夏と冬が ....
きみの吐く
藍色の空気につつまれるたび
わたしはぺしゃんこになる

圧縮されたわたしは宇宙をとびかう電波みたいに
ひらひらと空を舞い夜を見渡して
みどりの泉でからだをふやかし
きえない炎 ....
きみが森にはいれば
木々は青さを増し
きみが空に手をのばせば
雲はきみに近づこうと雨になり地におちる
きみが猫にふれれば
その三毛猫は、2丁目界隈の王になる

海がみたい、君がときどきそ ....
疑うことは疲れるけれど
だまされることもそれはそれで疲れる

スパイスなんて要らない
甘いだけでいい
こんな気持ちをかかえてうわっつらだけへらへら笑ってるくらいなら
砂糖菓子みたいにとろけ ....
ずっとむかし
わたしがまだ、
色になまえがあることなんて知らないころ

わたしはいまよりずっとたくさんの、
色がみえていた気がする

あれは赤
これはあお
それはみどりで、これは ....
 いっしゅん、と呼ぶあいだに
 かのときは過ぎ去る

 きみもそう

 きみをみつけたそのとき
 きみはもういない


 
 夢を書き記すくせがついたよ
 ひとは忘れるいきも ....
不安定はいつも怖いけど
安定にはいつか飽きる

やさしいだけじゃ物足りなくて
つよいだけでも生きてけない

いつも満たされてたいわけじゃないけど
見たこともないような渇望を知るにはま ....
まっしろな空をみつめていたら
わたしを見知らぬ世界へすいこむ
入り口がみつかる気がした


髪飾り 首飾り 耳飾り
指輪にマニキュア ブレスレット
アンクレットにトウリング
長い茶髪を ....
おおきな雲とか
もっとおおきな空とか
数え切れない窓の灯りとか
やみそうにない車の流れとか
虫の鳴き声とか
がしゃがしゃいう工場を育ててる人たちとか
そんな夜の中で、うたを歌ってるあたし ....
ひとりでも生きていけるけど
ひとりで生きることを選ばない

そういうつよさがいまは欲しい

タタカイのなかでみつけた孤独は
あまりにもつめたすぎたから
飽きてしまった
褒めるのにも
褒められるのにも

飽きてしまった
幸せにするのにも
してもらうのにも

深度たった20メートルの
海の中から見上げた太陽は
とても美しくて
けれど ....
喧騒の中居場所を見失って
泣き出しそうになった夜
空を見上げてそのまま
星になりました

淋しい夜に
星の瞬く空を見つけて泣く人を見つけたら
私も泣こうと思います
ずっとずっと遠くまで
届かないものを追いかける
そういうひとを見上げながら
足元の土を均してきょうもあるく

届かないことを知らない彼らは
知っているわたしよりすこし滑稽で
そのくせとて ....
色のない朝に目を覚まし
音のない世界におはようをいう
返事がかえってくるのもまたずに
わたしはせっけんをあわだてる

すずめとくるまに声を与え
カーテンと食卓に色をつけた
なにも書かれて ....
波のたたない海があった
永遠に穏やかな海だった

太陽は常にやさしくそそぎ
白い砂浜はしずかに乾き
水平線はかつて乱れることなく
つねに微笑みかける海があった

ひとびとは海を愛して
 ....
満たされたい、なんてよくぼうは
あらたな渇望がこわいから口にだせない
口に出したって
かなうわけではないけれど

世渡り上手の生きじょうず
皮肉交じりの賞賛に傷ついたこともあったけど
た ....
まるで恋しているみたい
ただ、溶けてしまいたいだけなのに
八月のさかな(58)
タイトル カテゴリ Point 日付
博愛主義自由詩409/10/3 11:57
野口さんの夜自由詩209/9/25 22:19
わたしにはなんにもできない自由詩309/9/25 21:41
ある、幸運な人自由詩009/7/19 14:10
それぞれの夜自由詩209/7/5 23:09
潜水艦のゆめ自由詩309/5/24 11:13
またひとつ魔法をおぼえた自由詩209/5/19 12:38
珍しく恋にうつつを抜かしてみる自由詩209/5/17 13:27
美しいもの自由詩209/5/11 21:30
追憶の春自由詩309/5/6 19:01
太陽が死んだ夜自由詩107/3/5 4:53
灰色のまち自由詩307/2/28 0:22
穏やかな孤独自由詩607/2/27 3:11
プリテンダーが笑う夜自由詩407/2/25 3:03
二酸化炭素いろのよる自由詩11*07/2/20 1:38
美しいもの、きみがうつくしくみせるもの自由詩807/2/6 5:01
シュガーケーキ自由詩207/2/5 0:31
わたしがまだ色になまえがあることなんて知らないころ自由詩14*07/1/17 2:20
なつかしい痛み自由詩306/1/8 2:51
ないものねだり自由詩506/1/4 2:33
明け方自由詩306/1/4 2:30
あさとよるのあいだで自由詩605/12/30 21:28
タタカイのあとに自由詩105/12/22 0:17
海の中で思う自由詩605/9/24 16:15
星の夜に自由詩205/9/24 15:43
きょうも空を見上げてあるく自由詩605/9/19 21:48
音のない朝自由詩605/9/1 8:10
自由詩305/8/26 3:07
なあなあトエンティース自由詩105/8/18 1:05
まるで恋しているみたい自由詩305/8/6 0:20

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