引き伸ばす空もない朝花びらは色を濃くして道を千切った
高い柵取り残し飛ぶ鳥からも奪えるものはあると思う
雨だからドアにはりつく葉の傷は治らないのだ言い訳のように
背に生える蕾を思う病 ....
川よどをふたり眺めて湿る手とスカートのなかうずく秘密基地
美しい毒がまわって弾けとぶ
***白昼夢色はなびらみたい***
一本の電波でよわくつながれて雑念雑音―――空 ....
真夜中の午前三時のメール音「眠れないよ」と文字がつぶやく
見つめ合う瞳の奥にお互いのこころ映してただ見つめ合う
別れ際「また明日ね」と言いながらおやすみのキスねだる仕草 ....
ノクターンそのたくらみに旅をする
まなざし揺れる夜の窓際
ささやきに似た腰つきでつぶやきに
似た足どりでダンスする{ルビ夜=よ}は
ガラス窓くちづけかわす夜の色 ....
さよならも告げず終わった夏の恋 朽ちた蓮の葉 爆ぜた秋の実
上弦の月に投げてみたりする 過ぎ去りし恋を球のかわりに
しあわせは賞味期限なしにつき 恋せば回れ 急がば哀れ
....
小石ひとつ足して水位を上げる空目指すと聞こえる芽吹かない木々
星を曳く枝先の花萎れかけ助けたと叫ぶ鳥をくぐらす
弾くことのなかった楽器ただ影に指先を足し待つだけの肩
線を引く音 道に ....
なまえなど我にいるものなどでなし 吾が名は ただの トランペット 。
保護をうけ生活し我の小さな國 完成 間近に 小鳥が 来鳴きぬ 。
ひとつこと ただ 思い詫び過ぎにし 日々の クリスマ ....
●「なべ底のカレー焦がしたらばっ金300円!」と貼り紙されて
●あなたは焦がすから、絶対焦がすから、あたためるならチンにしてよね
●チンじゃなくてむしろピッピーと鳴るでしょうゆうべのカレ ....
「またあした」嘘になるけど手を振った。残り三分、世界終わります。
自由人。
校庭のベッケンバウアーは、
痛めてもない肩を吊り。
蹴球少年はリベロの意味知らずして、
ベッケンバウアーを知る。
少年の目に映るその稲妻は、 ....
あたたかく冷たい砂につつまれる湧き水の音めぐるむらさき
饒舌を打つが私の常ならずハチドリの羽ハチドリの水
指さきに降る水銀の一粒に触れに来る火の姿はまわる
....
様々な 色ちらばめて やってきた 春の日差しと 三月八日
三ヶ月 サクラ咲くころ 私は 何を見るのか 木漏れ日の中
{引用=
元素の記号に音を託して、
ひとつの譜をここに。
それぞれの元素たちの姿を探しつつ、
あそびに流れてみませんか。}
●Fe(鉄)
フェンス越し ....
熟れたウルトラの母の肌に絡みつく、
怪獣バルンガの触手。
嗚呼!危うしウルトラの母。
だがそこにやってきたのはケムール人。
ケムール人はねばねばした液体を、
その頭部 ....
誰かの手、誰かの背中、誰かの舌、誰かの心、これがあたしか
10月は涼しいもんね夏休み連日連夜のお誕生会
「あたしたち群馬のまーのてんてんの下に住んでる人類なのね」
パチン ....
リコは軟体のYにして、
変数Xの虜になりて、
っくすの事情。
難解なXの方程式。
あんな体位もできそうねと、
笑うリコ。
肋曲線Oマイナスπの周 ....
「っくすって、
くしゃみみたいな言い方ね。」
と、
終わったばかりの彼女が呟き。
ひとにぎりふたにぎり。
ふたにぎりと、
ちょっと。
誰かのもの ....
風ぬるく不意に響いた蝉の声耳に残るは夏の面影
レール沿い緑囁くさやさやと野分と呼ぶにはささやかな気して
午後3時いつもの場所で待ってます揺れるアカネが撫子にキス ....
確信のない夢描いて丸めては捨てる行為をまじないとした
あきらめたわけではなくてただ飽きてなにもなかったような口笛
いざという時に大事なことさえも伝えられない不甲斐ない人
この人になり ....
耳奥で焼き増しされたセミの音が我を迷宮入りにしている
デフレーション起こす八月森の血は居眠り空は高く冷えゆく
ヒグラシのサイレン、夜の上澄みに震えて詩集をよむ手も止 ....
燃える指くちびる含み恋をする
サルビアそれは紅い吐息に
ひそやかな風にするどき心こそ
コスモスふるう恋の歓び
咲き誇り頰よせたその黒百合に
....
夏の空 入道雲
あなたの名前 あなたの名前 あなたの名前
あおぞらを やきつくすほどの あおいろの
あふれるおもい きみがだいすき
舌先で氷溶かすたび輝いて
去りゆく八月群青 ....
ああ旅はわれと列車の脈拍をクレシェンドして空へみちびく
山走る車窓をよぎる飛魚のキラリ跳ねるような木漏れ日
つり革のとなりでうかぶたんぽぽの綿毛もうみをめざしているの?
....
つかめない{ルビ触=ふ}れられないし見ることもできないものが動き始めた
初恋の人の名前を呼ぶように遠い花火は音だけで咲く
宵かがり すくい上げられひと夏を共に過ごした金魚の記憶
パラソルを少し傾け向日葵と同じ角度で空を見上げる
涼しげな薄い便 ....
口紅の色ほどよくて春の雨土はつち色水はみず色
衰えて炎もいつか褪せゆくか
{ルビ終=つい}の火を燃せオルフェの夏よ
竪琴の{ルビ絃=いと}のふるえに夏は逝く
{ルビ全=また}き夜空に呼び声はるか
{ルビ初風 ....
義娘来て前夫の話しはずむ妻おれ、おるんよおれ、おるんよ
羽田にて別れ話となりぬれどようようおさめ富士の高嶺か
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