上本町5丁目のお寺の住職で
47の親友が 今朝亡くなった
病を治すために 入院したのに
医者の不手際で 命を奪われた
毎日毎日 面会をしていた 和尚の彼女は泣き崩れた
和尚よ おまえ ....
そんな時は 薬を一錠多くのみ
明日の仕事に備えたほうがいい
働くといっても 決して無理はせず
職場で働いているふりでもすることだ
あまりにも生真面目な僕たちは 休んでしまうと
小さな そして ....
僕の暮らす町には小さな小さな神社がある
榎木神社と呼ばれるその神社には 多くの人がお参りをする
そこには大きな楠木があり 皆その木をさすって帰る

鬱病を患っている僕は よくこの神社にお参 ....
午前6時 鶴橋商店街 商人の熱気に満ちて
卸の店で商う人々 煌々と灯りがともる
僕が眠れなかった時は この風景を見に来るんだ
商人の高らかな声が 僕の心を熱くする
鶴橋という町に生まれ 鶴橋と ....
思い出を吹き飛ばすような一二月の木枯らし
寒さに心を突かれ 午前六時に目が覚めた
うがいをした後 ホットミルクを飲み干すと
おじいちゃんの声を思い出した
「マサジ、寒い時は下着だけはしつかりと ....
平坦な日々の 激しい時間は
誰の心だって傷つける
忘れてしまうしかない悲しみを
心にため込んで生きている
だから思うんだ

もっともっと自分を許してあげて
もっと自分を褒めてあげて

 ....
白頭の嶺を越えて、落葉(から)松林を越えて
蘆(よし)の根の黒く凍る沼のかなた
赭(そほ)ちゃけた地肌に黝(くろ)ずんだ小舎の続くところ
高麗雉子(きじ)が谷に啼く咸鏡(ハムギョンド)の村よ
 ....
青空にひとつ おひさまがひとつ
何をてらしているのかな
昨日の傷跡かな

青空にふたつ 白い雲がふたつ
何を包んでいるのかな
明日への望みかな

青空にみっつ お星さまがみっつ
僕に ....
病院へ行く途中 雪が降り出した
胸のつかえを下すように 真っ白な雪が舞う
そういえばおふくろにとって この冬は災難だった
命と迎え合わせの病棟で 時を刻んできた

病棟の真ん中にある い ....
その死刑囚の首に
縄をかけたのは
何を隠そう
僕たちだったんだ
そして彼は
吊るされ命途絶えた
まっ赤な血を
吹きながら命途絶えた
彼の
首の縄には
仕掛けがあって
首をすり ....
鶴橋の町で五〇年 湯を炊いてきた
百草湯の源田のおやじが 今年亡くなった
あれは夏の午後
「湯を炊く」と言い残して赤十字病院で息を引きとった
おやじは享年七七歳
銭湯が寂れる中 おやじは ....
「正治、俺は天皇陛下殺しに行くで」と
僕に話しかけてきた
そのおじいちゃんの話を聞き
「今は警備が厳しいから
警備が緩くなったら教えるわ」と答えた
おじいちゃんは
「わかった、正治」と言っ ....
鶴橋からの便り(12)
タイトル カテゴリ Point 日付
和尚の唄自由詩218/4/12 18:50
そんな時は自由詩218/4/8 16:09
榎木神社自由詩217/12/9 10:21
鶴橋からの便り自由詩017/12/8 6:16
おじいちゃんのシャツ自由詩117/12/5 15:15
笑顔自由詩117/11/30 9:03
従軍慰安婦の詩自由詩217/11/28 16:01
青空自由詩017/11/27 8:28
この冬最後の雪が降る自由詩217/11/25 23:24
路上の夢自由詩217/11/23 18:52
源田湯自由詩617/11/22 14:57
おじいちゃんの密談自由詩417/11/15 12:59

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