十字架の倒れる音して霧深く宛てなく彷徨いきみをさがしつ
ただそれは悲しみのうたでも何でもなく空からこぼれし遠い蛍火
すこしでもさかむけがあればきみがきてこころをたしかめられるんだ
ちょっとしたかわいさがぼくのたねをまくはながさくまでわらってられる
ぬりつぶすてがみのなかのあてなにはぶらっくほーるよりふか ....
深海に潜るようにと梅雨が来る、それはさておき君は元気か
傘さえも寂しいですよ、と群れる夕、東京タワーがひとり濡れてる
遠くとも月のかたちがつなぐのに、その暗号を雨が閉ざすよ
不意打ち ....
燃えながら灰のなかから生まれる鳥
その目にうつる火祭りの夜
名前なき舟ならばただ漂うか
海に溺れて星があかるい
不確かさそれのみ満ちる雨のごと
うすい ....
希望の朝
水無月の朝の寝床に目覚めては起きるしばしを君のことども
末までも君と生き行く幸を胸に刻んで歌を書く朝
子があらば永久の未来に希望して明るく生きてあらゆかむかな
幸福になった前夜を思い出す その日はきっと不幸じゃなかった
柔らかな夜の狭間が示すのはひと時だけの幸せな夢
夏の夜の触れた身体の{ルビ一片=ひとひら}に震えた心はあの日のまま
従順なところはきっと本心で残りのウソは愛で出来てる
{引用=ハワイ、カウアイ島のハナレイ。
人里離れて暮らす、
アーティフィカルヒッピーら居るという。}
行ずるもアート活動も同じ事
山水画のにじみハナレイ日没す
....
今日の苦労
夕闇に光る蛍や二人して川のほとりに憩うや楽し
曇り空蒸し暑き日は過ぎゆきて今夜のドラマ勧善懲悪
明日の日は何があるやも知らずして主ののたまいし今日の労苦よ
一本の簪だけで留めていた貴方も髪も今切りました
夜が明けて腫らした目と飾り無い両手を見つめ生まれ変わる朝
やさしくてみんなあんまり買わんからラッキーストライクが好きという
口の中隅から隅まで知ってるよ だけどよく読む作家は知らない
情けない姿どれだけ見せたってすましていてよ僕の前では
....
ひらひらと光の粉と誘惑の扉が開く午後三時半
曇り空午後よりは雨しとと降る梅雨に入りアジサイを買いにけり
休日のしばしを妻とやすらいて図書館により朔太郎借りき
二人して求めきし雌雄なる青き熱帯魚の命憐れむ
世の中の涙が空に溜まったからそろそろ梅雨入りしていいかな
SLの汽笛の音が響く時昔の未来が見えた気がした
「あ、から始まる季節つくりたい!辞典の最初の方に載せるの!」「もうあるよそれ」
窓ガラス滴る雫数えては不実な愛を嘆き悲しむ
雨の中傘もささずに飛び出せば君に出会えるそんな気がした
レインボウ追いかけて行くよどこまでもいつか君にたどり着くまで
紫陽花の冷たい青は君 ....
鮮やかにアジサイの色満ち満ちて伝道に妻と訪ねし家
水無月の午後の風頬吹きて妻と訪ぬる坂本の街
日曜の会場に人あふれ聖書を語る若きクリスチャン
空は澄み
ふたりを別つ
霧が晴れ
言葉が消えて
あなたも消える
現実を避けているから私には恋の予感も感じ取れない
スコールの様に涙を降らせても割れた心は満たせないのに
夕立を導くような雷が胸に落ちれば愛に ....
水やりは長靴と傘出してきて大きな虹をくぐってあそぼ♪
梅雨空に架かったトンネル病室の窓から見上げる「…くぐってみたいな」
ほら、夏の風が吹いてる今日なので、ちょっとお先にしつれいします
半袖にしようかなんて君が言う、まだ夏遠い父の{ルビ永久日=とわび}に
あついね、が半音ずれるアクセント、夏が呼ぶから君の街 ....
内に棲む獣を宥め寝かしつけ好き勝手するビール片手に
洋服を脱ぐかの如く性格をすらりと変えて男を騙す
「どうしたの?赤土みたいな顔をして」元気だなんてとても言えない
もういいよ電話もメールもやめようぜ言った奴から「アド変ヨロシク!」
空箱にカマキリ飼っていたはずがいつの間にやら ....
じゃがいもときゅうりとにんじん ばあちゃんの「ポテトサララ」をゆっくり食べる
火星から来たのねきっと 突然に怒る男をぼーっと見てる
ドキドキと汗で疲れて起きた昼 破れんばかりの夢を ....
銀縁眼鏡
磨く前から
粉が飛ぶ
廃墟百年
あるじは見えず
たんぽぽを
ギュッってしたく
なったんだ
まるで君の
ようだったから
王子祭毎年秋に行われ黄色の声が一位を選ぶ
限りある命静かに終わらせてあの世に運ぶ眩い光
朝焼けが星と月とを溶かすから
君の左で 右手繋いで
ふとんから はみ出した腕の白さに
はっとする朝
夏が始まる
この夜が朝に染み出て消えぬよう
追いかける日付変更線 ....
228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268
【短歌】このカテゴリでは31音律「5.7.5.7.7」を基本とした短歌と、その音律を崩した自由律短歌作品を受け付けます。短い自由詩は自由詩カテゴリへ。短歌批評は散文のカテゴリへ
0.58sec.