二十年を畏れる
淋しい山から海が見える
ありふれた雲
タカノホームに客無し
二週間ぶりに見上げた空に、月
丹念な歯磨き
ユンケルの細いストロー
空の意味がない
青空しかない
よく晴れた秋の昼下りが知られずにいた
地上二十メートルの雲がある
砂の熱さを憶えている
山から電車を眺める
路地裏の神社隣の子供かな
{ルビ蟷螂=かまきり}の貼りつく道の女かな
831 手に手を取って 夏と逃げ
僕アトピー
悲しみ消えた
血となって
問題は
むしろ寝れない
ことなのさ
かゆみという
鈍い苦しみ
たずさえて
人生を
二十七年
続けたら
今の今
なぜだか僕 ....
炎昼を赤子の声で鳴く蝉や
誘蛾灯十枚の爪かかりけり
泳ぎきし手足を埋めて砂の城
真夜中の汗つま先へ到達す
扇風機ふいに大きく頷けり
蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
喜ビモ憎シミモ異色同音抽象画
秋の夜の水の冷たさを腹に溜めた
庭より白猫の帰り来るもう秋
せせらぎに
優しさよりも
愛情を
虫の声
心に戻せと
願う夜
轟流に
逆らう事も
芯になり
水の色
透かして見てる
....
天道虫迷う私の前を行き
蟷螂の雌になりたしふられた日
蜜蜂の針にも似たり詩の言葉
紋黄蝶陽光のうち見え隠れ
蝉の仔よお前は何を夢に見た
紫陽花は誰かのために色を変え
庭先に咲いた牡丹が欲しいか嵐
木瓜の花闇夜に燈る灯のように
足跡を残すが如く咲く菫
向日葵は子供の顔を覗き込み
激しい雨に立つ
夏終わる紙幾枚か燃えながら
扇風機止めて静まる夜更けかな
行く夏や新幹線の中のこと
幾枚か光る瓦や夏の月
アポリアが首を擡げる猛暑かな
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