私はもうすぐ失恋します。
多分。
期待すれば傷つくので、
こういう心構えをするしかないのです。
あぁ、あぁ、10年ぶりに
あぁ、あぁ、恋をして、
冷静でいられますか?
いていいんですか? ....
菜箸のまま食べる晩ご飯。
君は急な残業が入ったそうです。
まっ黒くて
長い長い肢が きょうも
地面から 抜ける
親不知の速さで
(季節 だ)(季節 だっ た ) (った)(ったーーーーーーーんn
湿り気を編み込んだ ....
たくさん泣いた
たえられなくて
夜まで泣いた
他人みたいになって
たくさん泣いた次の日も
朝から風が吹いていた
酔いを残した胸の中
むやみに風が吹いていた
帰らぬものの足元に
....
ぬるい雨粒が
わたしの存在なんか、
なかったことのように
重たい空から落ちてくる。
反射した空想世界を生み出す
水たまりを作っているね。
そこにわたしの姿は見えるの。
君の姿も見 ....
夏の角が丸くなっていくのは夕刻です
角砂糖はアルコォルに融けながら
炎に包まれ送り火が星に燃え移ってゆくなかを茄子の牛がゆたりゆたり歩んでいきます
祖父だけは胡瓜の馬に乗り、秋や秋や、と ....
高く積まれたルーン文字
欠けたレンガに祈りの言葉
もういるはずのない気配
神の秘密を謳う月
まるで妖精のお葬式
占星術はもうしないと
オリーブの妖精が言う
未来を追い越して
振 ....
パリの妖精
第12話「ルーブル美術館の妖精」つづき
毎日エントランスで待つ
あの人が来ないかと
マドモアゼルに手をひかれ
ブロンドの巻き毛の子が
キョロキョロして入って来る
....
渡っておいでと
蜘蛛が思いを架ける
妖精がつま先で歩き
綱渡りの花が灯る
ススキの穂は
静かに月に燃えて
青白く蜘蛛の糸のよう
明日の十六夜に
言い出せない思いを
堅く結んで ....
無限に訪れる
心配事の種は
球根と違って
どんな場所にも入り込んで
ある日姿をあらわす
ある日
散歩の途中で
出会った庭には
テッポウユリが咲いていた
その数は
非現実 ....
アウトレットモールで
あの男は、黄色いレースのスカートを
私に買ってくれるのではなく、
買わそうとした。
なぜ、あいつ好みのスカートを
私がマイマネーで買わねばならぬのだ。
初めてのキスが ....
擦り切れた中指の軋む音を聞きながら吐いた唾に溺れ込む夜だ、晩夏の中に在りながら俺の胸中は氷点下に居るように震えていた、それは根本的な魂の渇望のノイズだ、ふたつの分厚い鉄板が擦れるみたいな鈍い音がず ....
同じ画面に収まった二人は
時間をたくさん間違えているし
空間をたくさん間違えている
数限りない間違いの果てに
取り返しのつかない勘違いの果てに
この小さな画面の中
笑顔の二人がいる
海の底に住む魚は夢の中で
二本脚でアスファルト路を歩き
腕で電車の吊革に掴まり
耳で降りしきる雨の音を聞き
口で愛の言葉を語る
短い睡眠時間の中で
魚は霊の長となり
歩き 掴み 言葉 ....
去っていく夏が感じられた今日、
斜光が大地を均一に照らし出し
涼しい微風が絶えず吹いて
僕は独り
夏の後ろ姿と入れ替えに
やって来る秋の姿を受け止めた
何もかもが遠く浮き立ち鮮やかにな ....
天国へ回覧板を回しに行った人たち。
もちろん手ぶらで、もちろん色褪せたサンダルで。
人間の3つの美徳を挙げるならば
柔和 誠実 ほほえみ
人間に3つの悪徳があるとしたら
傲慢 打算 ぼくみたいな飲兵衛
偶数が好き
奇数は不安定だから
きみもぼくも奇数月 ....
濃密だった夏が
あっけなく身体からほどけてゆく
世界から色を消してゆくような
雨が降る
雨が降る
あの光きらめく汀を歩く
私の幻は幻のまま
それでも
夏はこの上なく夏であったと ....
250ccのオートバイで
APS-Cのデジタルカメラを持って
僕はバックパッカーの旅をする
いやいや、せっかくの人生
1000cc越えのオートバイと
35mmのデジタルカメラで
フルサ ....
どうしても
無欲には
なれない
なれる訳がない
それどころか
この心も体も欲望が満載で
特に体は
時には自制がきかない
選ばれた一握りの人間にはなれなかった
俺は
満載 ....
視力を失いつつある。
「恋は盲目」シェイクスピア
視力を失った。
誰だか分からないあなたの頬を撫でると
「愛してる」と言っている。
「どうしても愛してる」
ニキビを ....
色んなひとと出会ってきた
少なくはない恋もしてきた
でもこの埋められない空白は何だろう
寝苦しいひとりの夜
寒さで目覚める未明
僕はその隙間の正体を知る
淋しさが僕を飼い慣らそうと ....
夏、おめでとう
快感のために全てを捨てられる?
煙草の煙の行方を追うように、
夕食後私は死出の旅に出る。
言葉が融けていく領域、
全ては無い方がいいのです、
全ては、最初から無いのだか ....
蕩けてしまった君の体温を
両手でかき集めようと、
必死にもがいたって、こぼれ落ちる。
そんなものを僕はもう、
忘れてしまったのかもしれないね。
記憶なんて、きっとそんなもの。
....
好きでこの世界に産まれて落ちた
訳じゃない
俺を産んだ母親も
選んで産んだ訳じゃないんだからよ
いくらこの世界の居心地わるくて窮屈でもさ
今さら母ちゃんの腹には戻れないさ
本人とっ ....
今日の月は電気みたいにピカピカ
お月様ははね 宇宙なんだ
君が言うから見上げてみる
眩しいなあ
今日の月
光が丸におさまりきれないよ
そうかぁ
ピンホールカメラなんだ
....
イオンタウンはいつでも涼しい
冷えた野菜の匂い
乾いた人混みの匂い
駐車場には警備員さんが
汗流し車両整理に精を出している
まるで神さまみたい
むかし、ふたりで
買い物してた ....
水平線のような雨に沈むステージに ヘッドライナーは来ない
透明なレインコートのフードを叩く光のかたさが
右の頬を歩き
左の耳から
プラグを抜いた足音がいくつも遠のいていく
引き潮のよ ....
気持ちがサインインしない
俺が俺であるための
ダンス
心が躍ってれば
たぶん大丈夫
そんなことを言い聞かせ
毎日どうにかやっている
ダンス
俺が俺であるための
踊りを踊って過ごせ ....
月をひとつ
ススキの穂先にのせる
コオロギが月に降りる
月旅行の順番待ちの列が
草原に並んでいる
820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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