大人になることは
プレゼントの箱をひとつひとつ開けていく行為に似ていると思う。
箱の中には沢山の選択肢が入っていて、
箱を開けたらその途端に選択肢は一つになってしまう。
プレゼ ....
深夜。
電気の消えた観覧車。
思うに、ひとつひとつがタイムカプセルで、
宇宙と地球の中間で、どこへも行けない
すき、とか
こいしい、とか
さみしい、とか
あいたい、 ....
深夜2時。
車の窓を全部開けて走る。
少し冷たい夏の終わりが少しずつ距離を明確にするから、
夜に引きずられないように、スピードをあげる。
例えるなら「切ない」ってこういう夜の事で、
流れ ....
タイムカプセルがくるくる回ってるみたいだなあ。
沢山のすき、とかさようなら、とかが時間がとまったまんま回り続けてるんだ。
昼は虹色、夜は星色。
あのときのすき、はまだあの中に溶けているかなあ ....
どこから来てどこへ行くのかって、普段は気にも止めないような事想う、最終電車。
地下鉄の景色は真っ暗に長く、速く、見失いそうだから泣きそうになった。
笑いながらバイバイって言うんだ、
....
男の子になりたい
グライダーのように、自転車で曇り空を切り裂いて
薄汚れた白いショルダーバッグすら輝いてみえるような
そんな幻、想う、幻想。
踊り場の匂いは冷たくて、コーヒーの匂い ....
昔から、さよならをするのが下手で。
死んでしまった友達の携帯番号とか手紙とか、
いつかきっと、と思いつつ
大事に握り締めて薄くなるのを待っていたりする。
記憶は上書きされる ....
例えば、階段の塗装の匂いや空の高さで
なんとなくひとりだと強く感じても、
世界の濃度があがっているから、
少しきみが近いような気がして
マーブル模様の空を見上げる。
「この空は君 ....
世界の濃度が濃くなるから、酸欠だなあ。
いとしい、さみしいやあまいや苦いが
おもちゃばこのように極彩色だなあ。
プリーツスカートがひるがえり、恋慕。
TシャツにGパンで ....
ずっとずっとって、うわごとのように恋繰り返す君と。
ただ繰り返される単調なリズム、僕のうた、届いてる?
確かな約束を即物的なもので補うのは簡単、と僕は言う。
君の指、耳、赤銅の煌めき。
嬉 ....
あたしのことをせかいじゅうのだれよりも大好きじゃないといやなの。
あたしのために
出来もしないようなきれいな嘘を
いっぱいついてよ。
(勿論あとで嘘つきとののしるけれども、そこはご愛嬌)
....
ゴッホの油彩みたいに空がゆらめいて
皮膜をはったようにざらり、と世界はみえにくくなっている
見えにくくしているのは私の自尊心か
それとも、知識の欠落か。
黒い俗を好み
桃色 ....
「金木犀」
ということばは少し宇宙的だね、って、そうやって笑った。
寒くなってきたね、星がよく見えるから。
長袖でも少し寒いくらいの朝と夜、それを理由に手をつないだりなんて、
そうやって、 ....
たゆたう水、ゆらぎり。
荒れた部屋(生活感はある。)
きみのことばはいつもゆめみがち。
「たったひとつほしいもの」はいつもたくさんで、
雨水、涙音、浸水。
いつだって僕はここ ....
どうか、どうかと呟いた言葉のほんのひとしずくでも、きみにとけだしていればと。
体温よりも空気がねとりと熱く僕をむすぶから、
きみが僕をすくいあげようと伸ばした腕さえ跳ね除けてしまう。
....
大きな声で、少しだけ本当を混ぜて嘘をつけば、
きっと本当に変わる魔法だから、
誰かを少しだけ傷つけて、そうやって魔法をかけて。
そうやって作った魔法の中で、
僕はちゃんと楽しそうに ....
夜の咎落ちて電子の月、
自意識過剰くゆるよ。
只々妄想の中の姫に口付けを。
「アイシテイルノデス」
姫は歌いました。
夏は終わっているのに僕はまだ熱に浮かされている。
(この世 ....
少し和風に聞こえるギターの旋律だね。
じゅくじゅくした緑の下
窮屈そうにきみは世界のすべてを呪いたい、なんて
賑やかな孤独に浸ってるけど。
いつだって選んだのはきみだから、
新しい鎖でき ....
緑がぶちぶちを鮮やかに侵食していくから、
きみの
「おおきいてだね」
という言葉すら、もうだきしめることでしか答えられないよ。
意識は混濁。
ほら、盲目的になることだって、若い僕 ....
きらきらと嘘が降り積もっていくから、
きらきらと世界が綺麗に見えて。
もう何も考えたくない僕は
ただ、笑いながら幸せな歌をうたう。
ただ、しあわせなうたをうたって。
しあ ....
身にしみる傷を証と思うのは残したものの少なさのせい。
霧踏み森に踏み入るは、死にたがりの感傷屋。
夕方と夜の中間地点。
朝のような「新しい何か」は生まれないけれど、
変わっていってしま ....
ぬるり、となつのくうきが身をおおっていきます
ざわり、とふゆのくうきが一人を明確にします
あたためあうには世界は暖かすぎて、
手を離すには冷たすぎる。
つないだ手がはなせない。
ほら、出 ....
「ずっと」
ってことばはきらいだ。
だって、
どうしたって
きみはうそつきになっちゃうから。
たとえばね、このレンズ越しに見える世界が愛に溢れているものだとして、
世界の境界線が濃くなっていくから
この空の青だとか
花の薄紅だとか
草木のざわざわりとした、
鈍い銀がった緑とか
....
せんぷうきはとばない
はだかんぼうのうたうたい。
寒々しく、背骨は軋むよ。
あたしがね、君の手を握るたびに
(思ったよりもね、きみの手は小さい)
守るべきは自尊心なのか、という自問自答が。
小さな手で守りきれ ....
嘘をついて別人になれる世界
僕じゃなくて
僕じゃなくてもよくて
匿名性におぼれて夢をみるお姫様ごっこ。
本当に名前を呼んでほしいひとはあなただけ。
だから
僕じゃなきゃ
僕じゃな ....
死にたがりのハレンチは遠い夢
感覚も感触も陥落して
ただただ、ないているのです
途切れさせないための夢に夢を見て
鳴いているのは彼
泣いているのは誰
....
九月空、あの日はとても暑かったから。
きみの熱、そのからだ、空気感のせいか、わからずに「幸せ」だとつぶやいた。
表面上をなぞるホイップのように、きみはいつもやさしい。
(それは白く、甘く、粘 ....
自らの過剰な装飾。
ほらいつだってね、思い通りのイメジが。
流す涙はそれすらも幻燈機械だよ。
きみが僕のことなんか省みもせずにね、作り上げていたもの。
つくりあげられたイメジは不恰 ....
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