一つの石を置くだけで
証明されてしまうことがある

イマソコニアルトイウコトト
カツテハソコニナカッタトイウコト

存在と不在が遺伝子のように
螺旋をえがいた姿で証明される ....
世界は僕たちのなかを
通り過ぎて行った

まるで

ただ通り過ぎてゆくことだけが
世界であるかのように

あらゆるものが
あらゆるものに
置き換えられていった

なのに

 ....
暗闇
の中で見開かれている
一つの目

暗闇
そのものであるかのような
黒い目

僕はいつも
その目に見つめられ
全てを記録されている

カラダノウゴキ
ココロノウゴキ
カ ....
赤ちゃんは
なにもかも食べられる

柔らかい皮膚に覆われた世界
賞味期限のある世界

その皮膚は傷み
少しずつ剥がされてゆく

火傷した空は潔く腐ってゆく

私達は
問いがその ....
銀色の砂時計が壊れて

ゆきがふる

底のぬけた茶碗に
降り積もる

擦りきれた
空の裂け目から

時間という物質が降ってくる

「重力と恩寵」

シモーヌ・ヴェイユに
 ....
不思議な色の蝶々が飛んでいる

それは輪郭の曖昧な
色彩だけの蝶

夜の透明な影を磨く

電灯に錆びた灯りがともり
ナイフが鈍感に尖り

どこかで
海が泡を立てながら
消えてゆ ....
円形の石が
積み上げられて

石と石の隙間から
灰色い霧が吹き出している

その霧の粒の
内側と外側が互いに侵しあって
壁のない家が建築される

それは入口も出口もなく境界も曖昧な ....
新宿駅南口の「オン・ザ・ビーチ」
そこは僕たちの海岸線なのだ
潮の花こそ咲いていないが
橋のむこうに見える空からは
南国の海の匂いがする

イルカは車輪の下でも跳ねている…?

行き場 ....
いつもそこに
置き去りにされているものがある
薄い皮膜が複雑に重なり増殖して
蛍光灯の白い光りを乱反射させている
そのプリズムに照らされて
痙攣を繰り返す白い体
それが私の感情だろうか
 ....
加藤小判(9)
タイトル カテゴリ Point 日付
胎児自由詩106/11/22 0:33
痕跡/擦り傷自由詩006/10/13 0:38
記憶/記録自由詩306/10/4 0:23
傷みやすい世界自由詩006/10/3 1:20
ユキ自由詩105/1/7 3:43
充血した夜自由詩305/1/5 6:08
幽かな家自由詩004/10/26 6:22
オン・ザ・ビーチ自由詩104/9/17 8:17
白い感情自由詩504/9/10 5:02

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