少女の告白した罪を
ゆるしてあげたかったわたしも、
少女であった
のどけき春
光のさなか
惑いにとらわれた指のかわりに
野花をそっとよけ
スカートのひだが重なりあう
....
首筋から這わせた指先が
胸の先にかすかに触れる
少し切なそうな顔をしてあなたは
そっと目を閉じた
夕暮れ
カーテンを引いた部屋に
隙間から少しだけ
黄色い光が差し込む
言葉で伝 ....
防波堤に打ち付ける、波
全てをさらっていく
泡沫が少し、澱みに残るだけ
日がやけに低い昼下がり
人の姿もなく
旅の友は、おねだり上手なカモメ
行先不明の私は
いつだって
迷っている ....
真夜中を疾走する無軌道は自意識は所詮、夜明けとともに失われる時代遅れのノスフェラトゥだ、陽のあるうち連中はどこに潜んでるのかまるでわからない、お互いの顔すら見分けがつかないほど暗くなるまでは怖くて ....
私は今日、父になった。
娘が産まれた時
妻は命を懸けて母になり
命を懸けていない私は
父を、演じ始めた。
....
降り注ぐ
陽の光は黄金、
人 歩む
今日という時空のなか
未知、迎え入れ
好きな人たちと、楽しく暮らしたい。
願っているのはそれだけなのに、私は今日も優しくなれない。
四月の花は、こんなに素直に咲くのにね。
誰かの感情に染まるのは簡単だから、
好きなものは自分で決め ....
灯台の下のテトラポッドはいつまでも輝いている
防波堤に波がぶつかって砕ける音は
真っ暗な地平線へと吸い込まれていくようだ
パチパチと光る緑色の灯は
きっと私に何も伝えない
落書きと錆にま ....
洗濯機の中で汚れた衣類が回る。
夜に洗って朝に干して。そんな生活繰り返して繰り返して。
何だか寂しくなって、その寂しさに苛立って。
人に産まれて女に育ち
人に産まれて男になった。
洗 ....
となりの家はリボン細工
ピアノの音が聞こえます
お嬢様の手毬唄に
私は恋をしました、と。
彼女の髪は
いたずら好き
ピンとまつ毛を跳ね上げて
ピアノの音が
聞こえます
....
桜散りゆく偶数の月に
解き放たれし夏の日へ進む
理由があるとすればあまりにも
陽射しが見事に肌を光らせた
両腕をくすぐる生ぬるい風
袖を切ったのはいつだったっけ
みんなの意識は ....
理由は瞳でも言葉でもなく
甘い棘でいたぶって
囁きながら堕ちていかせて
憧れていたの
散らしたのは何度目の夜
秘密はいつもドロドロしてる
苦い香りに慣れた頃
横顔をなぞる煙がいび ....
真珠はだれに殺された
孫娘に殺された。
(はないちもんめ あの子が欲しい)
孫娘は泣いている
おうちに帰りたいと
泣いている
真珠の背中のぬくもりが
帰るおうちよ
ほたほた落 ....
やあ
十五年前の君
予想できるかい?
ひとつだけ、教えてあげよう
{ルビ面白=おもしろ}苦しい、面苦しい、日々の果てに
君は手にいれる
ひとつの温かい宝を
自由だとか、幸いだとか ....
僕の部屋には季節が無い
うずくまって見詰める本棚には
うっすら埃が積もっている
TVのコンセントは抜いたままだ
頭痛が少し
腹痛も少し
瞼が厚ぼったく重たい
もう長いことゆっくり眠れ ....
花瓶の近くに置かれた姉の唇が燃えてゐる。
うす紫色の炎が小さく上がつてゐて、読んでゐる文庫本に今にも火が移りさうだ。
目を細めて見ると、表紙に「菜穂子」と書かれてゐた。
....
静まり返った夜に人々は固唾を呑む
意表を突く歌詞を並べたて
繊細で微妙なメロディーラインで攻める
艶っぽい声にガードされた瞳
おまえは吟遊詩人
魔力のような鳴き声に引き込まれ
....
茅葺き屋根に鳥が舞っております
舞い降りてくるのは雲雀でしょうか
春を尾に引く雲雀でしょうか
茅葺き屋根に陽が舞っております
待っているならススメと云います
陽は待たずススメば夜が来ます ....
表通りの あわただしい正午に
ようやく腰をおろすと
さっきまで 見知らぬ背中が座っていたはずの
この 革張りのカウンターチェアが
ぽっかり冷たい
ーー記憶を失くした 若いピアニストのよう ....
夜になると
いちにち恋をひとつ
棄てようと思って
田んぼの畦道で夜風に
洗われています
やることがほかにないから
しかたがないのです
ここ ....
ここは私の国ではないから
わたしの言葉は通じません
何を言われているのか言っているのか
水の中で互いにぶくぶくしながら
ただただ息苦しくてしがみついてたから
爪は剥がれ肉も削げて皮膚のし ....
製作者の
イメージの崩壊
階段状の
完成経路
段階の崩壊
新たなる水面より湧き上がる
放射状の輪
輪の中の目
生存的まばたき
命の背後に控える
状況観察
再度逆転する構成
構図 ....
冷たい風が吹いています
四月の初めというものはそういうものなのです
暖かいばかりが春ではありません
人の意識がどう認識しようと
見知らぬものはふしぎなものです
見慣れたも ....
保育士とは
世を忍ぶ仮の姿で
実はゴルゴ13クラスの
殺し屋だったんじゃねえか?
それか、ジェイソン・ボーンみたいな
CIAの工作員とかさ
だって手口がさ
どう考えても
素人じゃねえだ ....
都会に出た日は格好付けながら
踵を踏まれず歩きたかったし
一発で止まるタクシーが好きだ
車の窓に映る夜景は多分
いつか燃えなかった
花火のように明るい顔で
さよならを言うよ
飛び ....
庭で
風は金色
溶ける時閒
菩提樹だけが見ている
良い四面體の枝だ
少年は「ごっこ」が樂しい
蓋し「縒れ」 獨り遊ぶ
紐で輪をつくり 裸になった氣分だ ....
朝5時30分
げっ歯類の歯磨きが始まる
シャカシャカ シャカシャカ
繰り返すリズムが小気味好い
ユーモアのセンスが
彼等にあるとは思えないけど
生きる為のシンプルな行動が
それだけで ....
潜在的勢力
世界は
射程距離内に
息を潜める
破壊される
隣人の平和
予期せぬ以上に
自らの居場所が
詰まりつつある
革命は
異国民兵士の手の中に
委ねられる
思想は
鋼 ....
自称詩人は
死ぬまで自称詩人でいて欲しい
クソの役にも立たない内向きの感情が
自称詩人を止めることで
外向きに変わった場合
下手をすると
屋上からベランダに降りて
ガラス窓を焼き切って
....
元号が変わろうが
何が変わろうが
自称詩人は
自称詩人のままで
いつまでも
クソつまらない自称詩を
書き連ねていく
屍は屍以外には変われない
万が一生まれ変わったとしても
やはり ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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