[308]足立らどみ[2025 11/06 08:23]
まず重く沈まなければならない。

 らどみの詩には、二つの律動が共存する。
 一方には、即興的な筆触――街角をスケッチするような軽妙さ。
 もう一方には、言葉を自ら疑う冷徹な眼差し。
 書くことと消すこと、その両方が一枚の紙の上で呼吸している。
 その緊張感が、詩を“軽い”ではなく“透きとおる”ものにしている。

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[?]未完成を抱くという完成

 この作品の美点は、完成を拒む勇気にある。
 デッサンとは、描きながら考える行為だ。
 足立らどみは、あえて描ききらない。
 その“途中”のままの線こそが、詩の生命線だと知っている。

 行間には余白がある。
 そ
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