引汐を 追って沖まで 春の海
{ルビ石鹸=しゃぼん}玉 私の知らない 窓のそと
風邪ひいて口やけどする昼の汁
さふして立つてゐて坐つてゐてさふして
朝まだき春の焚火のやはらかく
四十雀日雀春田の修飾符
曾祖父は清水一家や忘れ汐
春の海見やり枯木に火を点ける
野火猛る猛れども焼き尽くさずに
焚火して未だ青春の語を背負ふ ....
目覚めれば夢で聞いてた雨の音
春うららんこっそりスキップしたりして
マーガレット雨の日だって上を向く
一粒のイヌフグリ咲く浅い春
明け方の寝顔の奥に春の ....
電線の雪ぶつ切れて落ちて来し
ポケットに凶器あたため暮れかぬる
妻を殺して帰る家 冴え返る
遺書などは無くとも二月の首縊り
シクラメン呪いは無垢なこころから
春の水濁れよ神の指触れん
失えど
桜舞い散り
涙ぐむ
淋しくも星七つ八つ春は来る
初七日の師とともに解く入試かな
{ルビ初午=はつうま}の氏子送りて遅き昼
春一番彼の屋台も早じまい
マラソンの朝冴え返る銀座かな
鼻風邪やお得意様のありがたさ
恋人を兄さ ....
春来ても僕の昭和は花咲かぬ
あったかいクリームシチュー白熱球
「いってきます」「おはよおかえり」の挨拶
飛んでった「痛いの」着いたか生駒山
しもやけとカフェモカ色の幼い日
日溜まりに夢見る猫の二月かな
盆梅や骸の幹に紅が寄り
揺れ通す竹の林や女泣く
目白散る切なき昼となりにけり
春近しバレンタインに歯医者行く
{ルビ薄氷=うすらい}が私の好きを映してる
日の透くる椿の花の別れかな
並び夜 雑音無音に とけていく
星がくれ いくつ数えた ケンケンパ
幸せは 見つかりましたか? 青い鳥
青信号 白いトコだけ ケンケンパ
....
見下ろせば煙ぶる郡上の冬支度
円空の冬の刻みや千の腕
宿の湯にゆるゆる流れ枯葉舟
捨て城の冬帽ふたり憩う石
堂の夕裏山燃えて冬紅葉
鞭鳴らし予算会議の二月来る
豆まきの窓を見つめて秋田{ルビ犬=いぬ}
病棟へ渡る廊下の{ルビ余寒=よかん}かな
人に別れ炬燵に眠る二十五時
礼服の上司の肩に氷雨降る
女子 ....
仰ぎ見る天 弔いの鐘 白く鳴るなり
{ルビ鉄=くろがね}の疑問符 持つ陶器たれ へうげもの
美しき 葛藤に在りて 藍と咲く
名を忘れ鴉にもらう夜明けかな
戸惑えど戸惑えどただつづく道
灰と種そのどちらにもなれぬ我
けだものに寄り添いて笑む夜風かな
終わりへ ....
まだ行けぬ まだ生けぬまま 我は逝く
目にいたい ふゆの青空 雪国の
広茂
すやすやと白猫の身に冬籠り
淡き恋月を浮かべし君の瞳に
年明けてそっと踏み出す一歩かな
ほろ酔いて妻の手を引く初詣
初売りに祖母と来て買う晴れ着かな
長生きの人にもまれて初地蔵
初芝居光あふるるロビーかな
{ルビ角=かど}番の ....
離れてもなお離れ得ぬ漠鬼かな
つむる目にひとつこぼれるななかまど
つむる目の光のなかを去りゆく背
己れから己れあふれる獅子頭
さ ....
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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