簡単なことだったのに
忘れていたね
君を待ちわびた世界は
まるでマンハッタンから
月を投げた薄い明かりだ
遠くても分かっているし
近くなら歩いて行けるし
どんな小道具も役に立たない
君 ....
夫が食器を洗ってくれている音がする
それを背中で聴いているのが好きだ
時々、夫は「よーしゃ」「うぉーし(ゅ)」と言う
それは私の心を思いきり健やかに笑わせてくれる
さくら「んぼっ!」
しくら「め~ん」
すくら「んぶるえーっぐ!」
せくら「……」
そくら「テス、テステス。マイクテスト、ワンツー」
せくら(いったいどうしたら…)
せくら(なんとかして ....
光にむしばまれ
腕を失った
女神のへそを
愛撫している
孔をのぞけば
青い
青い
そらが気だるい
気だるさは
笑いをこらえる
しりから
尻をひっぱたく
尾骨がある
あ ....
今朝も歩いて
一キロ先の氏神さんを
ひとりでお参りする
石段を上り
小さなお堂の前で
鈴を緒でガラガラ鳴らし
気持ちをチャリンと投げて
手をぴったり合わせて
住所と名前を言い
あ ....
短冊状の虹の中で
7人の独りぼっち達が泣いている。
調和の為に
触れ合う事が出来ないって
白い光の中で
沢山の色達が泣いている。
自分の居場所を
見出すことが出来ないって
孤独 ....
盗人のような夕日が、薄曇りの空に紛れてゆっくりと沈んだので、俺はまるで破産した大金持ちのような気分で遮光カーテンを閉じた、喰い過ぎた晩飯がウェイトになって胃袋に伸し掛かる、だからイヤホンを突っ込ん ....
ゆるやかに
五月の日もとけさって
みひらいて
あとずさりか
いつかの希望
いくらかのプログラム
明日も言っている
いいかげんに
殺せと
街はすぐに変わってしまうから
僕が代わりに留守番をしよう
黄昏の遠隔地に遊園地
もう回らないメリーゴーランド
捨てられたように待っている
明日はどうなっても楽しいはず
たてがみがてがみを残 ....
開いた口が塞がらない
鳶に油揚さらわれて
いちまい足りない
よつやかいだん
裏のめしやは
まぼろしの
あけない
ころな
お冠
ワ
とか
絆とか
おひとり
サマーには
....
根拠の雉鳩色は空の濁りである。蓋し、悲しみはわたしの本日なのだ。
屋台が引き寄せる天命の片隅で、ホットドッグは寂寞の内的公園であると同時に、云うまでもないが、珈琲のアナロジーは肉片を ....
誰かを愛するために牛乳を買った
あなたを愛するために卵を買った
砂糖が一匙分も無かった
もう買い足す元気が無かった
ソファに寝そべって映画を観ていた
開始10分で涙が出てきた
牛乳をマ ....
雨の吐息に八重咲きの桜しばたいて
落ちたしずくを掻き抱き夢見心地で逝く蟻の
複眼の曼陀羅
太陽を入れた万華鏡
黒曜石は夜に溶けながら半球を渡る
うす闇からうす紅
八重に ....
先生の使い残した白いチョークをこっそり持って帰ったりした。
僕ね、先生のことが大好きで、僕ね、先生の遺骨が欲しくって。
妻は昨日より少し細長くなって
収まる場所がまだ見つからない
その隣では去年より手足の短くなった娘が
似合わないチェックの服ではしゃいでいる
息子はといえば三日前からトランクに入った ....
菜の花を食べて
咳きこんだ
あの日の熱は
そのあたりに置いてある
曇り硝子
ロー・テーブル
けれども 一体どこなのだろう
ぼくはきみを見たことがある
....
新型コロナウイルスで
全世界が死を身近に感じて
感染拡大を防ごうとしていても
毎日、自殺する人はいる
誰もが互いの死を恐れて
加害者にならないようにしている
しかし互いの自殺を恐れて
....
新型コロナウイルス対応で
学校が休校になった時
不登校の息子が
ボクは今日から不登校でなくなる
とポツリと言った
新型コロナウイルス対応で
休校が延長された時
不登校の息子が
行き ....
過ぎて去った日々を
ふと立ち止まり振り返る事は誰にでも起こる
そこに見えた四つの苦しみ
そこにあった八つの苦しみ
愛情もあれば
憎しみも存在した
快楽も有れば
激しい痛みもあ ....
自己評価と他者評価の{ルビ乖離=かいり}
己の評価がことさら高く
他者からは評価されてない場合
彼は不断に鼻っ柱を強くし
不機嫌な具合で何とも残念な
これが未成年だっ
こういう場合 ....
果てしない空にいる
姿なきしゃにむに
あるときは
つまづいて転がっていく石ころ
あるときは
風が止まったやにわに交わすキス
ときどき現れては
影だけを残して
もとからいなか ....
あるのかないのかわからないかみさまの
偶像に思いを馳せるよりも
台風の後のオレンジ色にひかる
空と雲の中に よっぽどかみさまをかんじる
奇跡なんて信じていれば
起きるわけではなくて
傾 ....
「自分を否定している自分」を肯定している
友達はもういない
ときどき、夢の中で会うだけ
目が覚めると
どこか知らない星で知らない自分を
生きているつもりになる
入院した ....
たんとんたんとん
連弾し
主を濡らし
雨の降る
空は灰白、
遠い目で
見つめている
眼差しが
銀の雨足、
瞼に乗せ
すっと透過し
宙を舞う
後に響く
雨音が
たんと ....
例えば
NHKのくしゃみ飛沫映像で
わざわざ鼻に
こより突っ込んで
唾とヨダレを無理矢理飛ばして
ヨダレがダラーっとなってる奴
私は彼を
ミスターヨダレ若しくは
ヨダレ野郎と呼んでいる ....
鈴は沈む 大気の蜜へ
黙したものの{ルビ自重=じじゅう}により
若葉に光の飛沫
木漏れ日の揺り籠に落下する蜂
五月の河畔を夢がさまよう
ポケットの中に全てを失くしている ....
雨が降ると
君を思い出す
何気ない日常の
輝いていたものたちを
懐かしく思うような
そんな感情で
雨が降ると
君を思い出すんだ
散った薔薇の花びらが
誰かに踏まれた
美しい姿は ....
爆発した車輪を
くつわむしに食べさせる
ポケットには小さな輪ゴムがあるので
わたくしはそれを頂く
合掌と共に山茶花の歌
ちくびが取れた時のまなざし
斜陽と夕暮れの木漏れ日
今あな ....
僕は空気を見つめ
無ってものはこういうことだと思った
あぁ僕は分かってしまったよ
僕は無を見つめる
それも昔のようにそこに無という何か有形があるとも思わない
それこそ空気のように
見えやし ....
もっともっと早くにあんたと出会えていれば良かったのに
そうすればあたしはあんたの最初の女になれたかもしれないんだ
そうすればあんたはあたしの最初の男だったかもしれないんだ
最初って大切だもの ....
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