いつも躓く丘の上の
崖の縁に私を積み上げていく
こんな季節でも不思議と崩れないもので
いつしか、
見上げるほどの、わたしになっている


いつからこんなことを、と
通りすがる誰かに聞い ....
指先は弾く、のではなく、なぞると気付いた時。


あらかたを空に投げてしまったあとで
積み残したことばかりだと気が付いた
目覚まし時計は止まらない
明日の朝には、起きなければならない

 ....
ふとしたはずみで鍵をかけてしまった
ぼんやりと手を見ても、何処にも鍵を持っていない
南風が緩やかに吹いた、首の傾き一つで忘れてしまいそうな
春先の、こと


日向に浮かぶ
そちらの、具合 ....
燻ぶり続けた今日が終わると
皆、靄に戻っていく
拡散された、再構築
明日には、昨日と同じあなたはいないでしょう

裏路地の、静けさ
雨宿りもすっかり、済んだので
手を、振り合おうとすると ....
歩き方には拘らなかった
朝には優しさが満ちていた
音のならない靴をそろえて
こんなにも遠くへ来てしまった


人の道という、溜息の上澄みを掌でそっと掬うような、薄さ
踏みしめているようで ....
春は、未だ寒く。なりそこないの私たちは溶
けることも出来ずにいます。雨が降ればもう
少しですか。非常階段に押し込められた人た
ちが、境目を見失って何処にも行けずに。溶
け始めた掌を胸に当てて、 ....
私と君がバランスを取り合うこの世界は、い
くつかの悲しみによって支えられ僅かに綺麗
な側面によって、装飾されている。書置き。
降る言の葉。てのひらを傘のようにしてあな
たは、透き通る雨に打たれ ....
街、に行く


ふあり
掌を反す



どうにかなる全てのことを
届いてしまういつかのことを
不可能、と扉を閉めてみせても

細い
糸のように呼吸をして
歩幅はそれでも加速 ....
スタンバイ、夕暮れ。涙はぬるくなり、あな
たは融解する。手遅れになる前に、手を、届
けられぬままに。言葉は無い、書き起こされ
る文章の中で、葉は散るように。ここは、規
則正しく揺れる箱の中だ。 ....
あなたから十秒を譲り受け
その使い道を一日をかけて思案する

可能性は枝葉となって
折り重なるように裾野まで広がり
結局いつも、空は見えないままで

時計の針は短いほど遅くなり
重なり ....
いつものように。自転車を漕ぎながら、それ
だけを吐き出す。吐き出す、それだけを、肺
の奥に溜まった、重石のような私を。擦り合
わせる掌に、吹き掛ける私の重さ。こんなに
も温かいのに、早朝の、風 ....
冬の支度も出来ないままに、私たちは詠い続
ける。それは約束であるかのように、寒さを
背中に背負いながら。この道、は死に行く為
の支度、だ。あの頃に見上げた空を、今もま
だ往復し続け、拾い忘れた ....
七時三十分の電車に傾く、あなたと共に行こ
う。想像する、上に空が継ぎ接ぎになって浮
かんでは消え、進行方向に語る言葉を持たな
い僕らは、聞き取れる音だけで口笛を吹く。
それだけの空間、それだけ ....
人は、降っていきますが
この風はいつも背中にあった気がします
開いた傘だけで飛び出していくことは
難しいこと、と形作られて
それでも
降っていった人たちの行方まで
答えてはくれないのかもし ....
また、新鮮な朝がきて、君はいなかったりも
する。珈琲の香りはどこへ消えてしまった、
というのか。乾燥した部屋に、私が傾く音だ
けが響いた。人は、溶けるのが早い。君が溶
け始めたころは、お手玉を ....
夕暮れ間際のジェット機は誰かのために帰ろ
うとしている。吐き出した言葉を誰か、が飲
み込んでいくような、当たり前。涙を零した
いように、零して。溶けたいように溶けてい
くあなたを隣で見ていた私 ....
すっかりと丸くなった母の背中を押し込んで
いく、とバネのように弾んで台所へと消えて
しまった。庭の隅で父は、苗木のままの紫陽
花を随分と長い時間見つめている。時計の針
はここ数日で速くなった、 ....
子供の頃、記憶を辿る指
駆け抜けるための玄関
右へ曲がれば大きな草原
跳ね返されるほどの大きな
抜け道
獣道
畦道
辿る指、握っていた手
見上げていた、手
顔の向こうの月、薄い月、不 ....
僕らはどこでも眠れる
可能性の、結果として


拘りを隠しましょうか、誇りを仕舞いましょうか
まっすぐな道をまっすぐ歩くためだけの
呼吸、でしょうか
道は裏返りながら繰り返されて
それ ....
突然のことを「風」と名付けた
まだ受け身を覚えてもいない
優しい、と言われるほどに優しくはなく
平均化された僕らは、どこにでもあった

人がいなくなって初めての夏はとて、も暑かった
ぶら下 ....
わたしたちが内包するそれら、のために、わたしたちが今なりた
いこと、なれること、掴む。


空に尋ねると、纏められているらしい。私たちはどうやらそこで
一つに。手の届く範囲の、街中で手を広げ ....
トーキョー
川のようなもの
手のひらに残ったすれ違う人の一片
  あれが私たちの足跡の塊
    掴もうとしなかっただけ、なんて
    強がりの溶けた夕暮れの音


誰かが落としたぶ ....
手、に
繋がれるようにして
あの丘、の存在する、現象の側面に
咲く一面の菜の花の、群衆
触れてはいけない、母の言い付けは破られて
指先は、きりりと痛む

それら、の一面の
膨れ上がる群 ....
ゆっくりと伸ばした白い板の上で
それでも会議は終わらなかった
鉛筆をぐるぐると動かすと
難しいことばかりがかたち、になっていく
僕らの体は水に溶けるように出来ていて
ペットボトル一本分で
 ....
毎朝
燻る私の香りに包まれている
踏み込んだ片足が抜けないまま、明日に来てしまった
靴はいつの間にかなくなって、そんなことにも気付かない
それでも柔らかい、朝は好きだ
コップ一杯のミルクで、 ....
十九、までは数えた
そこから先は途切れがちになった
よく躓いてしまう君の後ろで僕は
ありふれた、馴染まないままの歌を歌った
スモールタウン、僕らがかたちになりかけた頃
この腕に抱ける言葉が、 ....
どうでもいいことばかりに躓きたくなる
そういう趣味ではないのだ
「そんなもんだろう」と飲み込んでみせる

あなたを見ている人が、どれ程いるだろう
疲れ果てて掘った穴よりも空は深いというのに
 ....
結局
無いものは流せないのだ
光る丘で寝転ぶような、広がりを
繋ぎ止めておくことは、



思い出に縋るようにして歩き
引き摺るようにして、眠る
東京は優しかったよ、と言ったあの人は ....
誰も知らない人が隣に住んでいる
もう十日になる、声を聞かないし聞こうとも、しない
私は猫を裏返しにしながら、誰か、がいない遠くのことを思う
もう、春だ
冬はかたちになってしまうから、駄目だ
 ....
一呼吸置く、世界だったり


待ち人は来なくとも
息は吐けます
卵の丸みを写してみた紙には
吸い込まれそうな白さはどこにもないのです

変容のない毎日です
僕らは生まれていますでしょ ....
霜天(468)
タイトル カテゴリ Point 日付
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循環自由詩6*11/1/29 23:06
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支度自由詩109/11/7 19:46
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