低い窪みの中心に転げたもの、もう這い上がることも出来ない
気づけばそこにいて、何処から来たのかも分からない
その地に根を張り 雨風にて、凌ぎ、それだけのものであった
というのに素知らぬ風は惑 ....
かれらはその腹の中、虚偽だけに充ちて
慈悲深い旅人たち、形はそう、陰に怯えている
プレパラートの 液体調剤詩
かろやかにおよいでいるかの、微生物の比です
ステレオタイプが捻ると
虹色が ....
潮騒叶いのイドラを捜して、天上から地の底まで、
いっぽんの途を引いている
どういうわけか、私の歩みは連続した生命を引き起こす。
大小さまざまな色や形を保つ 夢や希望をおいて
ひとつの柩を ....
ひとつかいがらが埋葬されています
母のように、いつか凪ぐために
――このみちが海の底で、あることを問う
ときの鼓動を聴いて
その場限りの感嘆が ひゅるとつきぬ ....
錦織り成す細石に思いを馳せる
少しばかり避けたカアキのスカートの依り代から、
黄泉の底が溢れている。
痴れを紡いで路肩に色の納める、
....
先程から僕は、みんな、いまいまの人生を(お)もって、
そこに如かれるものでして
わたしたちはことに意味を与えすぎました。
喪服のアナウンサーが週末を締め括るぐあいに
雁字搦めに作用した力点 ....
階層を施された荷馬車の一角にひかりが中る。
眩くて昇華される、どうやら辺りのようだ、
遺体の奥で植わる蛆虫が盛んに蠢いて出口をこさえていく。
それぐらいは許してもいいだろう
涙のかわりに胃 ....
不器用な影絵を施された土気色の節くれが、すべてのまえで
育ち尽くし、底に意味を与える。今際のときおもいきり。
寝転がって徘徊する蛾蟲であろうと、構わぬ礫にあとくされる、
いつか たましいは自由 ....
低空飛行で鈍足を抜かす
迷路を生んで
狭き未知に導かれる
無くした鍵が又
私を窓から出さない風だ
囁きを逃す舞と
夢だった 昨日増やしたちゃばしらが、
今だった 烏に啄まれ、
....
三日月の鍵爪を栞 微炭酸の蜜を拵える タイピングの錯覚
読みかけの本に溜息。少し癖のある彩を抑えた 薬指の小股まで
柔らかで蒼い壁面。舐めるように徘徊するもの
むしろ 虚ろ岩礁は 凪いだ海を ....
私の肩に架る琥珀色の雨が降り続いている
それをただ描かれた水面が凪いでいくように、と願い
果てまでも眺めている
透過するわたしと糖化するあなたの影が
一筋の蝋燭に反芻して ....
「少し、お時間をいただけませんか」
そう言って翁は腰を下ろしたまま、見上げている
なにもない時に滑り落りた砂を 固めただけのトンネルに、
置いていかれた心地で。
―― ぽたりと漏らした
....
夕暮れは虹色の未来を映し、曇天な過去を模造する
どこへ向かうのかその視界をのせて、
なにを泣いているのか、何故に枯れ葉散るのか
ひとつの木に漂着した夢を見た、気がする
靄の中を奔り続け ....
口笛を吹きながら でも いくつ 数えたやら。
ただ、らくにいきたい
足元の泥を掻き、道標を示して、僕と飼い犬は何処までも反転する。
星と海が緩やかに準える視野ばかりが満天に開けている。
麗 ....
昏い暗いブルーライトを喰らう蛾侭の鱗粉は
夢想が作り出した名ばかりの怪物
ただのネオンサインに遮ぎられた殺虫灯の明かりに
いつかきっと鳥籠に召されたし
窮屈な空白は塵と誇りばかり ....
まわる。
螺旋のていでモビールのさまで、
回帰する 転落してしまう。
そして
あゝ崩れ去る
(万華鏡の儀 彼岸花の葬)
なだれ込まれたら 受け止めきれない
張りぼての壁面に無 ....
息も絶え絶えに 道もふさがれていく そりゃあイキが狭まる
視界が暗転するどころか 瞬いて身も心も軽くなる有様
天国への未知と誘われ瞼を下ろしたい。
併し何故に引き留めようとするのか 如何し ....
私たちが雪原におちた明い椿を
やわらかなときに戻した時に
「あゝ 儚くも春の息吹」
生まれてしまった意義も値打ちも きっと
流された視界の端で 出逢うことであった。
かの君や さの ....
みすぼらしく散漫な蒼紅。その倦怠期の心の柱の傷の舐め合いは何処か儚げな空気人魚、らしかった。芯や白蟻の、翔きの光の速度で、眼帯を黙読して置いて。空気中に浮遊する 薔薇の濡れ衣 白銀の影狼には追いつけな ....
炎天下の発情。
痘漿の裂傷、
打ち据えた鈍らの刄溢れ
貪欲な腹を割って、離す
聴き入れられない数万の蛍
ちかぢか 燃ゆる
砂糖腐菓子が水辺で憂いて
そのうち融 ....
文賭(あやと)する
白銀の途に足跡が落ちています
さまざまな思いが奔る ばかりの残響が
駆け巡るのを眺めましては、
文遠(ぶんとお)く
しげしげと認める 夕餉の彩を
お伝え出来な ....
ドラマみたいな綺麗な躰は 誰も知らないだけの
神様みたいな 偽善嗜好 暁光
開かないアサガオの 夢が冷めない
少しだけ 光を浴びましょう
ムーンウォーク 珊瑚礁セグメント
ちぎれたのは ....
ちょっとした花壇の角に
無くしたはずの 鉛筆の
「しん」が
どこまでもモノクロに
「いっせん」を描いている
まがりきれない路地裏を
何となく歩んでいた からだ
誰かが紡いだ意図を
....
春 眠 不 覚 暁
処 処 聞 啼 鳥
夜 来 風 雨 声
花 落 知 多 少
暗転好天、雅にじたばたと駄々っ子な、これは、なさけ 未練でございます。
もう死んでもいいと思いましたので。 ....
慎ましやかな生活の一部に或る骨壷の裏を覗いては
空っぽの天上に巣食う迷い蛾、天上裏をぱたぱたと回る
裁断の済みには萎れた華のいろ。活けられ、
打ち捨てられた襤褸 やはり衣は黒ずんでゆきます
芽 ....
いつかの境界線に経つ 山門の、拠り所は狭苦しく通り抜ける。
すがらの今日も満月は絆されては吊られ射る。また一段と赤くあたたかく沈み翔る太陽より、艶めかしく毒される紫空に寄っていくつかの物々し ....
少しまだらで丸見えの、無理に押し付けた白髪の 絵にも言わせぬ哀愁の、
ほら あれはとてもそそるものでしょう。などと言いましても、人それぞれと申します。
これは今もほら、痛くもない腹をえぐ ....
いくぶん伸びたあみかけの 陽に透かした素肌とも だれかれも
カジュアルに、好く似合うとしっていたから
回遊性愛玩塩吹魚は真っ逆さまに 吊られていくのを
ポニーテールは知っていて
ひとがバ ....
さみだれて よい くずれる 蔑んだ眼差しでただれた
あなたとわたしのあいだから まんざらでもない 絖り
うずまれるも うまれるもの 熟れた表皮が鱗と落とす。
ありしひの ....
記憶のしじまを游ぐ 尾ひれを縫い付けた
ただ綺麗な物語も いつかの私に見えてくる
瀕死の枕詞を据え付け 暗黙の真綿を生皮に詰めて
うたを囁く体の休符
永いようで短い反抗期は 今宵いづこへと私を ....
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