もう11月になる。
日本列島ってやつは縦に長く、皆さんの季節の深まりにもタイムラグがおありの事かと思う。
私のいる山間の平地では、秋もそろりと冬へ傾き始めている。若干物悲しい季節だ。
傾き始めた ....
「そっか。そうだね。見つかっちゃったんだ」
サッカーの練習から帰ってきたHiromiは、Sayoの話を聞くとそれだけ口にしPenneの頭をなでていた。
Sayoは大きな旅行用のバッグを持ってく ....
{引用=
ここは世界だが
誰にとって孤独だ}
水分を取らない男が居た。
目的など無く、理由も特に無い。
誰に規制される訳でも、また己に課した罰でも無く
ただ毎日を暮らす自然 ....
平和を得る為には、何か犠牲を払わなくてはならないのだろうか。
「命」や「想い」、「権利」や「肉体」などを代償に得た平和に、己の幸せは存在するのだろうか。
少なくとも、何かしらの犠牲の代 ....
「ひどい臭い、あなた、部屋で何やってんの。魚の缶詰でも作っているんじゃないでしょうね。ここは、食品工場じゃないんだからね」
そこまで言って、Sayoが口を開き、そこから出される答えを待っている。そ ....
10月上旬に発売されてから、手売り、WENOD店頭販売及びHP通販、
関東、関西、東海の、各イベント会場での販売などで、じわじわ
拡がりを見せております。朗読コンピレーションCDアルバム
『言葉 ....
そして引き続き何かと落ち着かない日々が続く。
忘れた頃に何かを思い出すのはオレだけじゃないらしく、
それは秋の空模様だったり怒った時のあのコの声色だったり、
いつの間にか使わなくなった色えん ....
Penneのサポーターが取れるのに、三日かかった。
アザラシの面倒は、夏休み中のHiromiが見てくれたが、週二回あるサッカーの練習に連れて行くわけにもいかず、その間は昼間Sayoがアパートにい ....
詩の書き方を忘れてしまったので、
私の想いを、
ただ、書き残します。
ツマラナイ大人へとなっているかのように、
文芸活動から遠ざかって行っています。
そして、それに違和感を感じなくなって ....
世界の為に、全ての生き物の為に、
この身体がずたぼろにされようとも、
どんなに酷い目に遭おうとも、
戦ってゆきたいと、
護り抜いてゆきたいと、
そう思う気持ちは、嘘ではな ....
すげえやだ、と女は言った。
通り掛かりの声だ。駅から家路を急ぐ間際、改札を出た後すぐに、ほど近い後ろの方角からそれは聞こえた。年頃の声らしい太いアルトだったが妙に甲高く感じた。振りかえる気も ....
部屋に戻るとHiromiは、リビングの三人掛けのカウチに座ってテレビを見ていたが、その横でPenneが大きな潤んだ瞳の顔を上げ、Sayoが部屋に入ってくると、娘と一緒に光沢のある灰色の顔を向けた。
....
ピアニッシモは、相変わらず不味いらしい。
由夜といわれても、俺はどうしても「お兄さん」って呼んでしまうんだけど。
その人には相変わらず死相が付きまとっているような雰囲気で
俺はばったりと会う ....
八月、台風九号は二十二名の命を奪い、太平洋の北洋上で一陣の風となった。嵩の増した泥の粒子を束ねた濁流が財田川を下っていた。よく水神として龍や蛇が奉られるのがわかる気がした。うねる濁流は ....
Sayoは、マネージャーのスティーブに子供が病気だと言って、二日ほどの休みを取った。
スティーブは、夏の忙しい時期にサーバーやラインのコック達が休むのをひどく嫌がるのは知っていたが、今までろくに ....
眠くて頭もぼんやりしてきたところで、何かを著したいと思う。ああそういえば、私はまだ初恋を引きずっている。初恋、というには語弊があるかもしれない。あれは、初めて他人の幸せを願えた恋なのではないかと思う。 ....
この言葉は、「人生」が何を差すかで意味が大きく変わる。
この先の「未来」の人生を諦めてしまうのならば、
その生き方はある意味生きることの放棄であり、愚の骨頂である。
....
リビング・ルームのテーブルには、油まみれの四角いカード・ボードに、ピザが二かけらだけ残り、もう白いチーズを固くしいびつな三角を見せていた。
Hiromiはウォーフでの母親の話を聞くと、そんなこと ....
白いタイルが弾く光の中で海獣は、毛皮に包まれたくたびれたピローに見えた。
他にどこにも連れて行くあてなどなかった。
娘のHiromiは、Sayoがアザラシを背負ってアパートの部屋に戻ってきて ....
JR京浜東北線新子安駅前にある居酒屋『道草』の親父は、
僕がカウンターで一人、コップ酒をちびちびやっていると、決まってボクシングの話を
聞かせたがる。僕ら以降の世代では誰も知らないような昔のチャ ....
ためらうことなく男達の目の前で白いブラウスを脱いだ。白いブラジャーのほっそりとした体に陽がいっそう白く肌に弾けた。
そして膝をおとすと、すぐにそのブラウスをアザラシに着せ始めた。
「スカートも ....
十時間も眠るとき、最後三時間の夢はオールフルカラー。あまりに手近なのに摩訶不思議な夢世界だから、これを捨てるのはもったいない。僕は夢で詩をつくることにした。
まず辞表を提出。「夢を大切にしたいん ....
自分、恋に落ちたっす。初恋ってやつっす。中二にして初恋、自分、純情ボーイっす。
相手は同じクラスのサマンサっす。彼女が通学に使ってる鞄はサマンサタバサの物で、それはいわゆるハンドバッグといわれる ....
むかしはさ、日本にもカミサマがいっぱいいたんだよね。それこそそこら中に。外に出たらいたるところにいたし、テレビをつけてもそこら中にいた。んで、みんなそのカミサマを見て、喚起したり溜息をついたり ....
背のほうでどさっと物が投げ出される音がして、続いて、男達の声がした。
「こいつ、どうする」
「生きてんのか?もう、くたばってんだろ」
「さあ、生きてるかもな。海に捨てるしかないだろ」
Sa ....
久しぶりに散文を落とそうと思った。なぜってまぁ、仲治君の散文を読んだから。途中までだけど。面白かった。続きはまた読もうと思う。なんだかんだで、僕は仲治君の散文が好きなのだ。あと、イカイカさんも。イカイ ....
夜のシフトのサーバー達と入れ替わりに、Sayoは店を出た。
週末のダウンタウンは、車の数がぐっと減っていて、それだけでも何かほっとする。ダウンタウンの西側には入り江があって、それに面する辺りは、 ....
χ=9.9999…
10χ−χ=90
9χ=90
χ=10
10=9.9999…
世の中そんなもん。
細かいこと気にしてたら生きていけない。
宗教のための宗教とは(4)
私が宗教にかかわりだしてからはもう 永くなる。人生の3分の2は費やした。主としてキリスト教とバイブルを研究した。キリスト教はイエスによってはじめられユダヤ教の母体の上 ....
Sayoはもうこんなことを三年もやっていた。
森を越えてやってきたここは、都会の雰囲気のある町で、少なくともダウンタウンには背の高いビルがあり、州立のバスが走り、スーパーマーケットで買い物ができ ....
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