駄々ィズム ダダ ダダ
たたいて太鼓 ダダ ダダダ
只 只 無量億銭満の苦
苦しみは 遺すこと 持っては行けない大金庫
冥土の土産は何にしよう
持たざれば 憂いなし 肩の荷もなし 歩く ....
狸小路のロシアン料理店 友人の家族と食事に来た
店の名は忘れた 目立たない小さなお店
壁際を飾るように 多くのウォトカの壜が並んでいる
短い北国の夏を祝うがごとく まずは生Beer ....
朝の寝床で聞く ででぽっぽぅ
は 夏の息苦しさ
貝塚の丘のぽっぽどり
何を歌うか
生の証を 風に乗せて
ぽー ぽー ででぽっぽぅ
鉄の扉 内には把手が無い
日曜の午後 鳩が鳴く
....
おほかたの宗教は死んだ
{ルビ歌人=うたびと}よ
{ルビ詠=うた}え
たからかに
その美しき つぐなひを
聖よ
青き天幕の下に眠る
聖たちよ
その浄きこころに 憂 ....
産まれ出ずるは 孤独な{ルビ鬨=とき}の声
育みくれた母胎との刹那の訣別
{ルビ嬰児=みどりご}は 「いやぁぁぁ いやぁぁぁ」
と泣くのだよ
この世に初めてのとても小さな泪を見せて
嬰児は ....
すれ違う{ルビ漢=おとこ}達は皆奇妙な顔をしている
狂言回しが今にも踊りだしそうな
そんなお面が歩いている
本当の顔がない
自らつくり出した
虚飾の汁を塗りたくり塗りたくり
色 ....
染めあがったばかりの紺幕の空に
乏しい星々の煌きを
捕らえることのできない俺の眼は
薄汚れた都会の空を呪いだす
ペテルギウスやシリウスの
絶叫のようなプロパガンダを
誰も聞こうとしてい ....
男は日本海に面した町から都会に戻ってきた
ベルが鳴り受話器の中の声は
「たった今、飛び切りの上物が到着したぞ」
と言い、男は受話器を置き家を出た
地下鉄に乗り四つ目の駅で男は地上に出た
....
初夏の雨音が
私の心に届く
あなたの優しさのように
私の心に届く
朝はまだ来ない
薄暗闇の
水槽に潜む小魚のように
私は夜具に{ルビ籠=こ}もりながら
ひとり
初夏の ....
友よ
四十三年生きてきたことを
誰に誇れと君は告げてくれたのだ
郷愁の募る日には
ふるさとの山並に似た雲が現れて
街々のとよめきは
懐かしの潮騒に転じていくようだ
あれから
十 ....
来たれよ あかときの空のもとへ
向かへよ 神のしもべの羊たち
長いねむりから醒めて東の空に太陽がひとつ
見えたとしたらそれは幸福の証だ
風のない朝だというのに樫の葉の薄緑が落とす
地表 ....
わたしたちは
五十六億七千万年待ちきれない
今の一瞬を活きているから
林檎の形をとどめているうちに
摘み取ってください
排泄物のように
色も形も判別し難くなって
やがては
肥や ....
エピキュリアンの
幸福の吐息は甘美にきこえる
時には魅惑の声色で
「生の窮極は快楽」とほざく
魂の苦悩は
祈りによって救済されるべきか
つかの間の
陽光が薄れた後の翳りのように
....
不自由
それは俺の心がつくり出すものなのか
ここは監獄 この世のはたて
ここまできては自らどうこうなるものではない
身も心も囚人に徹していればいいのか
今を解決しようと思えば地獄だ
ひ ....
この払暁の紅は
「金色」という うたた心の信奉と錯誤
贋金という主に
デュロックやランドレース達の扈従
瓦礫の天地返しさながらに
血の眼して掻き分けて
渺茫とした廃墟の内の埋蔵プラチナ ....
友よ
ゲバルトを語る前に
見つめるものはないか
ゲバルトより以前に
革命はあったさ
新しい秩序が確立されれば
それは革命さ
友よ
革命を語ろうというのではない
私が見ている景色を ....
夢に見るほど
晴れわたる空が
こいしくて
すすけたコンクリートのような空に
叫ぶんだ
かたわらを
風切るバイクの
真っ赤なテールランプが
かがやく
長い髪の先を
風に躍らせ ....
或る日
食い残しのおおきな鰯の頭
かざすほほ骨のくぼみの半透明
陰影の向こう
梅雨空は陰鬱なしずくを飽かずに垂るる
不満なるかな
不満なるかな
或る日
薩摩の黒豚逐電すと
....
ことばじゃないよ
みんなは いま ぼくのこえに みみをそばだてようとしている
いまだ ぼくのこえは ろくがつのそらにとどいていない
さあ いちにのさぁぁ いちにのさぁぁぁ
ん もうおしま ....
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