少年Aについて
その良心は浮世を漂うが/そのものではない
/野花には未熟も裏はないけど
/渡り鳥に行方を撒かせる
/ミチに茂らせているやさぐれや
/彼方の山 ....
夥しい情報のなかで
恋人の鱗を逆撫でる
もうなにも伝えることはない
もうなにも受け取らない
深く 痛く 刻んだのに
夜の度忘れて泳ぎ出す
夜闇に沈もうとする
この白壁の小部屋に
忍び込む肢体 柔らか
球形の乳房、貫く直線
撓り揺れる音響の激化
わたしは知らない、
窓辺に匂い立つ深紅の薔薇
夜闇に浸されゆく
この白 ....
わたしは曇ったガラス窓
指先で書く文字の向こう
許容できない現実が冬の仮面をつける
ひとつの痛点が真空を真中から押し潰す
円く膨らむ響きの肢体 震えの侵食を
包む衣としてまなざしは海
....
いつも言葉は先に途切れる
それは相応しい形をまだ見つけられないからではない
まるで全てを知らなかった時代に戻る
私たちは思い出す
始まりはいつも懐かしいものだと
私は確信する
いつ ....
カップ麺に熱湯注いで待つあなたの
お耳を拝借できますのなら
こそっと お話してみたい
京都駅から地下鉄に乗り四条駅で降りて
阪急電車に乗り換えます
地下鉄の改札を出た駅構内に ....
白いコートに
光が入り込む
旅人みたいに
春を感じながら
このくらい
薄い生地なら
心も透けるのか
隠し切れない想いを
ポケットから
取り出して
南風に
触れてし ....
地方では
運転免許証がなくては
高齢者が生きていけないと言うが
運転免許証がなくて
高齢者が死んだという報道はない
だけど
運転免許証を持った高齢者が
事故を起こしてしまい
もう生 ....
真っ直ぐ進む
時間の陥没、
力動 垂直に
裂け目入れ
一瞬のマバタキ、永遠の開示
すべて、掴み取られ
時間は瞬間の延長
響き放つ形象の乱舞
広々と、ひろがりのびゆき
....
やーい、おまえの父ちゃん
自称詩人なんだってな!
えーっ、まさかウソだろ!
自称詩人って、あの自称詩人か?
そうだよ、こいつの父ちゃん自称詩人なんだよ!
イヤだーっ、だから何だか臭いのねー
....
昔ステージで歌ったことのある歌に出て来る女の子の名前が何だったのか思い出せなくて海に溺れて助けを呼んでいる夢を想像して好きだった人の顔を忘れようとしている悲しいでしょそんな歌なのよ悲しいでしょ悲しいで ....
花を生けずに
花瓶に水をはる
絵を入れずに
額ぶちを吊る
そうして
北向きの六畳間の窓を開け
風だけを 入れる
雪光る 比良の山稜と
湖の流波に
....
あけた白から 空を還せ
赤と分けて
てのひらが 帆船
とじたりひらいたり
的のよに
切りとれ
穴に落とせ 嫌がらせるな
星は
連射しろ 隙間なく
カメラを不許 ....
谷を降ると 邑があり
邑の奥には 娘がおり
鳥に囲まれ 竿を矯めていた
旗を嘗めるのは 炎
少年を 馬に 飼わせていた
閉じこめられたんじゃない
自分から 入った ....
足が言うことを聞かない
聖地に赴くはずが
とある浜辺に着いてしまった
あの日
地面は大きく揺れて
その日
夜空は異様に瞬いていた
おそらく
人がたくさん流されたからだ
そ ....
○「地方荒廃」
地方破れて山河あり
住民年老いて鳥獣生き盛ん
米価は下がる一方
石油、肥料農薬代等は上がる一方
高齢者の迫田まで借りてくれて米を作っている農夫は
嘆く
「あと五年した ....
夏が終わりそうな頃
あなたと行った
海の側にあるリゾートホテル
今は寒い冬真っ只中だけど
思い出せば少しだけ暖かさ感じる
何故今
思い出したのだろう
自分でもわからない
楽 ....
ぱらぱらと
はらはらと
剥げ落ちていく
すべての意味が
あさひ、あさひ
まぶしく あびて
その熱、
ひたひた
感じながら
剥き身の私 今、此処に生きて
波を見ていた
波だと思った
黒い人影
波でしかない
その人は
波になろうとしていた
波になりたかったのか
ずっとそうだったのか
わからないけど
その人は消えた
波になった
だから ....
いつだって手元が狂うと
落としてしまう
君の人生だったり
ぼくの・・
きれいに晴れた日も
水の足りない葉っぱには
残酷だ
ぼくの中にはない
誰かへの愛情も
身体の中には
....
黙って眠っていたかったのに
喋らされた
火焔をつめた この水殻に
うまく着火してよ 音をひく
かくん うなづいて
眠りながら
なにか もの欲しそうだったから
感情に群がる ほそ長い舌 ....
雪の日の朝
母屋の裏手のちょうど陰になった辺り
誰が訪れたのか
その道筋で
その深さで
大きさで
振れ幅で
その心に去来したものを
知る
驚きを、知る
ひもじさを、知る
戸惑 ....
○「この道」
この道は
母におぶわれて
通った道
この道は
友と遊びながら
登下校した道
この道は
遠くの大学へ入学する日に
祖父母が杖ついて見送ってくれた道
この道は ....
歯ブラシを
買い換えるタイミングで
別の人を
愛し始めると
冬タイヤを
履き替えるタイミングで
綱渡りの
綱が
揺れる
おはようとも
こんにちはとも
違う時間に
コップ一杯 ....
奇妙な輪郭が重なる、
年老いた額の皺
若々しい筋肉の隆起
青年と老人のアンドロギュノス、
世界を観察し叫びを上げる
世界を観察し歌をうたう声
銀色のアルペジオ
打ち下ろ ....
晩の嵐の止んだ朝
どっぷり濡れた
舗装道路を進み行く
街路樹の折れた枝が煉瓦の上に
太さのちがう枝を見る
散り落ちた若葉が煉瓦の上に
柔らかな緑は目に強く
レンガ色と ....
タイムスリップしてる途中に、
私が落っことしたiPhoneが、
アダムとイブの元に降っていき、
そこから死ぬほど、変わりまくる歴史。
フィアンセの姿が自販機になったけど、
そのまま挙 ....
心不全だった
未明の6時45分
享年35歳
奇しくもその日は
私の70歳の誕生日だった
娘は私の丁度半分しか
生きられなかった
これで
見舞いに赴く ....
安易な正義に乗れるほど
わたしは
知識はないし
自信もないし
時間はないし
興味もないし
強くはないし
弱くもないし
正しくないし
安易な正義に乗れないので
今日もわたしは
....
鉛筆は握らない
それでも
胸の中で尖った芯を
マスカラに
変えられたら
あの子みたいに
可愛くなれるの
変わりたい訳じゃないし
今のままで良いとも思えない
時間だけが賢くて
....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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