ヨークシャーテリアのくしゃみ。夏の風。塩素の匂い。嬌声。虹彩。
深い緑。蝶のような。蝶のような。流水。涼風。深い影。
内臓。ガラス瓶。牡丹。薔薇。迷走。精錬。製造番号。
....
別れ際
君にてのひら にぎられて
キスかと おもえば
「じゃあ」と カラブリ
深海に響くサイレン 旋律のようなうねりはやがて波へと
呼吸ひとつ躊躇うほどの静寂に抱かれて眠る幼い嵐
海水に混ざれぬ雨が沈みゆく マリン・スノーの一粒として
なにもかも蒼 ....
通夜の晩、ぼくは覚えず
号泣した
かがり提灯
泡吹き麦酒
忘れてく?君の名前も星空も 綺麗なコトだけ知っているのに
そうやって淋しさばかり嫌うから笑顔も忘れそうになるのよ
切ないは口癖にしちゃいけないと思ってたんだやっぱ切ない
君いない夏 ....
手をつなぎ
歩く貴方の右頬に
チュウの衝動
おさえる夕暮れ
「人間て、恋する機械なのね」って指でアポロを割る君の声
親指と人差し指についている二色のチョコは既に乾いた
表面のぎざぎざが消え無秩序になってしまったアポロに「ごめんね」
四文 ....
ざっぱーんとコンクリの上に金魚鉢 ぜんぶぜんぶ流してしまえ
ぱくぱくと撥ねる蹴る飛ぶ何を待つ 君の意思ではどうにもならない
じりじりと焼けつくものは太陽と 見まがう誰か ....
青空ではさんで食べる人間味サンドイッチは夜空の口に
教科書の意味を持たない言葉らが飛び立とうとする深夜のふるえ
君のことだけで育てたまっしろな花は胸ごと焦がして枯れた
....
さいころで赤い数字を出し続け越後湯沢へファンタジアだよ
鉄道の速さでビール飲んでます 君と同じの胸焼けしたい
体表に雪をひとひら身につけて魚は出逢う 生臭くない
子供だった君は縄跳び ....
灯台で夜明けを待てばすこしずつ世界は回り海が生まれる
田園を静かに渡る鉄道のすべての窓に死者達の顔
寝室にまき散らされたビー玉の光のなかに夜が満ちてる
熱帯夜大家に黙りバスタブに ....
紫の灯りめがけて飛ぶ虫を 笑うあなたと笑えない吾と
そんな字がやさしさにだって欲しかった 高圧電流さわるな注意
君はいう 川面に映る街は幻 私はつぶやく 恋もいっしょだ
....
生きることロックなりしと いいしかば
おまえは 果たして ロックナリシカ 。
我が背子は まだ 嬰児 なるらしも
その目を とじて ひたすらに ねる
眠れないあなたの理由を全部ちょうだい
私は全部あなたにあげる
ブルー問ふ京の都の古家ぬけ落ち込むぼくに空指しながら
麗しき姿であれどきみに問ふ如何なる意図や人魚の胸像
高速の指の運びに混ぜられてゆく鍵盤ももはや灰色
「色たちが心中し ....
君はゆく夜行列車の汽笛鳴り鞄ひとつを両手で抱き
傷つけた僕の言い訳聞き流し香る林檎に話をそらす
さよならは言わぬ契りのふたりなら軽く会釈で旅立ちの秋
幼子のみる夢 今は見れずとも
微かに残る 母のぬくもり
花ことば常に前進ガーベラよ
夏の花だとおまえの笑う
すれ違う風の香りの優しさは
コンマ二秒心留まり
夕闇に街のネオン瞬いて
....
誕生日
砲弾の下 母の身で 生かされ三年
今日も花摘む
戦い ....
洗車用ホースで水の弧を描けば重なる虹の橋ふたつみっつ
あきらめの悪い蜩夏の背にしがみついてうわぁんと泣いて
初嵐小昼の庭を吹き抜けば夏痩せのポチ鼻先で追う
稲の穂 ....
口紅がはがれた後のりんご飴 確信犯のうつくしいきみ
こんなにも渇いていたと知らされる 始めのひとくち貪る夕べ
日に焼かれ濃縮された僕達を還元しては味見する海
やわらか ....
せみ時雨夏の心は風誘い
剥き出しの肩陽に揺らぎゆく
通い合う心模様を重ねれば
枕に添えるタオル直して
向日葵の風の音遥か陽に遊ぶ
日 ....
夕寝から覚めて仰ぐや宵の月
兎と見ゆる愛でていとしき
君と居た夏のあの日や砂粒と
はらり揺らいで零れて落 ....
夕立が無色透明装って世界の色を塗りかえていく
夏草で作りし花冠捧げればいろどり添える幼い香り
真夏にしか開かない扉見つけ出す触角のばせ跳ねる子供ら
縁側で午睡のさなか風鈴 ....
{引用=エレクトラ、たったひとつの恋なのに琥珀の瞳に総てを凍らせ}
{引用=041:迷}
「迷ったら、やめる」家訓の中ひとりメビウスの輪を愛する小娘
{引用=042:官僚}
....
月が月こぶ月の憑き月浸かれ点きし月の輪突刺す月の眼
酒と詩と歌う口からごあいさつ草の上にも眠れ夜の獏
探すのかさすらうのかはこの樹にもたどる葉脈花弁の夏日
....
いつだって取り分け用事はない手紙暑い夏ですお元気ですか
熱き息傍らに聞き盆送り今日の日の人毎日の君
にわか雨染み入る砂浜のごとくのどかに揺るる稲穂のごとく
便箋の印に沿い ....
夏の陽に ふと振り向いた我が恋は
あまりに異質で けれど愛しい
この恋に 気づいたときは 手遅れで
命かけても あきらめられない
なんとなく 落ち込む夜 ....
背後から透き通る肌突き刺せば抗う素振り切ないままに
開いては閉じるうなじに絡ませる甘い言葉は罪に震えて
道ならぬ道に染まれば後ろ手にかかる手錠は愛のしるしと
....
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