曇天が溶けたアイスのように甘い
暗闇で影踏み遊びは真の闇
日傘さす影のない日の白日夢
白日の影踏む一歩地に投げて
フラットの窓辺鮒釣りをする月明かり
砂嵐石仏埋もるランプの灯
雑踏に雨染み込んで{ルビ玄=くろ}く行く
冥暗のガラス研ぎ澄まし雨雫
天荒の息急き切った海の意志
俳句する永遠の今を留めたし
風動き我突っ立つて雨の降る
複眼の目持ちて写生句は
水晶を月夜に照らして呼吸さす
ちゅら島のサイロの悪魔 放擲だ!
何か苦を死んでいないが君はいて
ゆく鳥は徹夜を眠る夜明けだがと俺
山に落ちしかし水の波紋が汚濁
鳥昏く飛翔して陽の大海
蛇搾る樹液の朝はぬらりぬらり
蟇蛙が轍で潰れ死んでいる
思う誰星は僕にない夜に街
胃の生姜鶏を腐敗に押し込んで
ミルクからズラミートなる夜明け黒
額に角の生えてホラを吹く
古本の活字生き生き今一度
贅肉を削ぎ落としたく俳句日和
絶妙な漢字ひらがな釜で煮る
明け方の鳥の声さえ夢の色
金糸なる静かな時編むまどろみは
ソファーにてなおつづまりて猫の夢
頭頂の夢のかけらが部屋に浮く
月曜を刻むシンバル雷鳴の闇
オリコンにロックンローラーザ・ピローズ
日曜のケンカする夜電話虫
揺さと風 豊穣の胸に抱かれて
陽は流れ雲行きて行くこの窓辺
風の腕木々に触れ 聞く風の音
会社出るなくしたスーツにぬるむ風
五輪山望むあいつの古傷に
詩の声をノートにペンを握りしめ
春の夜や猫には猫のつらきこと
夏は来ぬ恋しそびれしブサ猫に
野良猫の目ヤニ粘れる薄暑かな
五月雨や猫のつはりはじんじんと
猫の児のぬめりを洗へ夏の雨
老猫の黒毛ねとつく西日かな
....
草の葉の風が光って輝いて
時として光の国へと帰りたし
善悪の出会いがしらの煉獄で
天と地に祈り捧げて今日の日の
貝殻を海の無い街に置く
地球ヒタと動かぬ風も無く
真空のキリコの影の戯れて
飛ぶ海へ震える青年立つ四月
トランプの架けられた指に望む数
南仏の色彩シートの窓過ぎる
ビルの谷渡る小鳥の温かさ
暖かき希望の灯火もれる窓
落日のあわただしき街 風行きて
黎明に傷ついた陽は静かに昇る
癒す月太陽没して涼しくて
告発は黒き鏃を研ぎ澄まし
死の準備 西日激しく吠えてみろ
小鳥らは遠くさえずる胸で聴く
曇天にこうべ垂らして礼拝す
燃え滓の静かな街路に排気ガス
快晴!緑樹は輝りて蛇の爪
陽光に蜥蜴艶めく気配あり
つややかに路面に光 遊ぶかも
見た聴いた書いた100人のギャラリーがいる
空色のソーダ飲みたしこの日和
青空にストローを挿し飲む 光
光に住む住人と会話している
見上げてはゆたりゆたりと風鳴らす
灯火が心の中に灯っている
街の灯がまたたいて強き風
磁力線リコネクションそら飛んで行け
百万年前の熱核遊戯今降る
太陽は五分周期の変光星
ニュートリノ質量あっての軽やかさ
光あれ暗闇もあれビッグバン
星間風ヘリオ坊主の天気予報
....
過去と今つなぐIP二年越し
ヒザゆれるテクノのリズムはユザゆすり
この光渋谷に続く恵比寿へと
何かすらひとつですらもそのままに
音の指弦をはじいてついてくる
この空に青い瞳が石畳
書の山と寡黙な唇ペンは吠え
霊の白 頭上に強く輝いて
白い雲ざわめく街は潮騒に似て
木の上にカタとケースがささやいて
繊維から皮がのぞいた肌色の
プレイする指に手のひらスタンバイ
キーボード叩く心臓が血を流す
昏く地と全天 光 輝く人と
告白の言語は著され歴史パルス
石 砕く快楽憑かれ墓あばき
風薫る青い天使の日におとなう
ヒイラギを禁ず触れると血の燃えて
茨らは深紅血みどろ実の乳房
105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145
【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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