天変も大地の異変も起こる事なく。
一見、平和に穏やかに過ぎていく日々。
リモコンのスイッチをonにすれば、映像と音声が垂れ流される。television。
垂れ流されているけれど、眼も耳もほ ....
愛情なんて見えないものより
セックスなんてよくも悪くも見えるものに
バカみたいに本気になってたあの頃
一組の男と女から
家族の歴史は始まり
愛情なんて見えない筈のものが
段々に見えてき ....
娘が二人いて、二人共中学一年の終わり頃から不登校になったよ。
俺は三十代の半ばに縁があって結婚し所帯を持った。それ以前は飲食店の厨房で働き店を何軒か転々としていたが、十年近くはM駅前の洋風居酒屋で働 ....
俺はまだ肝心なものを手に入れてない
肝心なものがいったい何なのかわからないのが
その証だ
人生の滑り台を何度も上りその度に滑り落ちただけで
いまだに滑り止めが見つからないみたいに
探 ....
変な言い方かもしれないけれど娘には男がいる
俺ははけして良い父親ではない
それどころか
娘に依存している
不甲斐ない父親だよ
娘には男がいる
もう長い付き合いらしいが
俺はまだ一度も ....
自分が自分以外の何者であった
ためしはない
心臓と言うポンプが血を汲んでいる
間しか生きられないんだよ
阿呆につける薬
なんてないんだからさ
頭が痛い
割れるように痛い
....
たとえ
どんなに足が遅くて
地味にコツコツ歩いていても
一度に雲行きがあやしくなって
その内にザァザァ降ってきたら
たちまち道はぬかるみ
傘の用意がなければずぶ濡れの人生なのさ
たと ....
鬼灯の実が紅くなると中身を綺麗に抜き取って空にした
それを口に含んで上手に鳴らした
脳裏に仄かな明かり
思い出には靄がかかっていた
子供らはとても無邪気
数人の男のこのなかに女のこが ....
たとえ
お互いの間に精神的な愛情がわかなかったとしても
男と女が一つに重なる夜はけしてめずらしくないよ
たとえそれがゆきずりの一夜であってもさ
心なんて邪魔になって
体に押し退けられてさ ....
私は
詩人になりたい訳じゃなくて
私は
私の吐き出す
言葉の糸をよりあわせて
何処かの
知らない誰かの
心の
その
奥深くに
垂らしたい
だけなんだよ
私は
詩人なんて
....
たとえ
俺が歩けなくなったとしても
路は途切れないさ
たとえ
俺に朝が来なくなっても
街路の樹木は立っているさ
たとえ
俺が夜に溜め息をつけなくなっても
繁華街の立て看板に明かりはつく ....
着るものにはこだわらない
同じ服装を何日もしてしまう
風呂は毎日入るけどほとんど体は洗わない
それより
お湯につかってぼんやりとしてしまう
とても不器用で
無器用で
生きるのが下 ....
酒は飲まない
煙草は吸わない
女は妻以外知らない
そして
サイコロは振らない
そんな人生つまらないか
友はいない
仲間もいない
他人を信じない
神も仏もいらない
そんな ....
深海に人魚の棲みかがある
海面に姿を表すのはそのなかから
女のみ
選ばれし美しい女のみ
男は深海で一生を完結する
らしいのだが
真偽の程はわからない
昔と言っても
いつの昔かは ....
風がゴーゴと吹いて
安らかに眠れない夜を繋ぎ合わせて過ぎていく日々
この命をささえる仕組みも経年劣化して
無情に軋んでいるけれど
その痛みに壊れてしまいたくはない
言葉にならない不安 ....
昨夜
食卓の上に空飛ぶ円盤が不時着した
エアコンが壊れてしまって蒸し風呂のようになっていたアパートの部屋
開け放った窓から空飛ぶ円盤は迷い込んできた
円盤はカップうどん大の大きさだった
....
この世の塵の掃き溜めに涙も唾も吐き捨てる
俺の怒りの矛先は何処にも行き場を失って空っ風に震えるばかり
何でもねえょ
馬鹿馬鹿しいよ
どうでもいいよ
どいつもこいつも
あいつもそいつ ....
一人にたった一つしか持たされていなかった
それを
いつかは黄泉の国に落としていまうとわかっていても
一分でも一秒でも長く持っていたいのは
誰しも切に願う事
名を呼んだけれど応答がなかった ....
心が温かくて優しい人は
無闇に人を傷つけられない
心が冷たくて乱暴な人は
人を傷つけた事さえ気づかない
むしろ意識して人を傷つける
無闇に人を傷つけられない人も
知らず知らずに人を ....
昨日と変わらない今日だった
今日と変わらない明日がくるかは
明日しだいさ
変化のない毎日がしあわせ
連日晴れてばかりの天気は問題を大きく孕むよ
家庭内が円満ならいいだろう
日々 ....
時間も空間も遠く離れてしまっていた
けれど
思いが強く残っていたから
時に
目を瞑ると
その人が
その人の顔と体 そして何気ないしぐさが
記憶の動画や静止画に現れた
すると感情が浸 ....
少しは俺にも愛をくれ
少しは俺にも富をくれ
少しは俺にも夢をくれ
だけど本心は
山ほど俺には愛をくれ
巨万の富も俺にくれ
叶えられない夢なんて何もなくなるまで
愛を独り占め
権 ....
街は正解と不正解が犇めいていたし
真実は虚構になぎ倒されてもいた
いっさい血は巡らない空の下には
寒気の壁が立ちはだかって
人は誰もしあわせな気持ちを手に入れられない
それでも欲望の ....
彼女は恋愛依存症からセックス依存症に転移していた
だからと言って
彼女の品性を誰が咎められるだろう
彼女は単純に心の渇きを粘膜の快楽に委ねようとしているだけだ
愛情なんて見えないものを追い ....
好きと嫌いの二つの感情
お互いを強く意識してしまうのが自然だよね
好きだらこそ
それを相手に悟られたくないって思いに支配される事もあるし
嫌いだからって
それを相手に見透かされたくはない ....
私という存在はたった一人
時計回りに過ぎていく日々のなかで
私が一番に愛してやまないのは基本的に私自身
そんな私のなかの
良い人と
悪い人の割合
それを計るのは
私以外のその他
そ ....
子供は妻が産んでくれた
これってすごいよね
でも
そんな事を言ったら
何言ってるの
子供を産むのは女の役目でしょ
と
言われかねない
子供は妻が産んでくれた
これってすごいよね
....
不幸にははじまりがあるらしい
その先には大概どん底があって
どん底から這い上がれるか
そのまま沈んだままかで
人間の真価が問われるらしい
しあわせには入口があるらしい。
けれど
けし ....
普段から陽気で賑やかな人も
そうはなれない人も
皆それぞれの胸の内に抱えているよさびしさは
さびしさの質も量も測れない
その正体は濃い靄に飲み込まれている
けど
時には怪物になってどろ ....
般若心経と法華経の違いもわからない
仏様の教えに全く関心も興味も持たない私の
耳と言う小さなグローブに時々思い出したみたいに
彼女は言葉のボールを投げてきた
「ネェ、あたしの事愛してる?」
....
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