からっぼのグラスに注ぐ赤ワイン街の夜景が微かに浮かぶ
玄関の椅子に座りて黙すればまた空しさを思いみるなり
鳩の居る庭の紅葉に目を移しわれが空しき鳩なおむなし
雛にえさ与うる鳩の姿にも生きる力を見出さむとしては
夏至の日に
キャンドルナイト{ルビ流行=はやり}だし
ニヤリと笑う ロウソク屋の子
やりとげて やらとげてもなお 終わらずに 夏の夜空の 明るさしみて
鈴の森触れては消える降るうたは触れては消える触れては消える
夜に泣く左目を知る鏡の子まなざし手繰る火の指の先
忌みの日の化粧のように白き喉うねりざわめく小径を照 ....
愛しさを震える左の手に込めて
あなたに届け我が恋文よ
かきくらす
闇夜に祈りて願いしは
あなたと逢えるその日を疾くと
逢はむとぞ思ひて歩く
遥かなる道のり越えていざ ....
忘れ物思い出し歩を返し言う
独りごと人に聞かれし居しかも
凍る朝素足に草鞋の修行僧
声あげ行くに襟正したり
断絶と言わるる代に独り居の姑に
電話をすれば風邪ひき
家の建つ前 ....
紫陽花の大火のようにさきみだれ憂いの日々が来ること知らず
セブン、ローソン、ファミマと渡ってついに君は「ハンバーグが食べたい」小学生かよ
へたくそだった「業」たくさん書いたけど虫がたくさんいると思ってダメだ
卵の殻に閉じ込めて ....
喜びを悲哀に吸われ
その中で戸惑う心と変わらぬ顔
「おめでとう」
言葉が重くのしかかる
笑顔で返せぬ弱った我が身
無理をして笑顔を浮かべ悔しがる
風呂場で流す涙と疲れ
....
猫の毛並誉めて帰りの客の背に
急に舞いきし小雪がかかる
じみな服着る吾れに娘が口紅を
つけよと はたに寄りきてぞ言ふ
すっきりとせざる胸うち雪となる
気配の空に雲低くたる
....
名を借りて電子箱より語りける 紡いだ歌の数々あれば
ひと一人心身宿る想いなり 風に伝える声色滲む
蒼き詩 紡いだ先に色はなく 我が胸にこそ 蒼は色づく
{ルビ静寂=しじま}からもの憂き雨が貫けど
破れる夢もない熱帯夜
曼珠沙華かさなる闇に{ルビ咲乱=さくらん}す
狂おしいまま抱く情に似て
熱き夜に悶える ....
走りきて吾が手をとりて飛行機雲
指さす孫は 1才と半
{引用=
(孫=まだものが言えなかった頃)
}
梅雨入りて
雨はすぐさま
上がつては
お天道様が
にこにこ笑ふ
この夏は
猛き日照りと
なりぬらむ
萎たることの
無きようにせよ
世界史やジブラルタルで別れしもイスタンブールで逢ふが必定
朝寝して昼も寝通せ暗き部屋{ルビ梅雨入=つい}りの雨の音も絶へねば
単純に奇声を上げて喜こべる
子等に渇きし心ほぐるる
ねぎらいの言葉を明日はかけるべく
目覚時計の ねじを巻きつつ
奴凧吹かるるさまに幼子が
犬を追い行く 梅雨の晴れ間を
苔庭に ....
戦いで戦いの無い世の中を得ようとしても得られるはず無く
行き先は極楽浄土と信じきり桜のように散り逝く戦友
生きる意味捜し求めて死ぬ意味を押し付けられた彼等儚く
....
夜の川
仄かに光り
飛び交うは
源氏と名の付く
儚き命
螢火を
頼りに歩く
夜の道
昔の空を
心に浮かべ
月は照る
遥かな空から
地の果てへ
星は ....
朝起きて 太陽までも眠たげに今日の軌道を手探りしてる
君がもし薔薇の花なら棘までも抱きしめて枯れてみようか
都合良く使い古して捨てるとは携帯なんかと一緒にしないで
そのままがいいと言 ....
木の芽煮る 香を家中に満たしめて
仄な気息に浸る一時
柚の香のたつ厨辺に春の雪
硝子戸越しに舞い上がりゆく
咎むること胸にある日は釘までも
せんなきことに吾が服を裂く
雨の音聞 ....
あしひきの
やまにおるらむ
きのふのひと
けふのみやこ
あすかのみやこ
ひと知れず眠り深まる硝子傷なさけに託した夢の数だけ
鋭さは傷つかぬこと自らが裂いたものにも怯えること無く
いつくしみ囲いを厭わぬいばら織り潤んで消える虹のひとひら
....
昔より恋は繰り返すものだから {ルビ亦心=またこころ}が {ルビ亦心=またこころ}を
闇歌を綴る理由は歳じゃなく経験からの諦めた傷
偽りを誠に変えて誤魔化して逃 ....
台湾坊主荒れ狂ふニュース報ぜらる
吾家の前に鳩は遊ぶに
しきたりに鰯匂はせ豆まきて
平和を祈り節分祝ふ
待望の雨はほこりの匂いまで
室に運びて心和めり
みがきゆく茶碗の白さに ....
くさまくら
わがたびのほど
さきゆかむ
なみだしながる
いにしへのかは
疲れてるけど可愛い妻よわが鳩よ福井の海の一夏の日に
わが心じっと離れぬこの家に妻よいつまでもいつまでも
きみがため歌を書く机のうえに花の写真と僕のなみだと
風ノ葉
こころには
埋まることなきすき間あり
葉の揺る茶屋に
独り佇む
椀
{ルビ空=から}の{ルビ椀=わん}
ひかりのにじむ
底のまるみに
....
チャドクガもシュッとひと吹きぽとぽとと地面に落ちてあの世行きかな
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