{ルビ朝寒=あささむ}や子宮の奥へしのびこみ
初秋の路上に晩夏わだかまる
塗りたての青あざやかに秋の空
コンビニで桃缶さがす風邪の人
ほおずきが臓器のようにおち ....
暮れる空
たなびく紫雲英(げんげ)
地平線まで
水晶を垂らすと地球が凹む
地面に円書いてテレポートする
石蹴って石に聞く帰り道
夏 愛着のタオルのように使い込まれたよ
夏をカバンに入れて持ち去る
曇天に街が映り込む電飾 キラリ
都市が閃いて詩文が海溝に積もる
アスファルト・鉄筋・車軸 振 ....
水まきて 生まれし虹の 爽やかさ
虹立ちて 心に希望 湧きにけり
虹見上げ 友の幸せ 祈りけり
雨上がり 虹の生まれる 場所探す
雨滴 小さき虹の 生まれけり
湖に 虹の映りて 円となり
....
華やぐリビドーで四季が巡る
さざ波が陸と戯れ転がっていて
蝉時雨れ細りつつ出来事が遠のく
息ついて眺めると回転機械ばかり
あの日の昼どき過ぎに虹想い
....
雲なんか空に置いてみる
ひいらぎ束ね振って祓う
木と私の間に確かに秋がある
言葉のカケラ集めて巣を作る
ほの白い繭玉昏い寝間のすみ
蛍光下 本を読んでいる君がいる
大気ゆさゆさ揺れて急ぐ秋
台風を秘かに待って夜の雨
雨音に虫のすだきが溶けてゆく
残暑に解けているヒモ結ぶ
こことそこ無名の余白に虹が架かる
日没が誘う秋の夜の暮れるを待つ
孔雀さまよえる詩人に園開く
命の華らに梵天の配慮は水やり
....
月面のダビデの像に薔薇の花
月の石 持ち帰りて地球重くなる
惑星探査にボサノバ携えて行く
影長く夕暮れても一人の街
書物に忠誠尽くせば背が伸びる
孤高なる生はち切れて射す秋陽
単独行もの言わぬ行なり詩文よ
言葉の海に網打って意味を捕る
金色 ....
明るい都市の夜空に雲の轟音
バラバラと飛行灯の明滅
ウォーキング昏き夢など見続ける
鶏の眼がじっと視透す我が来世
街路樹に秋日さんさん都市眠い
或る夕暮れ
ちじれいる青草の上眠りたし
もとれる世疎とみては白き月
くもり空風吹きわたり談笑す
陽は沈み夕顔咲きてつまと友
亀割れて路に転がる晩夏かな
{引用=
病床この身染み付かす前に
背中の真ん中が痒い
死ぬる意思の粘土捏ねる爪は伸び
軋んだのは階段か
並ぶ麦畑どうすればその色になる
夜 ....
秋の日に魚遡行して運河あり
鉄筋の錆びて曲がれる捨てた街
雑草が茂る空き地に蝶遊ぶ
高き塔 自由の名を聞く都市煙る
上腕骨 燃えて滴る髄の文字
海の深度が落す魚影
時刻む魚群深まる海の意味
明るさに愛と慈悲のみ栄えてる
音楽が満ちて今 ....
この雪色の氷に散りある
風の側イソギンチャクとたわむ潮
緑なるサッカーコートRGB
死んだらああ空命ある
木の葉落ち風語るを聞き
光のために木の葉みな手を広げ
幹 黒々と明日を夢見ている
憑依を着ることもある悪魔よ
進化して天使になれよ人どもよ
退化して臭い嗅ぐ毛物悪魔ども
三日月や少し曲がれる猫の首
朝顔や猫の寝様はぐんにゃりと
秋風やつまらなさうな猫の面
出刃入りて観念したか大西瓜
しづかさや黄菊白菊祖母の骨
夕暮れやヤンマにゆづる散歩道
....
花守る刺す飛ぶ火なる蜂であり
左腕 巻かれたる記章 包帯なり
魂の裸体しずかに座りおり
在って在る葡萄の房が黒々と重い
楽土の建設 妙法に永遠の命
勤行や焼香を秋に添える
神のため臍から咲かす蓮の華
風鈴の音が伝え得る寂光土
ビルの谷と寂 ....
秋風が浸みて骨が涼しくなる
大気の上澄みを透明に飲む
空気の秋を飲む毛細血管が開く
蟻が秋の日に急いでいる
木陰との透明な距離を測る
蝶は影を地に落とし明度を増す
漸近線 描くたび神に近づけり
風船を手放すたび青空は青く
色狐 寝間に ....
夏 その影を集めて 静かに
秋の陽射し 夏 思い出のみ巡る
夏が死に絶える 秋の雲が見える
幽霊は短い昼の闇に立つ
光にも灯にも痛みの降りそそぐ
紙ひとつ千切る間にもう字を忘れ
とどろきが光を越えて芽を撫でる
破壊しにでも破壊と ....
晩夏 影いとおしく繋ぐ
花という花は見ていない夏深く
飽くことなく日射 街に集めて
蝉 波のように満ちて冠水
炎天のアスファルトに霜など降らし
空蝉となりて謳い染める
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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