月のきれいな夜に友達に言った
そんなポンコツスクーターじゃ
どうがんばっても月には行けない
じゃあ見てろ、と友達は言うと
アクセルを一ひねりして
鳥海山をジャンプ台にして
飛んでいってしま ....
軽自動車に乗って
旅に出ちゃった人がいて
その後の消息も不明だから
湿っぽい布団に寝転がりながら
その人のつもりになってみた
始まりは単純だった
ここには居たくない それだけ
友 ....
グラス一杯の水がある。
もし喉が渇いているのなら
それを一息に飲み干してしまってもいいだろう
なにしろ外は砂漠みたいに乾いている
けれどもその水は限りなく透明で
よく見ると別の世界が広が ....
君の制服は
まるで脱ぐために存在していたかのように
フローリングの床に
君はほとんど
命を潰そうとするみたいに
吸い殻で溢れたビールの缶
雀はそれが
生きている証と主張するように ....
タバコを吸うと、人生について語りたくなるのはなぜだろう。
………………………(爆笑)
棺桶に釘を打ち立てる音
葬儀場に響き渡って
弱い子供はわけもわからず泣く
強い大人も少しだけ泣く
おしまいの音
おわかれの音
扇風機のスイッチを入れて
淀んだ空気をかき回すと
少しだけ軽くなったような気がした
このまま回し続ければ飛べるかもしれない
熱帯夜に猫は冷たい感触を求めてアスファルトを転がり
僕は徐々に ....
僕の言葉に意味なんてない
君の言葉にも意味なんてない
だからもう、ペンを走らせるのをやめて
その手を、僕の方にのばしてくれないか
僕も、君の方に手をのばすから
随分長いあいだ、僕たちは言 ....
中学生の君はいつもの帰り道を少しだけ変更して河原の砂利道を歩く
忘れていた土の感触を君は思いだす
そして君はコンクリートの斜面に友人たちの姿をみつける
君達は通学鞄を枕にして斜面に寢転び、あるい ....
何もむかつく事なんて無いのに
何もいやな事なんて無いのに
何もかなしい事なんて無いのに
叫びたいのはなぜなんだろう
僕の部屋の壁は薄くて
腕を振り回せば誰かの整った顔を殴って歪ませちゃうから ....
土の匂いがして
にぎやかな声がして
外で昼食を食べて
洗濯物がよく乾いて
少し寂しくなって
あなたがいなくなって
昔の手紙を読み返して
夜でも窓を開けて寝て
犬が夜通し吠えて
土の匂 ....
死にかけた僕は
それだけでいい
それだけでいいと
たった一つだけ
必死に神様に願った
やがて生まれた僕は
その続きのように
大声をあげて泣いた
今
すべてを欲 ....
消しゴムで消してしまえるような
軽い痛みだけ僕にください
怖くなったら部屋の明かりをつけるように
忘れてしまえる痛みだけ
新しく僕の隣を歩く人は
僕に何かを与えようと躍起になっているけれ ....
午前三時の一号線を原チャリで走っている
気分はイルカの群れのなかに迷い込んだ小さなクラゲ
あるいはタンカーの間で右往左往する小さなタグボート
とにかく僕は泳いでいて、流れる街灯は揺れる灯台のよう ....
新築のマンションみたいな人
白い壁にまだ解かれていないダンボール
靴下を履き変える引越し業者
窓から見える新しい世界
変わらない気分
変わらない歴史
卒業した学校の制服みたいな人
置 ....
ゆらゆら 揺れてみた
僕のあしもと 揺れている
僕のこころ 揺れている
小さな筏に乗って 蒼い世界にひとりぼっち
ゆらゆら 揺れてみた
でも僕の首に付けられた輪っか クロームメッキの鎖の先
....
いないよ
誰もいない
警察手帳を見せたって
撃鉄の光で脅したって
きみを抱きしめてくれる人なんて
世界中どこ探したっていやしない
いないよ
誰もいない
いくら叫んだって
針みたいな雨 ....
ぼくは捨て子
きみがごはんをつくってくれなきゃ生きてけない
毎日 きみが帰ってくるのを
鋼鉄のドアの前で待ってる
きみは捨て子
あなたが愛をくれなきゃひからびちゃう
毎晩 あなたが入っ ....
亀はかわいい
平泳ぎをする
大亀→中亀→小亀→チビ亀
が、そろって平泳ぎをしている
にごった池は視界30cm
大亀→中亀→小亀→チビ亀
が、そろって平泳ぎをして
僕の下に現れる。 ....
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