夕闇に紛れ込んだアイリスの憂鬱。
朝焼けに滲み出されてきたアイリスの誘惑。
どちらにしてもアイリスは孤独。
笑う笑うと書いて笑えない笑えないと泣くワタシ、アイリス。
言う言うと聞いて言えな ....
砂地に隠した 赤い靴を探していた
山羊が一匹 靴下の中から出てきて
黒いペディキュアのされた わたしの足を噛む
爪先から あなたへと向かう快苦のしるべを
許されようものなら、わたし
....
閉じこもっていた男を開いたら、また男が出てきて困った。
そう、この男はとてもしつこい。
どれくらいしつこいかというと、
蟹味噌の最後のほうくらいに生あたたかくてイヤラしい。
そして同時に、短冊 ....
少女は少女のままで腐り、
そのまま氷のように頑なになって、
誰にも見向きもされなくなった。
りんごの端っこを噛んで、
少女はなけなしの塊だった。
どうにも止まらず、
「やめてくださ ....
アンダルシア鳴り響き、
呪いの言葉も吐き尽くされ続けて、
尽くされているのに続けられてて、
僕は、僕たちは、
アンダルシア。
そのなんたるかを知らない。
朝になったら、
彼女は少女に ....
水溜りに身を沈めて。
彼女が言うには、
『もうすぐ世界の終わり』らしい。
そんなこと、何百年も前から決まっていたよ、と僕が言う。
あの嘘吐きなノストラダムスだってね、
好き好んで ....
アーカスグレイブがこよこよと鳴く。
こよこよ こよこよ こよこよ
こよこよ こよこよ こよこよ
こよこよ こよこよ こよこよ
こよこよ こよこよ こよこよ
こよこよ こよこよ こよ ....
こんなに月がきれいな夜に
わたしはオオカミ
人を殺した。
*
すれ違いざまに去っていくので
背中に向けてぶつけた、
言葉、と
言葉の。
その間のお話。
*** ....
わろうてやぁ そんなちんまいこと わろうて見過ごしてやぁ
儚きことやん どこにでもあるさかいに わろうてやぁ
深刻になるやん そないな顔されとったら わても泣かなあかんの?
ほんなら ふたり ....
唐突に ざわめき始めた夜のいとまに手を伸ばす
鍵括弧と 鍵括弧の中に押し込めてしまう
かなしみや さみしさを
あなたは知らず
いいえ 知ろうともせず
いいえ 知ることもなく
恨むくらいなら ....
静かに という言葉を 使いすぎてはいけない
そこには たしなみ が あるから
多くを語らずにいても 多くが漏れる
ので さいだいげんの 多くを 語る
よそ者のなんにんかは いじけてしま ....
今朝、あまりにも小鳥がうるさいので。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・闇で射った。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・ ....
望まれるかたちを知りながら、それを拒んだ
紳士は黒い衣服に身を包み、わたしを睨みつけた
――― 風が吹く ここには とっておきの ―――
髪が乱れる それと同じくらいに 心が乱れる
....
黒い闇のふちを歩いていた
ぬかるみが 靴を巻き込み
わたしを 裸足にした
岸の向こうでは 手招きをする遊女がいて
ゆらり ゆらり と闇に浮かぶ鮮やかな色が
爪先に 針を落とした
ふ ....
ダイアリーの中に消えた 少年の影を見る
彼は 泣いていたのだっけ? 怒っていたのだっけ?
・
暑い日の蝉の鳴き声を覚えている
迫りくる
2拍子4拍 ....
ジニー馬鹿馬鹿しいほど簡単に
こんなところ捨ててしまおう
ジニー笑い転げているうちは
世界に光なんて射しやしない
人の言い草ばかりを気にする輩と
共に笑いあう ....
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