秋の風 初夏の中にも 混じり居り
秋来れば ちいさき 虫達 喜びて
秋茄子に ブラジル 生まれの かぶとむし
かぶと虫 卵を いだき 土の中
みみずはね 土を 耕し 活き ....
唾を飲む。
ごくり、と耳に響いてく。
目を閉じる。
あの日の空が見えてくる。
聞こえてる。
君の歌声今もなお。
声をだす。
浮かんだ言葉をひたすらに。
泣いてみる。 ....
しとしととヒエイ霞てつゆの雨
青田には頼もしげなるつゆの雨
梅雨の雨降りくる中を歩みゆく
いつくしむ べっどのきしみ ぎしゆらり
街なかやフェイスタオルの落ちたまま
スイカ玉 抱えた君が 懐かしい
雨に濡れ紫陽花のため息ひとつ
思い出に指先染めて蛍草
ヒツジグサ夢の{ルビ水際=みぎわ}でまどろんで
ジャスミンの香りに偲ぶ「愛の通夜」
向日葵やひとり見送る日 ....
雨降りて 蛙も宿りに 帰りたり
窓枠に 狭しと並ぶ 白きもの
紫陽花の 葉の裏見れば 蝸牛
長靴と 黄色い傘の 帰り道
水たまり ....
梅の咲く 古都にうまれし 新しき珠
鳩が来て紅葉の枝に住まいけり
陽が上り妻のチロルの服を干す
初西瓜妻にやるため買いにけり
夏葱や魔法使へた少年期
麦藁帽誰かの思い出波に消ゆ
夏草や旅の鞄に陽が落つる
蟻地獄柱時計の午後三時
ブルースと夜霧のためのバーがある
黒百合や母のピアノの埃拭き
梅雨の晩送られし日々の紙一重
夕立の山小屋のよな紙一重
麓から頂上までをなぞる指
折り紙を折る指に癖あらわれり
夏服を脱いで蜉蝣乱舞せり
青簾恋匂い立つ畳の間
青葉の日プロコフィエフ午後一時
詩が好きで詩学が好きでもみじ緑
近江富士まさおな琵琶湖子と共に
鳴かぬなら 私が鳴こう ほととぎす
(過去作です)
空わたり沈むまなざしみずたまり
二季またぎそよぐ野の墓みずたまり
何も得ず何も見ず居るみずたまり
輪を{ルビ描=か}かずめぐる生の輪みずたまり
....
瓦屋根白黒雨粒てんてんてん
夕立のみぞおち満たす涙かな
右折してまた右折右折片思い
山消ゆる入梅とともに君までも
紫陽花の涙雨に浮かぶ薄紫
窓ガラス雨だれ落ちては指で追い
五月雨に映えて{ルビ清=すが}しや草緑
散歩道寝そべる蛇に邪魔をされ
木漏れ日に透かして緑の影模様
憂鬱な世界を壊せ青嵐
吹き荒れる緑に心さらわれて
....
散ることを知らずに咲けぬ霞草
この皿は一人暮らしの味がする
万華鏡最初の絵柄はよかったのに
一輪挿し咲いているのは違う花
地下鉄の窓の鏡が怖いだけ
あくる朝アドレス帳 ....
夕陽がしぼんでゆきます砂時計
冷凍庫いつかの恋がフリーズドライ
夜景はね化粧が下手ねとすっぴんで
片恋はまた雲となり俄雨
言いそびれし言葉のジュラ紀の地層調査
またあした ....
引けば開く扉は押します開かぬよう
開かずの間あの鍵はもう壊れてます
ねえあなたこの車窓の絵は買えないの
蜂の顔同級生の小林さん
生活感だけを散らかし夏の庭
引けば開く扉と ....
自惚れの嫉妬淋しき立夏かな
蟻群れてダリの世界を解体す
キリコの街に少女失踪月見草
マグリットの青空の下に暗き闇
つぼみですあなたの前では枯れるまで
曖昧は曖昧だからやさしいの
恋列車整備不良で停止せず
さいたま港そんな港は知りませぬ
残された飛行機雲を撃ち落とす
あなたといふ三文字 ....
ゲラゲラと笑う珈琲夏来る
海月刺す熱き潮の季節かな
旅人に墓がなければ花ユッカ
向日葵に夕焼け沈んでハレルヤ
ナイターの灯り盗みて後火とす
愛されてアイスクリームは溶けるまで
生きるため乗りこむ船よ浮草よ
ふろしきに包まれしものの声を聞く
地図になき地を吹く風との対話あり
野に蒔いた手品の種の発芽待つ
アラー ....
桜散りすでに秋の風たちぬ
にせもののあなたと過ごした月見草
朝顔のつるに巻かれし夏の園
脱皮した蝉のぬけがら捨てられず
キセルしてまでも行きたい終着駅
靴底に見つけた春の ....
端午の日茶を入れくれし雨森庵
波静か霞立ちたる余呉の湖
麦酒のみ蕎麦を食いけり福井の里
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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