その日、我々は日がな鳴りっぱなしの電話の応対で仕事どころではなかった。
「本当に痩せるんですか?」
「体に害がないなんてことないんじゃないですか?」
「すぐにでも欲しいです! 早く ....
「どうも最近体がだるいんですよ。けだるくて動くのがおっくうな感じが抜けなくて…」
「そうですか。ほかに症状はありますか?」
「うーん、体がともかく重いんですよね。体の中がごろごろするというか…」
....
「お母さんは私よりもあんたのが可愛いのよ」
今年で25になる姉から、こんなメールが届いた。
あまりにひどい頭痛がしたので、返事をしないまま放置して、2週間になる。
そのまま、姉からは何の音沙 ....
奴は俯いて云つた。
惚れた女が出来たと。
女が子を孕んだと。
其れ以上は云はずとも、何を欲してゐるのかは、痛い程好く判つた。
なしを、付けて遣らう。
掛けた答ゑで、奴に血の気が戻つた。
ひ ....
僕の好きな人は 僕の知らないところで ボコボコに殴られている
そのころ僕は コンビニのお姉さんに「弁当をあたためますか」って聞かれただけで
大喜びしている
僕は無力だと 涙を流して 焼 ....
相手をかまわず「やりたい」が恋愛で、
相手を思って「してあげたい」が生活なんだって
え、それ、一体化してないの?別物だって本当?
右から左から、どう考えても2つの意見を合算たら立 ....
田村隆一がいうには、金子光晴の詩の上手さを最初に教えてくれたのは鮎川信夫であったという。
ここでは金子、鮎川のふたりに共通すると思われるある種の感性、
――はじめに種明かしをしてしまえば、ぼくはそ ....
だれかこれ観ておれと一緒に笑って!
↓
http://www.youtube.com/watch?v=AOxVXQlZXqI
厨房で、秀人と仁乃が二人、食後のかたづけをしていた。仁乃は台所で食器を洗い、秀人はキッチンテーブルについている。
「あの子たち、今日は外のノイズが薄いとか言っていたね。ノイズが濃いとか薄いとかが、 ....
いつも一人でいる君のことを
そっと
優しく
僕は見ているよ。
初めて
会ったときに
他人には
思えなくて
最近妄想する夢、大きな鍋にスープが煮え立っていておれはかき混ぜられる。
だんだん溶けて一部になっちゃう。
でもおれが溶けたかったスープはこれじゃない。
いまのおれ。
本当に不誠実な友がいたものだ。その発見だけが収穫とは!友情に金銭の関係が絡まるともういけない。同窓会でも借金話と就職の世話話とをしないのが皆の出席の長続きする原則である。
私の信条 まさかの時の友 ....
自分の友人のことについて語るのは難しい。そこにはどうしても遠慮や照れくささといったものが介在しがちであるし、ましてや彼は僕がやっている「反射熱」という詩誌の同人でもあるので、下手すると仲間褒めといっ ....
僕はロボット。少しでも君の人生が豊かになればと未来から送り込まれた、ロボット。君が大人になるまでという約束だったから。僕はもう君の前から消えなければならない。君のためならヒマラヤに咲く青い花を摘んで ....
妻が平日に東京へ行くことになった。
友だちが故郷の鹿児島から仕事の都合でこちらに来るので会いに行くということだった。
ほぼ十年ぶりの再会だそうだ。
鹿児島から東京に出てきて、僕と結婚し、千葉に引 ....
冬も近くなって日の落ちる時刻もだいぶ早くなった。少し暗くなった渋谷の駅前ではいかにも胡散臭そうな50過ぎのロシア男がショパンの別れの曲に合わせて操り人形を躍らせていた。ロシア男は渋谷をうろつく数人の ....
『恋空』とは多分こんな話なのだと思う。
おそらく、時は西暦20XX年、世界は核の炎に包まれたのだと思う。文明は崩壊し、モヒカン刈りの悪漢達が暴虐の限りを尽く無法の世界となっているのだと思う。 ....
私には親友がいます。
ただもう会えないだけで。
今まで生きてきて
半分以上、
ほとんどの年月を一緒にすごしてきました。
今日は私にとっては
親友の月命日。
ほんとうは明日なんです ....
手首を切るような人間の感情はわからない、と彼女は言った。
それは、彼女のまっとうさを端的に表わした発言だろう。
私が最も憧れて、同時に疎む、彼女の特性の一つである。
わからない、と言った彼女は、 ....
ぼくが生まれ育ったのは、田舎の城下町だ。田舎っていっても、一応は県庁所在地なんだけれどね、それでも田舎は田舎さ。ぼくがちいさなころはまだ田んぼがあったし、春になれば土手にはノビルが生えた。よく採って ....
時計の針が走り続けて
止めることはできない。
こうやって
パソコンに向かっていても
眠っている間も
ぼんやりしていても
どんなことをしても
時間は過ぎていく。
時間は止まってく ....
若い苗木を植えるときは、上の枝をはらうだけではなく、木の根っこもかなり切ります。細かいヒゲのようになった毛細部分は一度 土から離してしまうともう力がなくなり腐り始めてしまうからで、新しい土に新しい強 ....
傾いていた。
傾いているので歩くごとにそちらに、ずれる。ずれるのでずれないように歩こうとすると、さらに傾き、またずれる。急いで、いる。なのでずれるのにも構わず、ず ....
巧妙に嘘をつくのと、本当のことを敢えて言わないのとは違うことだと思った。
本当を隠して一物抱えて軽やかに笑う
感情が鈍感なのでなく、無感情でいろと心に指令を出すほどひだひだに繊細な感情 ....
摩天楼の一画に、とても素敵な景色の見える部屋がある。
私はこの部屋のテラスで、夜風を感じながらあなたと過ごすの好き。
まずは赤と白のワインで乾杯するの。
この時は決まってあなたが白で、私 ....
ひさしぶりにカラオケに行った。強引に連れて行かれた、という方が正解かもしれない。
カラオケだと妙に酔いの回りがはやいのはぼくだけだろうか。あの密室の感じが酔いを促進するような気がする。
いくら酩酊 ....
近年、NEETと呼ばれる「教育を受けず、労働をおこなわず、職業訓練もしていない人」が増えてきていると言われています。また、フリーターと呼ばれる雇用体系に融通が効く状態に甘んじている「フリーランス・ア ....
初めて火垂るの墓をみた。
衝動的に感想を書きたいと思ったので書く。
しかし私は頭が悪いので上手な文章は書けないし、
「そこは違う」
と言われても、反論できない気がする。
....
いいですね。感覚がいいですね。働くということと詩を作るということとがかなり一体化している。生活、労働が作者のうちで相当融合しているからだろう。本当に詩の生まれる過程が読者にも届いている。但し言いたい ....
・僕は電車で真ん中に座る
少し語ろうと、思う。今しか語れない事や、それから少し前の事を。先の事を。
もうじき30歳になるある日、僕は友人と酒を飲み、そうして勢いで、次の日の仕事を休む電話を会社 ....
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