海の泡になって朦朧と夜を渡りたい
明け方を待っていたあの頃のようにうたた寝をしながら
海岸に打ち寄せられた残留物は思念波を発している

思い出を手繰り寄せてはみるものの
何もかも元には戻らな ....
眠たい白猫が誘う
チョコレートコスモスを頂戴
瓦礫と廃墟の世界で
チヨコレイトと叫んでみる

繰り返される言葉の狭間で僕らは何億回のキスを送ればいいのだろう
終わらないまだ終わらない夏を
 ....
街路樹として植えられた夾竹桃の花が咲いている
車通りの多い道
排気ガスで煙る景色
花びらは桃色
街に溶け込み人と共存する

この街は空気が淀んでいて
たまに離れたくなる

お昼も過ぎ ....
絶望をカバンに詰めて
眠れない夜を過ごした

前の日も雨
天気は荒れ模様
回復見込みはしばらくない

午前9時
空港の掲示板に
遅延情報が流れる

ネパールに行ったら
寺院を観 ....
生ぬるい水滴が顔に当たる
スコールのせいでグロテスクに地面が陥没する

逃げるように
雨を避けて

ヤモリがへばりついてる
軒下のアクアリウム

傘を忘れたから
家に帰れない

 ....
草むらで月鈴子がリリリンと鳴くから
季節が移り変わっていくのを感じる
風鈴の音色とも少し似てしまうから
間違わないように風鈴は小箱に仕舞おう

静まり返った夜の向こうで
あなたは何を思うの ....
指先を太陽に翳して
陽の光の中を着物の着崩れを直しながら歩く

隣町まで足を棒にして歩いてみたら
少しはこの気持ちが楽になるだろうか
茶色い茅葺き屋根の家を過ぎて
長屋を横目に見て
空き ....
夜は電気を消しているから
スマホの明かりだけが頼り
指先の動きだけが
生きていることを知らせてくれる

こんなに小さい機械の中だけが
わたしの世界で
波間に漂うクラゲみたいに
ふよふよ ....
時を隔てて人は変わる
人が変わると街が変わる
街が変わると想いは募る

変わるのは人の心なのかそれとも街なのか
思い出は深く胸に刻まれ
けれども風景は変わっていく

思い出してごらん
 ....
音韻を小瓶に入れて思い切り放り投げた
海岸線を歩けばカモメが鳴いて
子供達がはしゃいでいる

それを横目で見ながら
私はするりと通り過ぎる

明るさはいつも影を落とす
その事が私の胸を ....
久遠恭子(10)
タイトル カテゴリ Point 日付
海の泡自由詩323/10/2 11:08
白猫自由詩223/9/10 15:02
夾竹桃の咲く街自由詩7*23/9/3 7:14
荒れ模様の旅自由詩423/8/29 7:10
突然のスコール自由詩323/8/27 8:47
音色自由詩223/8/23 4:24
名もなき花自由詩14*23/8/21 7:05
夜の独り言自由詩4*23/8/17 5:03
雑踏にて自由詩423/5/15 23:42
コバルトブルーの涙自由詩6*23/5/11 0:24

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