病めるものと健全なものの間を漂う
苦しそうに咳き込む老婆の横で
帰りにデパートで買うお菓子について
考えている
家族に毎日見舞いに来てもらっているののと
長い闘病生活でできた友人に訪ねて ....
今年の夏は暑い
一つだけ
君に言っておきたい
この世で最も静かなものは
薬缶だと思う
きっと
鋭角にはねかえったであろう
熱を
うっかりと飲み込む
お腹に、沈んだ
あらゆる隙間から
姿を変え形を変え向かってくる
じかに目を合わせないように
うつむいたまぶたの
....
ことばの世界から遠ざかってしまったのは
見ようとしても見えなかったものが
見たくないのに見えてきてしまって
見えるものだけが正しいと思ってしまったからだった
気がついたときにはもう
粘着質な ....
シルバー
とてもながい時が過ぎた
とてもほんとうとは思えないくらいの
シルバー、
それでもまだそこにいてくれる?
シルバー
みんなが言う
あたしがすっかり変わったって
シルバー ....
暑い
湾が茹だって
タコが浮いている
タコ料理ばかりで
何もする気が起きない
みんな葬式も出さずに
タコを食べている
陽射しが肌を焦がしていく
軽い痛みと浮き上がる眩暈
焼け付いた肌に
沢山の汗が寄り添う
湧き上がる入道雲
蝉の声を打ち消す夕立
それでも明日には
また仲良く鳴くのだろう
自転車 ....
球体の斜面をすべり落ちると
そこには白い空があって
それはまるで宇宙の塵の如く
浮かんで落ちようとしない・・・
その中をパイプの煙の輪くぐりのごとく
くぐっていくとまた空 ....
以前に営業で地方をまわっていた。
お昼に立ち食いそばでズルズルとやっていた。
あとから若い娘が一人。
食券を買いあつあつのうどんを受け取って食べようとした瞬間
彼女の昼食を床の上に落としてしま ....
ナイフとフォークで
白い雲を少し切り刻むと
青い空がするりと落ちてきた
傍らに小奇麗な色で衣替えした
収穫の時間を置くと
秋の形が出来上がった
味覚を一つずつ競うように
....
いしきのないところが
はがれていた
まるでせかいに
あながあいたように
そのすきまを
たましいでうめていく
つぎはぎだらけのきものきて
うつくしくおどる
....
やっと連休か
これで二人で
海に行けると思ったのに
『たまの休みだから』と
あなたは
実家に帰っていった
日曜日のこと
わたしは今日、
豊浜まで釣りに行った
....
秋の予感がする夜に
金色の蛾は
星をなぞってとぶ
さみしげにゆれる
夏草の穂に沿って
古い時間がとむらわれる
月に咲く花
ただ一輪の歌
真空を呼吸して
たましいたちを導く
....
雨が降らなければ
いつまでも踊っていられるのに
御飯は食べられなくなるかもしれないけど
時間の感覚は
生来持ち合わせていません
明日のことも
昨日のことも
よく分かりま ....
いちばんつらい、いちばんいたい
きみがいたのは、そういう場所
わたしたちにできるのは
もはや最期のひとつだけ
そしてきみは、だいすきなご主人に抱かれて、永遠の眠りについた
お ....
囁いた
耳元で
きみの
将来の
役職を
囁いた
耳元で
昨日の
言葉の
お礼を
そうして
二人で
見つめあって
どちらからともなく
笑った
いろとりどりの星をみる
どんな人もこの空の下にいるだろう
みてるだろう
そのぜんぶをゆるせるような
気持ちになる夜のとき
できるだけ優しい心で接したい
また同じ誓いと知りながら
....
ティッシュペーパーに百円ショップのサインペンで絵を書いていたよね。いちばん毒々しい色合いになるからって。僕は意味がわからなかったけど、なんとなくかなしい感じにえがかれるティッシュペーパー嫌いじゃな ....
扇風機がこわいという。
そのうち夜な夜な
耳元でしつこく「回りながら旋回」したあげく、
冷蔵庫を開けて、
冷えた発泡酒と枝豆で晩酌するという。
しかも冷蔵庫は、
扇風機に少し気があ ....
焼け跡の町に響き渡る槌音
鋼鉄の爆ぜる音 クレーンが上下する音
再開なった船渠に 巨大な 鉄の フネが
進水を待っている
小学校の青空教室をこっそり抜け出して
造船所の裏山へ毎日通 ....
ふりそそぐ ふりそそぐ
あなたはわたしを呼ぶ
ふりそそぐ ふりそそぐ
あなたがわたしを呼ぶ
そのとぎれまに
雨は 夜ふけに おとずれた
ねむりをもとめるわたしの耳に
雨は そっとふれ ....
水の吐息
水のしらべ
ながれにそって
そっとさみしさを
うちあける
きらめいて さざめいて
どこまでも すきとおるほどに
きよらかに ながれゆけ
水のうたごえ
水のはなうた
どこへ ....
しごく現実的な鮮やかさをもった人に憧れる
思考はとても経済的で機知にも富み
セルフイメージにズレや動揺が少ないので
他人への思いやりにさえ満ちている
あの人はとても相対的な思考をする
....
こんな部屋の空気でも
胸いっぱい吸いこんだら
涙をとめるくらいにはなったようで
あんなに泣きたかったのに
涙の な の字も出やしない
我慢しなければならないことが
次から次へとあふ ....
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に ....
OPAのアパレル勤務のジ ....
知らない内に致命傷
知らないのに致命傷
触れるな
危険
しかし治らん
悲しいかな
考えてしまう
風の音の向 ....
…久しぶりに家に帰ってくると
みっちゃんは私のことを忘れたかのようにぷいっと無視した
そして私がいない間エサ係を担当していたお母さんの後をついていく
もちろん水槽の中で、だけど
おい
....
確証が欲しい。
手放しの安心感が欲しい。
永遠の愛が欲しい。
もう疲れた
いつも味方をして欲しい。
逆らわないで欲しい。
仕事のみに生きたい。
男の勝手だけど
家事は半分やるか ....
踏切をくぐり
自転車を走らせる。
電車はすぐそこ
多くの人の愛情を受け
育ち、あきれられ
嫌われる。
ボチボチがいい
パーッと華々しくすると
後が苦しくなる。
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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