押入れの年月を乱しつつ
奥からあの頃がつまった
プラスチックな衣装ケースを取り出す。
サイドの留めを外し
外気に飛び出た空気を嗅ぐ。
服の折り重なりに手を入れて探り
小さくたたまれた私だっ ....
....
ただいま。
とは言わずに
疲れた。
と言って玄関を開けると
五年ぶりの父は
風呂にでも入れ、と言った。
ただいま。
とは言わずに
なんだお前か。
と言って五年ぶりの兄は
新聞を ....
夜中に突然空腹が訪れたからって
何もつけてない食パンをそのまま
もさもさ
温かいスープとか
ミルクの入った珈琲とか
作ってくれるお嫁さんが欲しい
よし、
この流れで
お嫁に ....
あじさいの大きな葉っぱの上
2匹のかたつむりは
雨の中、風に揺れていました
葉っぱから眺めるあじさいは
小さいかたつむり達にとって
巨きな巨きな花でした
かたつむりの目 ....
10日前に言いあった
苦手な上司と声をかけあい
皆で円滑に
お年寄の入浴介助が出来た日
各々は言葉のボールを
互いに投げあい
各々はそれぞれに必要な
お年寄に手を差しの ....
古本の千切れた表紙の裏側に
ぴったりセロハンテープを、貼った。
最近、昔の差し歯が浮いて
すました顔で、隙間に舌をあてていた。
渡る世間を歩いていれば
どうしても出会ってし ....
顔の右が緑で
顔の左が赤い
それからリズミックで
跳ねるように歌ってる
カリビヨンっていう
カリビヨン? 特に知りたくもないんだが
それから
そうしているうちに
歌はどんどん続いていく ....
「いただきます。」
そういいながら私は箸を突き立て
食卓にのぼった魚の目の中をじっと見る。
魚はもちろん死んでいて、魚の目には
私がはっきり映っている。
果たして私は
私の中 ....
空腹で目覚めたあなたはラッキー
一週間の脂質、蛋白質がたっぷり溶けた
洗濯機にあるだけパンチュ投げ込んで
南南東に進路を取れ
七時の揺れでグレタ・ガルボのフレームが
吸殻の上に倒されたけどお ....
売れ筋の人生論の本にある
「30代でやっておくべきこと」という言葉の裏には
「20代でやっておくべきこと」がある
「20代でやっておくべきこと」という言葉の裏には
「10代でやっておく ....
真ん中まで跡形もなく
染みこんで侵してしまった
唾液が汗が空想の体液が
見えなくなってしまうまで
ひどくキレイに
ひどくさっぱりと
怪我をしてしまいそうだ
真ん中まで跡形もな ....
水槽をぶん殴る女の子
届きもしない 白百合の揺籃
録音された声が漂う館内
あの子の死んだ声帯
―――わたしの髪は鉛のように重い
――どうかどうか泣かないでいて
―いまから眠る/共犯者で ....
夕暮れの公園で牛が一頭
シーソーに座っている
反対側にトンボがとまる
牛は少し腰を浮かせる
トンボは驚いて
飛び去って行った
しばらくして
男の人がやってくる
牛は腰を浮か ....
君のところに行く理由は
君が思っているほど
ロマンティックなもんじゃない
この際ロマンティックかどうかは関係ないんだよ!
なんてことは言わないよ
君が思っている以上に
僕はロマンテ ....
あれから、
彼女に、会っていないのは、
土曜日は、用事があるらしかったから、
落語に行って来なよ、と言われて、
ぼくは大手町の落語会へ行ってきた。
きのう、
電話をしたのに、
つながらず ....
唄うもの
唄われるもの
輪をなし
浮かんでいるだけの
此処
犬の夢
維管束の音
電子たちの
青い鬱
在れ
....
{引用=
さみしい 砂浜
月光に 横たえて
浮かび上がる
やわらかな肢体
(とてもキレイな
、ひと。)
呼吸が、
止まるほど
....
箍を外すとほうていがへいていしましたが霊気でぬれそぼりました
、箍を外すとらららん星団がシャチのあいだをながれていきまし
た、箍を外すとすでにありづかの収益構造ができあがっていま
した、箍を外す ....
アツクなりきれない太陽も
そろそろ落ち着いて
そんなわけだから戻っても
もういいんじゃないかな
どきどき ばんばん 暴れ出し
駈け出してきたんだろ
吐き出す息も敵にみえて
苦しかった ....
川の流れは清冽
岩に激突した飛沫の中
一服の涼を見るが
飛翔する山鳥
容姿は狡猾で
空腹を満たそうと
水中の魚群を窺う
山猫もまた、
山鳥を捕獲しようと
首擡(もた)げ見上げ ....
その
ながい煙突は
をんなのまるい腕のやうで
その
やはらかい踊場は
灰色の砂糖のやうだった
あたしは
去年の今ごろも
この路をひとりでとおっ ....
窓があいたままの部屋で
カーテンがゆらゆらゆれる
おいでといっているのか
ただ踊っているのか
ときおり風がやんで
動かなくなったりして
さみしくなりそうになって
また踊りだすカー ....
毎夜繰り返されるセルフジャッジ
判決はいつも有罪
「お前を風葬の刑に処す」
必死にあがいてきた炎
風ノ前ノ塵ニ同ジ
意味付けがしたいんだって
確固たる何かを ....
夢をみることが夢なのです
たとえそれが悪夢としても
夢を見たい・・・・・・
時計がはじめて夢をみた
乱らに針を動かして
狂ったわたしを刻み ....
何処かで聞いた話がまた転がり込む
人々が空に投げた夢は 誰かの夢でもある
誰も彼もが同じ夢を見る 少し違う色の 同じ夢
未来も過去も
繰り返し 練り返す
琢磨していく遺伝子が残す物語は ....
あなたをめがけて伸びたさらのづちは
結局一日も聴こえなかった
しょうがいしゃ しょうはいしゃ
氷のなかで息の着くこきゅう
なにがほしいの
つぶれて
私の心は 青いのみ
光を浴びながら踊りながら
瞼の中に沈め落とす
私の耳は 広いだけ
雨を塗りながら浴びながら
回って回っておどっる
金曜日の夜 明日を気にせず
ゆったりと酒をたしなめる
行灯の油をナメる猫のようにチビチビと
そうしているうちに
賑やかな御一行様が隣の円卓につく
偉そうにしてるのが多分 将軍だろう
....
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