吹き硝子、
転けて
林檎、と
呼びます
たなびく夏の草影に
街路樹が
滴って、
お日さま
透かせば
虹色の
傘、さしたる
透明の、傘。
(電話線を抜いて)
明かりを灯します
(テレビを消して)
戸を閉めましょう
(夜を静かに分かつのです)
誰も喋ってはなりません
(静かな夜を分かつのです)
....
てのひらに
零れてしまったら
死産でしょうね、きっと
背骨が裂ける瞬間より
翅を広げず、駆け出した
(荒野の果てで
空を背負って暮らします)
わたしは粗野で
....
病室が
まあるくしかくく転がって
赤子と死者が廻ります
消えない汚れは
ないけれど
拭えど
壁は白いから
窓を描きます
朝には消えてしまうけど
指に天体を絡めたら
柔しい繭 ....
抗えぬ露の一粒
誰にも
触れられることのない花々
寄り添い
静けさのなかに
呼吸していた
夜明けに
来客があるのだという
貴方は
刃を握らせ
傍らに眠る友の
肉を裁ち
....
飲んでもよい水なのだろうか
川辺の花は
瑞々しい
夢が夜霧に濡らされて
私に指が生える頃
花を摘むのが
私のしごと
花を摘むのが
私のしごと
舟が渓間をぬって
流れ ....
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