故郷再訪
車窓より比叡の山に霧立ちて緑濃くなる朝十時
傍らの妻は平家の物語読みつつわれは景色をおいぬ
五歳より三十五まで住まいせし京はなつかし心はやりて
春景色浮き立つ志賀は通 ....
八重桜愛で
歩くスーツの肩寂し
早く帰って ビールのみたし
夕焼けを背負いペンギン故郷を想ってるのか腹が空いたか
マッチを擦るようにシュッとネクタイ外しひと夜の夢を見るあなた。
眠れない夜のからだを冷やすあなたのつめたいことばが欲しくて。
いたずらな指先でディナーの前の ....
夕暮れせまる
妻帰るを待ちて庭を掃くスイトピーにオレンジの蕾
夕暮の部屋に流るる讃美歌は淋しき心を明るくす
夕食の準備すっかり出来上がりあとは温め食卓にのす
影を踏み続ける悪役になり切れないきみのヒールなかかと。
書こうとすればするほど加工している気にもなるいつか実る木もあるのに。
このこころの鈍いいしをただ磨き ....
おれってこんなにおまえら女のことが解るんだぜ!という不愉快な不理解。
おちんちんの気持ちだってちんちん解らないよ勃起はしてるけど。
イエスだから濡れるノーだ ....
さしすせそ。
させしそすそさそ。
繰り返す囁き声の中で眠る
何もかもなかったかのよう春の雨桜をきれいに片付けてゆく
包まれて幸せそうな若緑。
人差し指ですくっ ....
別れてもあなたがくれたメッセージ記憶の中で影響力持つ
路地裏の官能的なポスターに僕ら重ねる恋愛旅行
陽の光まだ胎児には見えなくて母親の愛光となりぬ
雨の中口づけしても流される感触だけをその場に残し
打ち間違えたこころ読み返し間違えた指先をふかづめの刑。
閉じて仕舞ったこころの暗証番号ことばの端々に織り交ぜて。
心臓から遠く離れたこころで手をつなごう(ま ....
ぬぎすてる
春の衣の
きらきらり
ひかり散らすを
むねに刻んで
ああ あんなぜ太ももの方が爪よりながいのかしら
東京の晴れが泣いてる公園のブルーシートの青さに負けて
窓越しの隣の家のベランダのタオルのさくらのピンクのドット
蜘蛛の巣に桜はなびらひっかかる馳走だね蜘蛛よお酒が飲める
....
日曜の午後
卯月昼桜の下に居眠りて醒むれば片がはらはらと落つ
崇福寺その建つる跡訪えば青きもみじ葉陽に映えており
二人して山寺訪ねその路の浅き流れのそばに休めり
春の日の狭庭の ....
愛はただよい。ただよいにけり愛ならばただ酔ひにけりただの{ルビ媚薬=びやく}に
ふれるならあなたのまぶたしたさきでふいにふられるふあんのまえに
ふれるなら舌でふれやうそのは ....
鉄砲もこでまりもなくかなしけれれろれろなめるかをも鉄砲も
きりとおしはげめばつゆにくもゆきはゆきてかへらぬはつしものしも
六本木きんだんきゆるとちとちにとちの実とちの木ろっぽんはへ ....
昼間寂しい一人遊びにかまけ、疲れて眠る夕御飯抜き
君の名を間違える人も居るのだと初めて知る月曜の朝
永遠は在るかもしれないと少しだけ信じそうな火曜日の昼
週末の約束さえも複雑な迷路に落とした水曜の夜
明日が来て世界は ....
ベッドにてわが口吸ふは愛なるやたら{ルビ乳=ち}ねのはは父の子みごもり
冷凍庫に苺ひとつぶ凍りけり母はいまだにおみなごなれば
エルサレム・サンサルバドル・サルバドル母をたづねて巡礼 ....
くるくるとみぎへひだりへみをまかせあたしは踊るワルツのリズム
君の肩。
そっともたれて揺れている。
過ぎてく時間に任せるままに。
からからにほてった肌が気持 ....
答えなさいあなたあしたあたしと蛸になる覚悟はできているの?。
前身で受け容れてそしたら愛してあげるからだじゅうで触手で。
あしたは火星に連れてってそして ....
マゾな気分で鏡をいじめて自演もThe End...ひび割れた裂け眼。
ゆっくりと涙が出るまで裂けてゆくあなたの眼がうつくしいから。
右眼から入って左眼から出 ....
風わたる
アスファルトの上
揺れている
たった一輪
たんぽぽの花
キリストも起こせぬ奇跡起こしけり町のはずれの名もなき子なり
罪犯し獄の少年清らかに人のイメジの粗雑なるかな
ほほえみに生まれくるならむのちの世にふるきみ寺の小さき仏は
流れゆく雲の速度で思い出を遠く見送るような一日
掛算をするかの如く恋をして数字以上の二人になれる
満員電車の中ではなびら弄ぶあいつにバカボンヘツド。
お出かけですか?と訊かれる前にバカボンヘッド!レレレのRe:連発。
ブギウギしながらうきうき蹴散らし鏡の ....
対人関係としてはもう切れてるなのにどうしてこんなに気に、
金魚みたいにぱくぱくと口あけて空から降ってくるキス待ってる。
交差点で立ち止まりシマウマのふりして ....
春のドライブ
空は晴れ桜の季節今日われら幸せのドライブに出てゆく
まったくに車は走らぬ鯖街道心は躍る陽のあたる道
さしてもの用もなきなり休日を三方の鰻「源よ門」にて
タンポ ....
学園に内乱おきて紛糾すまず壊れ逝く文法学教室
ピアノは調律師にみはなされ音楽教室しずかに燃えゆく
古文書の{ルビ紙魚=しみ}ほど教え子は持ちにけりはるけき書庫の孤高の教授
....
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