長所はね 床上手だと言い続け
何度目になる 童貞の夏
花選び散散迷いて りんどうと
決めて俄かに秋をさみしむ
帰り来し子にぞ言はれて屋上に
上りて見れば満月清し
木犀の匂へる塀に沿ひ行きて
訪ぬる家を過ぎしも知らず
野生美の紫 ....
一人部屋
雨音の部屋
湿った部屋
花咲かぬ部屋
日の差さぬ部屋
長雨を
眺めるわたし
袖振る君
水が土に
流れる予定
軒下で
笑う坊主に
しかめっ面
わたしを牛耳 ....
したる雨あなたへの道あるけどもあなたの心つゆほどしらず
紅葉の木鳩去りゆきて淋しげに風にゆらるを座りて見る
山峡の湖水の絵を見て妻と共これを買いたる頃をおもほゆ
本棚の隅を占めいる「ユダヤ戦記」ヨセフスの著苦しみに満つ
受け付けの 色白美女に 会いたくて
毎日通う 脚のリハビリ
リハビリの
マシンの声が 「がんばって」
あげたいけれど あがらない足
リハビリ ....
冷房のつよきビルより出でてきて
鋪道の照りは肌にほどよし
寝袋を肩に出て行く子等のあと
逝く夏の風追いかけてゆく
留守宅の犬に餌やる三日目を
信頼しきる犬の目と合ふ
矢 ....
我家は神の住み給う家にして日夜御顔を仰ぎたてまつる
神のそばイエス居たまいあれこれと我の業おば導き給う
使徒パウロ我の右より声かけて我の意見に同意した給う
無言にて薔薇一枚を差出され
祈りの如きさまに受け取る
抱え持つ洗濯物の子のズボン
ポケットに鳴るは はだか銭らし
かきつばた あやめか しょうぶと論じつつ
床几に寄りて賑はふ ....
かたいのか
やわらかいのか
知りたくて
触れたくて触れたくて
オレンジの髪
夢だって
わかっていたなら
その髪に
触れてみたのに
ああ触れてみたのに
くちびるも ....
香水を付けて気合いを入れてみた 特に理由は無いのだけれど
香水を付けて気合いを入れてみた 別にあなたの為じゃないのよ
香水を付けて気合いを入れてみた お風呂に入って寝るだけなのに
前髪の白きに毛染吹きつけて
女身愛しと笑われもする
蓑虫を二つぶらさげ鉢植の
さつきは強き夕立を受く
草の実を体に着けし犬と吾れは
川辺歩めり秋風の中
雑踏の中のマキシ ....
雨の中
白いドレスに
身を包み
虹に嫁いだ
梅雨の姫君
●「撫で肩をパットで補正する君があたしの胸をとやかく云ふな 」
「なでかたをぱっとでほせいするきみがあたしのむねをとやかくいふな」
●君の肩を抱き寄せたくておもいっきり後頭部にウ ....
二両目の
弱冷房車で
うちわ振る
太った女を
南極送りに
扁桃腺腫らして臥せる吾が側に
苺食みつつ子等は饒舌
もの煮ゆる音も親しき独り居の
夜は気ままに猫の相手す
鄙びたる里を吹く風 豌豆の
からめる蔓をゆさぶりて過ぐ
くせのある ....
眠れない
夜をふみこえ
たどりつく
朝という空
風がそよいだ
雨だれに 頷く露草 いとをかし
君への言葉を 語るともなし
雨蛙 あちらこちらで 鳴く声は
紫陽花に咲く 花の夢々
黒すぐり ....
何もかもきれいだったと過去形になってることに気づきつつある
宇治橋
夕霧にかすみつ渡る面影に
露けき花の色が重なる―――
観月橋
しめやかに
欠け満たされぬ夕月の
心を以ってなぞる君の名
....
子等の留守 語る事なく夫と居て
硝子戸たたく雪を見てゐる
入試終え帰りきし子は降る雪の
中にレコード買ふと出で行く
ミニを着て鏡の前に立ちみれば
膝にかくせぬ年と知らさる
....
透き通るガラスの惑い指でなぞり
雨をみていた心おちいて
白い足走り去る朝つかのまの
雨をみていた虹を待つまま
紫陽花の肌の静けさこぼれゆく
雨をみてい ....
ねぼすけのあなたのために初夏の朝カフェイン渡す悪女になりて
巣立ちけり鳩の雛は巣立ちけり今朝妻が知りわれに知らする
路をゆく白き制服の少女一人なれも巣立てよ二十歳とならば
丁度いま午前8時の時報あり今日の一日純クリスチャンたれ
ニャニャニャニャニャ
にゃにゃにゃにゃニャーニャ にゃにゃにゃにゃにゃ
にゃにゃにゃにゃ ニャニャニャ にゃにゃにゃ ニャニャニャニャ
●赤旗が挙がりて暫し少女は踏切見詰む砂も払わず
あかはたがあがりてしばしをとめごはふみきりみつむすなもはらわず
●廃線となりて久しき踏切に草笛を吹く嬰女のあり
はいせんとなりて ....
蛍火の点滅そろふ魔の息はさうしてわれらの耳をかすめる
あれは蛍だつたのかしら言ひそびれ秘密となりしことの幾つか
{引用=一九九八年七月一七日}
晴天のあくる日雨の梅雨景色恋にもにて色美しき
あなたの腕で
眠る今日
明日も続けば
梅雨の日だって
幸せなのよ
晴れた空
熟れた唇
赤々と
染まりて人を
惹きつけやまぬ
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