白く淡く第一の月 今東
20XX無重量 星らに手の届く
火星赤 天空の黒に血の滴り
雨粒がまだ見ぬ街の葉を濡らす
転生欲し現れたムカデ我殺す
濡れた木が発火するほど祈祷する
なべて蜂花に恋すれど恐ろしき
神の手か口語自由詩の悲惨なり
ヒラヒラと蝶空に吊られ止め処なし
大気止み鳥矢のように木かすめて
寝息して地球は自転風もなく
雨の地に木の葉の雫重くあり
雷落ちて大樹の幹に露下る
天気変え巨樹育てる侏儒なれば
木の実採り大樹の陰に雷避けて
{引用=侏儒(しゅじゅ)=こびと}
羨望の山口誓子山青く
狐火の妖艶に燃ゆる少女に会う
日本語の柔らかな響きに眠る
南方より北上する血焼けた肌
アカイキミト アカイオレガイタ アルユウグレ
ぽかぽかのはだかんぼうが笑ってる
泣きやんで群青の街風つめたし
夕焼けの影に手をふり明日も晴れ
返り血を浴びたるごとく陽に染まり
永遠の息のつづくうたそのものの波
さみだれや夢の砂漠へさそおうか?
初蝶も凍蝶もなく蝶あふれ
加速器で言葉ぶつけた夕間暮
しめやかに夜に雨降るこの不思議
梅雨空の鳥らの飛翔の影{ルビ玄=くろ}き
列島ドーム全天候だ遊べ遊べ
火の蛇が湿った幹に点火する
五月雨や透明な死者ばかり過ぎ
夕立や此の世のはずれに独りをり
雨上がりぼくらの好きな空の波
天と地に眉引いて外出す
緑濃く包丁砥ぐほど湿っている
息をして大気の重さを計測する
立てば屁が座っても屁が夏の月
野に出でて神々に会う木の葉ゆれ
雑踏に神の祝福在り無しや
見上げては空は遠のく曇り空
銀波のようにしみわたるキスをして
うれしさもさびしさもいっしょ あいしてる
あなたとは蛍の国で逢った気がする
いない人また向かいゆく夢の道
油分揚げぬ粉ゼロビスケット
オリコンにピローズ並び雨を待つ
青シーツ天使(きみ)がのこせし羽根いちまい
夢なんざ虹の向こうで捨ててきた
冷蔵庫くだものひとつの宵月夜
木漏れ日で眠るぼくらは10時指し
....
さよならと青いノートのすみにかく
天使とぶ軌跡のこして夏は暮れ
悲しみはまぶたのうらに熔かすもの
熱い夜にぼくの未来は透明です
タバコに火ひととき針を消え見てた
マルガリーテバイオリン指示弾け暗く
黒い死が風呂ミルク中にフーガする
暗闇に ポツリと灯る ホタル火よ
ホタル火の 光の輪っかに 包まれて
ホタル付き 光るボタンと なりにけり
ホタル火や フラリフラリと さまよいぬ
フラフラと 宙を漂う ホタル火よ
ホタル火 ....
光 求め緑透けるほど見詰めている
海の音に誘われてゆく雲の先
読書して拾う言葉は貝の殻
泣きじゃくり終わったような青空だ
月青く遠回りした道照らす
時 ....
蜂の巣の体で回す日傘の柄
訪れたここそこで我が骨拾う
ミゾオチにポッカリ開く風の穴
菜の花や周りの空気黄に染める
春嵐受ける身体は冬仕様
森羅万象 欠けてはならぬ我影なきゆえ
完璧の形状であるこのコップ
欠け茶碗 愛おしさに白湯すする
雑踏に影忘れ去る不条理よ
今生は我が影捜す旅路なり
朝露に見果てぬ国は宿り来る
突っ立って我に影なし草いきれ
新調な音の新しいスピーカー
友仕事心なく道を向かう果て
死なないと温水日本の月曜日
蝶ひかりて山の向こうに墜落す
せわしくも花につきさす蝶の口
蝶までの距離のちぢまぬ捕虫網
夜の雷ピンにとめらるしじみ蝶
影のない喪失感や葉の緑
樹の思想 地割り上昇スパイラル
ビルの谷 光渦巻く矩形の空
雑踏で一人影置く寂しさよ
曇天が溶けたアイスのように甘い
暗闇で影踏み遊びは真の闇
日傘さす影のない日の白日夢
白日の影踏む一歩地に投げて
フラットの窓辺鮒釣りをする月明かり
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